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婚約者の心の声が可愛過ぎて困っています  作者: りょう
第三部

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「お待たせしました」

 待っていると、声をかけられ、振り向く。数分もしないうちにティアラが校門へ来た。

 相変わらず目が合わないが……

「来てくれて、ありがとう。じゃあ、行こうか」

 ほっとして伝える。

「……バート様」

 不意に腕を掴まれて、ドキッとしてしまう。


 触れるのは、久し振りだ……

「カフェじゃなくてもいいですか?」

 ティアラに言われ、頷く。

「私の家でお茶しませんか?」

 その言葉に驚く。

「突然行ったら、迷惑なんじゃ──」

 今まで緊急時以外、突然訪れた事はない。

 少し心配になり口にすると、ティアラは首を振った。

「問題ありません。両親は二人とも仕事で夜遅くまで帰りませんから……」

 それなら余計に困る。ご両親の不在に約束なしの訪問。あまり良いイメージはないだろう。

 ティアラの所で働く人達も、俺には好意的でよく二人きりにしてくれるから、それも心配だ。ティアラはまだ怖いだろうし……

 今は二人きりは避けた方がいいに違いない。

「ごめんね。流石にルアーナ夫妻がいない時に訪問するのは、ちょっと……」

 焦りながら断ると、ティアラは下を向いたまま話し始めた。

「……お店だと人がいるでしょう。二人きりで話したいんです」

 ティアラの言葉に温度が下がる。


『もしかして婚約解消するつもりだったりして……』 

 不意にさっきの噂話を思い出す。

 そんなはずない……

 そう思いたいが、ここ数日、まともに会話すらしてないんだ。

 無理矢理迫って嫌われた……

 その線がないとは言いきれない。

 目は伏せていて感情を読めないが、良い話ではない事位分かる。

 心臓が嫌な音を立てていく。


「バート様?」

 声をかけられ、ハッとした。

「……それなら……生徒会室へ行こう。今日は空いて……いるから」

 逃げ場がないようで怖いと感じるかもしれないけれど、密室にならないように、ドアや窓を開ければ……

 もし嫌そうなら、常識知らずと思われたとしても、ティアラのうちへ……

 動揺しながら、なんとか伝える。

「はい」

 肯定の返事が帰ってきて、益々緊張してしまう。


 緊張しながら来た道を二人で戻った。

「どうぞ……」

「お邪魔します」

 予想通り、生徒会には誰もいない。

 ティアラが少しでも安心できるように……

 ドアを開けたままにし、窓の鍵を外していると、ドアを閉める音がして、驚いて振り向いた。

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