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婚約者の心の声が可愛過ぎて困っています  作者: りょう
第三部

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「バート様、隣に座ってもいいですか?」

 紅茶を飲み終わり、ティアラが聞いてきた。

「うん、いいよ。おいで」

 緊張を悟られないように、笑顔で伝える。

(『おいで』だって! バート様、本当に王子様みたい)

 久し振りに王子と言われ、苦笑い。

 正直、思ったより余裕がない。


 ピッタリと隣に座られ、体を預けられる。

(幸せ……いつも離れる時、寂しいから、邸に帰らなくていいのが嬉しい)

「バート様、長い時間一緒にいられて嬉しいです」

 ティアラの瞳がキラキラしている。

「俺も……」

 なんとか声を絞り出す。

 俺もなんだけれど……

 馬車と違って、すぐ側に誰もいない。本来、客が来ている時は部屋の前に誰かしら待機しているが、人の気配が全くしない。

 遠慮しているのか、気遣われているのか、理由は定かではないが。


(バート様、今日は肩、抱いてくれないのかな)

 無邪気にくっついてくるティアラに一言言いたい。そんなに男を信用するなと──

 自分の家で二人きり。こんなに理性を揺さぶられるなんて。

 ティアラが触れている体の右側だけ、やけに熱い。


 こんな個室で触れてしまったら、止まれる自信がない。

 最近、どうしようもないんだ。

 堪らなくなって、目を逸らす。


「バート様、屈んでください」

 不意に頬に手が触れ、ドッと心臓が跳ねる。至近距離にティアラの顔があり、固まってしまう。

(はしたないかしら。でも、したい)

 ──したいって、何を。

「な、なんで」

 動揺して、声が震えた。

(私からキスしてもいいですか? バート様)

 聞こえた言葉を理解すると同時に、うるさい胸を押さえる。

 駄目だよ。そんなの、無理。

「目をつぶって……」

 懇願甘えるような口調で囁かれたら、言葉が出てこない。


「大好きです、バート様」

(大好きです、バート様)

 心の声と耳に響く声が重なる。

 ティアラはそれ以上、何も言ってこない。

「俺も大好きだよ……」

 ダークブルーの瞳を見つめる。

 それはとても長い時間のように感じた。

 

 意を決して目をつぶる。心臓が狂っているみたいに鳴っていて、今にも止まりそうだ。

 息が苦しくて、それでもティアラに伝えたくて、繋いでいる手を握り返した。

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