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「アイザックお兄様、今日のドレス、どうですか? 後ろが可愛いんですよ!」
後ろには大きなリボンが付いている。ティアラが裾を掴みクルッと一周回ると、ひらひらとドレープが揺れ、白のスズランの刺繍が輝いた。
「とてもよく似合っているし、ティーの可愛さを引き立ててるね」
アイザックさんはそう言ってから、俺をチラリと見てきた。
(いつも淡い色しか着ないティーが……コバルトブルーだなんて。ギルバートの髪色……恥ずかしがり屋だからドレスの色を決めるのに、悩んだんだろう。留具とカフスを見て、一方通行じゃないと喜んだに違いない。そんなキラキラした目をして、嬉しそうに……いかん。目頭が熱くなってきた。ちょっと寂しいが兄は応援してるからな! それにしても、ギルバートはまた背が伸びたのか? いつまで成長するつもりなんだ。真面目で成績優秀、文句なしの美形、王太子殿下の友人、年よりも落ち着いて見えるし、包容力もある……公爵令息! 弱点なし! 完璧男め!)
アイザックさんの心の声が大音量で聞こえてくる。ちょっと涙目になっていて、思わず笑ってしまう。
「アイザック! 休めたのか?」
ルアーナ伯爵の声がして、皆で振り向く。
「父さん、また太った? 休むに決まってるだろ。じゃあ、俺はこれで」
(ギルバート、ティーの事、ちゃんと守ってやれよ)
アイザックさんは軽く手を振ると、その場を去って行った。
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夕方になると、人は疎らになり、パーティーはお開きとなった。
なんとなく離れ難くて、帰る前にテラスでお茶を飲む事にした。
「今日は夕陽が素敵ですね」
空が赤く染まり、茜色になっている。
「……手、繋いでもいい?」
答えを聞く前に、テーブルの下でそっと手を重ねた。
「は、はい……」
(勿論です! 私も繋ぎたいと思ってました! 大好き……バート様の手、温かい……)
「キスは……」
思わず言葉にしてしまうと、ティアラの顔が紅潮した。
(し、したいって事!? や……やだ……バート様、顔が赤いですっ! 私もしたいけど、またルージュが移っちゃうし!)
「あ、あの……い、今はオイルを持って……ないので、明日……」
恥ずかしそうに上目遣い遣いで見られる。
(キャー! 『明日』って! はしたないわよ! 変な事、言っちゃった……楽しみにしてるみたいじゃない!? 楽しみだけど! したいけど!?)
困った顔で見られ、相好を崩した。




