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婚約者の心の声が可愛過ぎて困っています  作者: りょう
第三部

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「お待ちしておりました。レヴァイン様」

 ルアーナ家の侍従に案内され、ホールのソファに腰掛ける。

 今日はティアラの18歳の誕生日。


「お花が届きました!」

「焼き菓子はどちらに運びますか?」

「シルバー類の準備が整いました」

 誕生日会の支度で忙しいのか、邸中、珍しく賑わっている。  


 ティアラはどんなドレスを着てくるのだろう……

 誕生日に着るドレスは、家紋をモチーフにした物が多く、結婚前は両親から贈られる。

 ルアーナ家は白のすずらんがモチーフだ。去年は白の可愛らしいドレスだった。

 デビュタントのドレスは色が白だと決まっているから、日にちも近いし、今年は違う色にすると前に話していたが……

 デビュタントと同様、内緒にして教えてくれなかった。その話になると、恥ずかしそうに目を逸らされてしまい、結局、分からないまま。色すら知らない。

 薄い桃色、パステルカラーの黄色、淡い空色、薄紫色、どれも似合いそうだけれど……


 隣に立った時、一応どんな色でも合うように、無難に黒のフロックコートにスカーフは白にしてみた。スカーフの留具と袖口のカフスはティアラの瞳と同じダークブルーの石、ロイヤルブルーカイヤナイト。

 相手の髪色や瞳の色の装飾は『特別』を意味する。

 これを見たら、ティアラはどんな反応をするかな……

 本当はポケットチーフやスカーフも淡い桃色にしようが迷ったけれど、羞恥心に勝てずやめてしまった。

 喜んでくれそうな気もするが、少しでも重いとか思われたら、耐えられない。

 カフスをじっと眺める。

 その点、こっちは装飾として割とよく使われる色。この石なら自分の髪色にも近いし、言い訳ができるというか……

 俺は殿下みたいに好意を表に出すのは苦手なんだ……


「ギルバート君」

 声をかけられ、立ち上がった。先に入ってきたのは、ルアーナ夫妻だ。

「やぁ、よく来てくれたね」

 笑顔のルアーナ伯爵に礼をする。

 話をしながら、二人の目線が留具に移る。

(ティーの瞳と同じ宝石! うちの子、愛されてる……! ブルーサファイアかしら? それともカイヤナイト? ギルバート君ったら、クールに見えて、なかなかやるわね)

 先に飛び込んで来たのは、夫人の思考だ。

 赤面してしまいそうになり、目線が泳ぐ。


「相変わらず格好いいな、君は」

 伯爵に言われ、恐る恐る顔を見た。

 父親から見たら、こういう装いはどう思われるのだろう。

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