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婚約者の心の声が可愛過ぎて困っています  作者: りょう
第二部

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(正気じゃないぞ、この男……ずっと、こんな感じでベタベタするつもりか? ティアと出かけたかったけど、仲良くしてるところなんて見せられたくない……)

 コードウェルは俺を睨んだ後、ティアラの方を向いた。

「では俺は遠慮します。ティア、下見は任せてもいいか?」

「はい!」

 ティアラは目に見えて、嬉しそうな顔をした。

 それを見て、コードウェルはへこんでいる。

(バート様とデート! シアン様には悪かったけど、遠慮してくれて良かった)

 ティアラはウキウキと俺の方へ歩いてきた。

 可哀想だが、きっちりトドメは刺しておこう。


「二人きりで嬉しい」

 内緒話をするみたいにそっと囁いて、ティアラの肩を抱いた。

「バ、バート様……」

 色白な肌が赤く染まる。

「赤いよ、ティアラ」

 頬を撫でると、更に赤みが増す。

 何がなんだか分からず、慌てるティアラに笑いかける。


「……人前でやめた方が良いと思いますよ」

 苦虫を潰したような顔で、コードウェルが言ってきた。

「そうだね、気をつける」

(どこが大人っぽくて、優しい令息だ! この偽紳士め! ティアラの事になると余裕がなくて、結構なヤキモチ妬きだぞ。見せつけるようにイチャつきやがって!)

 コードウェルは納得の行かない様子で頭を下げ、帰って行った。



 馬車への階段をエスコートしていると、ティアラが俺を見てきた。

(やっと二人きり……)

 その言葉にドキッとする。

 目が合うだけで、気持ちがそわそわする。


 隣に座り、そっと手に触れると、また目が合う。

(今日は手なんだ。抱きつきたいな……さっきはシアン様の前で肩を抱かれて、恥ずかしかったけど嬉しかった。まるで『俺のもの』って言われてるみたいで……)

 言い当てられ、恥ずかしい。聞いていられなくて、腕を引き寄せた。

 抱きしめると、甘い香りが漂う。

 俺の腕の中にすっぽりと収まってしまう細い肩。激しい鼓動が聞こえてきて、ティアラがドキドキしているのだと分かる。

 甘えるように、胸に頭を寄せられた。キュンとして髪を撫でると、今度は背中に手が回ってきた。

 ──ティアラが好き。

 日に日に大きくなる気持ち。


 俺の心臓の音も聞こえちゃってるのかな……

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