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婚約者の心の声が可愛過ぎて困っています  作者: りょう
第二部

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「朝、いつもと同じ時間に迎えに来るね。明日は雨が降りそうだし、濡れるから家の中で待ってて」

「はい」

 ルアーナ邸に着き、先に降りて、手を差し出す。  

(バート様、本当に格好良いなぁ……瞳とか宝石みたいだし、声も喋り方も好き。バート様に求婚された時は驚いたけど、受けて良かった……!)

 ティアラは零れそうな笑顔で笑った。

 あまり『好き』って言わないで欲しい。照れるから……

「ありがとうございます。あの、バート様。少し屈んでもらえます?」 

 ティアラは口元に手を当て、内緒話をするように囁いた。

 エスコートで繋いだ手はそのまま。離すタイミングを(のが)し、少し迷う。

(別れ際に手を繋ぐなんて、恋人っぽい! エスコートの後に繋いだままとか、憧れてたの!) 

 そうだったのか……

 破顔してしまいそうになり、口元にグッと力を入れる。膝を折り耳を近付けた。

「何……?」

「さっきの嬉しかったです。またして欲しいです」

 耳元で言われ、吐息がかかる。驚いてパッと離れた。

(きゃー言っちゃたわ! 恥ずかしい!)

 な……何を?

 ──どれを?

 ブワッと顔が熱くなる。


「お嬢様、お帰りなさいませ〜」

「レヴァイン様、毎日、ありがとうございます」

 ルアーナ家の執事とメイドの声が聞こえて、ドキッとする。一瞬で現実に戻った。

「あ……いや……俺もティアラと一緒にいたかったので」

 動揺し、つい本音を漏らしてしまった。

 その場が静まり返る。

 執事とメイドは赤くなり、なんとも言えない顔をしていた。

 もっと違う言い方があっただろ……

 気まずい空気が流れ、どうする事もできない。

 ……何も突っ込まないでください。

 居たたまれなくなり、チラッとティアラを見る。

「バート様……」

(私もです‼)

 ティアラは喜びが隠せていない。

 言ってしまってから、後悔。

 でも──

 ティアラの嬉しそうな様子を見て、緩む口元を手で隠した。


「明日もしてください」

 ティアラがそう言うと、執事とメイドは目を丸くした。

 ちょっと待って。勘違いさせるような言い方!

 俺は焦っているのに──

「ふふ。では、ご機嫌よう。また明日」

 ティアラは言うだけ言って、あっという間に行ってしまった。

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