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婚約者の心の声が可愛過ぎて困っています  作者: りょう
第五章

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 その時、ノックの音がして、現実に戻る。

「ティアラ、服を整えといて。俺が出る」

 慌てて体を離し、小声でティアラに声をかけてから、ドアの方へ走る。


 ドアを開くと、そこにはメイドが立っていた。

「ご歓談中に申し訳ございません」

(あらあらあら〜ギルバート様ったら! 唇に口紅が移ってる! お楽しみのところ、お邪魔してごめんなさいね)

 楽しそうな声が聞こえ、ハッとする。

 しまった……!

 焦っていたせいで、そこまで気が回らなかった。

「ちょうど奥様がご帰宅されたのです。ティアラ様にお会いしたいと、言伝を預かっております。いつでも大丈夫なので、お帰りまでに顔を見せてほしいとの事です」

(このまま行っても楽しそうだけど、奥様に口紅のついた唇を見られたと気付いたら、後々、気まずいわよね……でも、なんて言おうかしら?)

 メイドは何やら真剣に考え込んでいる。

「そ、そうか。今から行こう。母上は今どこに?」

「サンルームでお茶をされております。ギルバート様、髪が少し乱れていますので、お鏡を見られてからの方が良いかと……私、ここで待っております。ティアラ様もお化粧直しをされるでしょうから、ご準備ができましたら、お声掛けください」

(私ってば、できたメイドね! ギルバート様のお立場を守り、そっと事実に気付かせる。メイドの(かがみ)だわ!)

 メイドはやたら鼻高々だった。

 いやいや、髪はいつもメイドが直してくれるから自分でやらないし! ティアラだって同じだよ。

 随分、強引に繋げてきたな……

(勿論、奥様には内緒にしといてあげます!)

 とびっきりの笑顔を向けられ、苦笑いを返した。

 それはどうも……


 仕方なく、ティアラの待つ所へ戻り、二人でこっそり色々直した。



「マリアンヌ、今日も綺麗だね」

「ふふ。ありがとう。あなたも素敵よ」

 サンルームには母上だけではなく、父上もいる。いくつになっても二人は仲が良く、距離も近い。

「旦那様、奥様。ギルバート様とティアラ様をお連れしました」

 メイドが声をかけると、母上は振り向いて、顔を緩ませた。

公爵閣下(ジーク)様。夫人(マリアンヌ)様。先日は母の誕生日にイヤリングを贈ってくださり、ありがとうございました。とても喜んでおりました」

 ティアラが淑女礼(カーテシー)を取ると、父上が「喜んでもらえて何より」と答えた。

「あら。帰り際でも良かったのに。ティアラ、今日はお土産があるの。あなたの好きそうなケーキを見つけたのよ。シフォンケーキというんですって。ふわふわらしいわ。座って! 二人にもお茶の準備を」

 母上はメイド達に頼んでいる。父上もケーキの箱を覗き込み、にこにこしている。

「まぁ! 楽しみです」

 和やかにお喋りをする三人を見て、気が抜けた。

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