表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者の心の声が可愛過ぎて困っています  作者: りょう
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/142

117

「……お茶の準備、頼んでたから、後にしよっか」

「は、はい」

 むしろ誰かが部屋にずっと居てくれたら、いいんだけれど。


 その時、ノックの音が聞こえた。

「お茶の準備に参りました」

「どうぞ」

 返事をすると、メイド達が入ってきた。

 色とりどりのマカロン、ガナッシュ、マドレーヌが並び、二人はテキパキとテーブルセッティングを済ませていく。

「本日はティアラ様が前に美味しいと言っていた隣国の茶葉なのですよ」

「ありがとうございます。マカロンが色鮮やかですね」

 会話を聞いていると、メイドが揃って振り向いた。

(ギルバート様! ティアラ様は初めてでしょうから、とびきり優しくしてあげてください!)

(小さい頃から見守ってきたお二人がついに……! 緊張がこっちにまで伝わってドキドキしちゃう)

(ようやく、お二人が結ばれるのね! 感極まって、泣いちゃいそう……)

 生温かい声が聞こえ、たじろぐ。

 な、なんで、する前提なんだ……!

 

「では、わたくし共はこれで……」

「仕事があるので、少し離れた場所におります。ご用がございましたら、ベルでお知らせくださいませ」

 余計な気遣いが恨めしい。

 二人はあっという間に部屋を出て行った。


「せっかくだし、冷めないうちに頂こう」

 カップからはフルーティーな香りがした。

 メイド達も皆、ティアラが好きだから、いつも喜ぶものをたくさん用意してくれている。

 有り(がた)い事だな……

 一口飲むと、カップをソーサーに戻す音がした。

「バート様」

(なんだか甘えたい気分だわ……)

 じっと見られ、顔が火照(ほて)る。

 甘えたいって……

 つい口元が緩んでしまいそうになり、口端に力を入れる。

「何?」

 平静を装い、なるべく普通に返した。

「隣に座ってもいいですか?」

(くっつきたい)

 健気な声を聞いて、黙ったまま立ち上がった。


 隣に座ると、ティアラが嬉しそうに笑った。

(バート様から来てくれた! 新婚みたいに食べさせちゃおうかな……)

「マカロンどうぞ。バート様の好きなレモンですよ」

 口元に黄色のマカロンを持ってこられ、抵抗せず口を開ける。

(口、開けてる! 無防備なバート様、可愛い……ふふ。もぐもぐしてるわ。なんて可愛いの!)

 恥ずかしい声が聞こえてきて、悔しくてティアラの手を取った。

「……バート様?」

 マカロンを持っていた指先を口に含むと、ほんのりレモンの香りがした。

(指まで食べられちゃった……)

 ティアラは真っ赤になっている。

「ティアラも食べて」

 お返しに距離を詰め、ピンクのマカロンを差し出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ