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婚約者の心の声が可愛過ぎて困っています  作者: りょう
第四章

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 最初は手を繋がれた。

(バート様の手が好き。大きい(てのひら)。長い指、綺麗に揃えられた爪。私を撫でてくれる優しい手が大好き。キスの前に唇にそっと触れる触り方も好き。さっきのキス、ふわふわして幸せだった……)

 心の声が聞こえてしまい、ゴクリと息を呑む。

 次に腕、肩、背中に触れられる。

 これはただのスキンシップだ。俺は大人しくしていないといけない。

(バート様、本当に格好良い……いつもより近くてドキドキする)

 ……これ以上、目を見ていたら負ける。

 そっと目線を逸したら、腕を掴まれた。

 

「バート様、顔を見せてください」

 ティアラの台詞に困ってしまう。

「お願い……」

 しかも、ここでお願い? 君は結構、意地悪だな……

 俺は今、どんな顔を晒しているのだろう。

 ティアラの前では格好良い男でありたいのに。

 すぐには目を見られず、足元に視線は落としたまま。

「……バート様?」

 声をかけられ、仕方なく目線を上げる。

(や……やだ……想像以上に可愛い顔をしてる! 真っ赤で少しむくれてるみたいな、ちょっと悔しそうな……こんな顔を私がさせてるんだ……)

 ティアラの声が伝わり、押し黙る。


(私だけのバート様……)

 カアッと体が熱くなる。

(好き。大好き、バート様……)

 追い打ちをかけるように甘えるような声が聞こえてきて、クラクラしてしまう。

 ──でも俺だってティアラの可愛いところを見たい。


「もう一回キスして、ティアラ……」

 俺の言葉を聞いて、色白な肌が紅潮する。

(な、何、その言い方……そんな声、聞いた事ない! む、無理……バート様の目が潤んだままだし! 色気を振りまかないで!)

「目をつぶってください」

 恥ずかしそうに言われ、堪らなくなってくる。

 キュンとして、どうにかなりそう。

「……照れてる顔、可愛いね」

 そう伝えると、ティアラの顔が可哀想な位、赤くなる。

(何それ何それ! バート様もそんな風に思ったりするの!?)

 いつも人の事可愛い可愛いって……

 俺だって言われっ放しじゃないぞ。

(恥ずかしいけど、嬉しい! バート様も耳、赤くなってる。いつもクールで大人っぽくて包容力のあるところも大好きだけど、私にだけ見せてくれるこういう表情も好き……)

 思わぬ返り討ちを喰らい、お互いに言葉がなくなった。

 

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