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婚約者の心の声が可愛過ぎて困っています  作者: りょう
第四章

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「バ…………バート様も素敵です」

(淑女がジロジロ見ては駄目よ! で、でもこの格好……)

 じっと見つめられ、必死に笑顔を作る。

「バラは本数によって意味が違うんですよね」

(いけない! つい口に出してしまった……! いくら気になったからといって──)

 探るように言われ、カッと頬が熱くなる。

 バラ一本の意味は『あなただけ』。勿論、知って選んだ。

 伝えたら、絶対に喜んでくれるだろうけど……

 恥ずかしくて言えない……

「……知ってるよ」

 そう答えるのがやっとだった。


「あ、の……嬉しいです」

(バート様、真っ赤だわ! 知っていて一本にしてくれたって事!? スカーフもピンク色なんて初めて見たし……私の為に……? どうしようどうしよう。嬉しい……照れている顔、可愛い……格好良いのに可愛いなんて、反則よ!!)

 大音量で入ってくる心の声に照れ笑いを隠せない。

 嬉しそうな声を聞いて、俺まで幸せになる。

「……」

「……」

 ティアラも真っ赤でお互いに言葉がなくなった。

(バート様、大好きです!)

 ありがとう、俺も……

(キスしたいな……)

 続く言葉を聞いて、ゴクリと喉を鳴らす。

 駄目だよ、真後ろにルアーナ伯爵がいるだろ。

(バート様、好き……)

 漏れる心の声にキュンとしてしまう。

 キスは後で馬車に行ってから──

 とてもじゃないけれど、ルアーナ伯爵の顔は見る事ができなかった。



「バート様……」

(まだ少し怖いけど、バート様ともっと近付きたい)

 馬車に乗るなり、ティアラが隣に座ってきた。

 大胆な行動にドキッとしてしまう。

(今日はルージュが移っても大丈夫なように、色々準備したんです!)

 その言葉を聞いて、緩む口元を隠せない。


「大好きです、バート様……」

『俺も』そう返したかったのに、塞がれてしまった唇。

 ティアラからのキス。幸せで目を閉じる。


 一生懸命キスされて、動揺と混乱でグルグル考える。

 無理しているんじゃ……

 心配になるけれど、優しいキスに一瞬で思考が奪われる。

 ぎこちなく唇を合わせられ、ゾクゾクと腰が震えた。

 ……こんなの、困る。

 

 好きなんだ、ティアラ……

 俺の為に頑張ってくれて、嬉しい……


 肩にティアラの腕が回ってきて、目眩がするような幸せが溢れてくる。

 馬車の中は二人きり……

 誰も止める人はいなくて、キスは深くなっていく。

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