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生々流転 ―そこは異世界だった―  作者: 姫野 りぉ
第一章 世界樹~ユグドラシル~
3/87

アルニア王国 シルベニア辺境領


「隊長!珍しいお客さんです」

「お客さん?」

「実は彼なんですがこんな所に歩いて来たらしくてハハハ」


「歩いてだと?フ~ム┅それで?」

「何でも記憶が無いらしくて名前だけは覚えてると、他は一切わからないそうです」


「記憶が無い┅それで歩いて来た┅不思議な事だな?話を聞いてみよう」


中へ通され隊長とかに会い椅子に座ってるんだが?

これは取り調べだな、不審者扱いだよなぁ

それも仕方ない、何処の誰かは分からなくてボロボロの姿で汚い!


生活魔法とやらを頑張ってるのだけど中々出来ない

イメージは間違い無いと思うんだけど?


「俺は隊長のガルバだ、ハンスから聞くと君は記憶を無くしたと言っているらしいがそれは本当なのか?」

「はい、名前はシンヤとハッキリ頭に浮かんだんですが他はマッタク」


「それで?それは何時からかは分かるのかな?」

「そうですね、大体一年程前に森の中で倒れてた時からです」(適当だが其くらいかな)


「森の中で倒れてた?この森でか?」

「いやぁ此処からは随分と遠くですね、倒れてた所を出てから7ヶ月くらいは移動して来ましたから」(これも適当だがそんな所か)


「ちょっと待て!この森をそんな期間一人で歩いて来たのか!」

「そうです、ずっと歩いて来て村か町は無いのか心配してました」


「はあ~その村とかだがここからまだ2ヶ月は歩かないと無いぞ、まぁそれは町なんだが、しかし良く魔物に襲われなかったな?」

「ハハハ、そうなんですよ、魔物は見かけましたが襲われる事はなかったですね」


「おい?ハンス、そんな事が信じられるか?この森でだぞ!」

「ええ、全く信じられません、シンヤはとてつもなく強いとかかな?」


「ハハハ!そんなぁ、魔物を見たら何時も隠れてましたよ、そしたらどうにか襲われずに来ました」

「君は魔法とか使えるのか?」


「いやぁマッタク、生活魔法を練習してるんですが中々出来なくてこの有り様です」

「うん、まぁそうだろう┅さすがに臭いし、服もボロボロだしな、ウ~ンしかし信じられん!良く助かったな」


「隊長!彼に森での事を聞き取りして見た魔物や森の様子とかを知れるんじゃ無いですか?」

「そうだな、何か新しい事が分かるかもしれん、其れに彼が何処から歩き出したのかも興味が有る」



「おとうさ~ん!」


何だ?女の子?それに凄い美人さん!


「ミーシャ!お仕事中はいけないと言って有るでしょ!」

「だってぇ┅┅」

「ご免なさいねガルバ、ハンス、それと?」


「あ、ああ、彼は何と言うか迷子みたいな者で┅」

「ハハ、ハンスも上手い事を言う迷子かぁ、確かに記憶を無くして歩いて来たんだ、迷子は当たってるな」


「あなたったら┅」

「シンヤ、彼女は私の妻だ、ミリンダと言う、そして可愛いのが娘のミーシャだ」


「はじめまして、ミリンダです、ご免なさいね娘が遠慮無くて、ミーシャも謝りなさい」

「う、うん┅ご免なさい」


「あっ!そんな!此方こそ、ご迷惑なら直ぐに出て行きますのでハイ」

「イヤイヤ!君をこのまま追い出したら私の立場が疑われる、遠慮無く居たら良い」


「そうだよ、君は記憶が無くて困ってるんだろ?ここで養生すれば思い出すかも知れないしね?」


「あのぉ?本当に良いんですか?訳のわからない者を簡単に入れて?怪しいとか思わないんですか?」


「君を初めて見た時から怪しいとか不審者とは思わなかったよ、だって素直な目であっけらかんと話すんだもんなぁ」

「ハンスの言う通りだ、私は代官として町で働いているが君には不純な考えが無いと分かる、どちらかと言えば素直過ぎるのが不思議なんだが?」


「はぁ?嘘を言ったり誤魔化しても何の徳にもなりませんし大体が何も分からないので┅┅」


「あらあら?本当に記憶が無いのですね?独りぼっちで大変だったわね?」

「お兄ちゃん┅かわいそう┅」


「ハンス!お前が彼の面倒を見てやれ、それと此処の説明とか頼む」

「ハンス!そんな事よりこの方をお風呂に案内して!服も綺麗なのを用意してね!其からよハ・ナ・シ・は!」


「ハイハイ、マッタク!ミリンダ姉さんには敵わないよ、彼の事はちゃんと面倒見るからさ」

(姉さん?なのか?)


「そうだな、見綺麗にして何か食べてからが良いだろう、シンヤも疲れが有るだろうしな」

「イエ!ありがとうございます!」


其から風呂へ案内されて(久しぶりの風呂だあ!)髭を剃り長い髪は紐で結んだ

新しい下着とハンスの服を貰い食堂ヘと向かう

食堂は決まった時間が有るらしくこの時間は誰も居なかったがミリンダさんが調理場から美味しそうな料理を運んでくれた


「まぁ┅見違えたわ!┅┅ハッ!料理番の人は休んでるから私が作りました、お口に合うか分からないけど食べて?」

「すいません、お手数をお掛けして┅はぁ~凄く良い匂い!美味しそう!頂きます!」


うう~ん!旨い!なんて美味しいんだ♪このシチューは優しい味で泣けてくる┅┅


「あらあら?お口に合わなかったかしら┅」

「グスッ┅とっても美味しいです┅グスッ┅こんなに暖かい料理を食べたのは初めてで┅グスッ┅」


「お兄ちゃん泣いてる?」

「まぁ┅┅随分と過酷な目に有ったのね┅」


「シンヤ┅お前は本当に辛い目に会ったんだな┅まともに飯も食えずあんな森を一人で歩いて来たって┅」

「シンヤ君は幼く見えるけど?」


「姉さん、シンヤは名前しか覚えて無くて歳や出身とか何も分からないらしい、見た所確かに子供みたいに見えるけどしっかりしてる所も有る、俺も驚いたが綺麗になった彼の容姿が女の子みたいっても有るから?」


「本当に綺麗な顔立ちね、貴族の子息かしら?物言いも教養が有る言葉使いだし、とても賢そうだわ」


「お兄ちゃん┅カッコイイ!優しそう♪」

「ミーシャもそう思う?シンヤ君って何だか放って置けない感じだわ、ハンスより私が面倒みようかしら┅」


「姉さん!相変わらずクイケメンには弱いんだから!それに顔に似合わない逞しい身体は鍛えられた者だ!背も高い!顔だけで判断しないで!俺の感じだと17、8歳位じゃ無いか?」

「そう言われれば┅でも本当に綺麗な顔立ちねぇ┅┅」


俺ってそうな風に見えるのか?中身は29歳なんだが?

顔立ち?鏡を見てないから分からん!

ミリンダ姉さんには俺がイケメンに見えると?ハンスもそうな感じだと?


それにしてもミリンダさんはハンスと兄弟で強面のガンスさんのお嫁さん

ハンスとガンスさんは義兄弟でミーシャちゃんが娘┅┅┅┅


「シンヤ、この後だが隊長と俺、それと調査官に冒険者ギルドの副ギルド長と会ってくれ、詳しい話がしたい」

「調査官と冒険者ギルド?」


「調査官ってのはこのシルベニア辺境伯領の政務官だ、領都から来て貰ってる、冒険者ギルドから冒険者を依頼して調査してる関係上領都の副ギルド長が一緒なんだ」

「調査って?この辺りを調べてどうするんですか?」


「後で詳しい事を教えるがこの調査隊は一年間の期間で森とこの辺りを調べる、後3ヶ月で引き上げる予定なんだ、ミリンダ姉さんとミーシャは隊長が帰れないから年に2度此処へ来る事が許されてる、普通は誰も立ち入る事は出来ない、お前はそんな所に現れたって言う訳さ」


「やっぱり俺はお邪魔さんだったんだ┅悪い事をしたなぁ」

「イヤイヤ!そんな事は無いぞ!事情が事情なんだ、何も気にしなくて良い、其よりは君の情報が得られるなら有難いと言う方が正しいかな、中々上手く調査が出来て無いんだ、残念ながらね?ハハハ」


「そんな事よりシンヤ君の身の上が大事よ、記憶を無くすなんて┅余程酷い事に捲き込まれたか┅だから私達が帰る時に一緒に町へ行きましょう!大丈夫よ?私が面倒を見るから!ねっ!」


「┅┅┅┅まだ┅何も分からないから┅皆さんと話し合って考えてみます┅┅」


「ほら!シンヤが困ってるだろ!姉さんはでしゃばらない!義兄さんに叱られるよ!」

「ミーシャ、シンヤお兄ちゃんの味方だもん!ハンスは苛めないの!」


「そんなぁ、ミーシャ?俺は苛めてなんかいないから、姉さんもなんか言ってくれよぉ?」

「フフン!ハンス?あなたは女心が分からないから何時までも独り者なのよ!言い方が有るでしょ?よ~く考えなさい!」



うなだれるハンス┅┅ガンバレェ!


其からが長い時間だった┅

この国の事と大まかな大陸の事や習慣とかお金の事や魔物の事を教わった


「調査官のミリアよ、気を楽に話してね?シンヤ君だったわね?貴方が体験した事を教えて」(やっぱ異世界の人はムフフ♪なんだぁ┅美人でナイスバディ!ボン、キュッ!ボン!タイトなスカートが!お尻が!たまりましぇん!)


「俺は領都で冒険者ギルドの副ギルド長をしているヨハンだ、お前さんの事に興味が有る、何せこの森を一人でさ迷って来たんだからな!ガハハ!」


ガンス隊長 「シンヤ?私達はこの森を詳しくは知らないと言うか分からないのだ、何せ魔物が強くて多い、奥へと入れなくてなぁ」

ミリア 「シルベニア辺境伯領はこの国最奥の地なの、この森は魔境とも死の森とも言われ未開の土地で手付かずなのよ」


ヨハン副ギルド長 「我々冒険者ギルドとしてはこの森は薬草や果実に魔物が多く素材としても素晴らしい物が有る、鉱物も眠って要ると思うから調査に加わっている」


ガンス隊長 「其れに必ずダンジョンが眠ってるとも思って要るんだ、辺境伯領には二つのダンジョンが有るがどちらも浅く大した物は得られない、こんなに森に近いのにだ!」


ハンス 「それと町から森迄の間に鉱脈が有るのではとも思ってる、珠に冒険者が鉱石を見つけて来るんだ、俺は森の近くじゃ無くて町寄りだと思ってるけどな」


ミリア 「シンヤ君の記憶はさておき、これ迄の事を教えてちょうだい、倒れてた所から此処までの事をね?」


其からは俺が一人で喋った、目が覚めてからの事、出会った魔物や果実に薬草など、見た景色とか拾った鉱石とか洗いざらい話した

其れと俺の今の能力も┅┅

魔法が使えなくて剣術などまるっきし駄目で一回も魔物とは戦って無いとか


三者三様の反応と質問、話が終わったのは外が暗くなって夕食の時間が迫った頃

後は個別に話したいと言われ今日はお疲れ様となり夕食に皆で食堂へと行ったのだが?他の人達へ紹介され質問責めに合うもミリンダさんが制止して解放された


空いてる部屋を使わせて貰い柔らかなマットが敷かれたベッドで寝れて安心したのか次の日の昼過ぎに目が覚めた

ぐっすり寝て身体が軽い


顔を洗って備え付けの鏡を見た┅┅┅誰?


はぁ~?これが俺?なんだよ!女かよ!


真っ白な肌にプラチナブロンド?の髪!真っ青な瞳?レインボーアイ!だって!モデル並み?以上!

確かに綺麗な顔立ちだよ!だけど!だけど受け入れられん!

ハンスさんより背が高いし┅


そりゃミリンダさんが言うのも納得するよ納得するけど┅┅┅良いのか?

俺は元々が当たり障りの無いモテない君で彼女いない歴が後少しで大賢者になれる程のDT様だぞ!


こんなで生きて行けんのか?

そりゃイケメンになれたのは嬉しいよ?でも┅┅慣れない┅恥ずかしい


なるべく顔を隠そうかな┅┅だな┅フッ!




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