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第18話 冒険者の襲撃





「こ、コーヒーをですか?」



「「はい!!」」



「あの、飲んでいる私が言うのもおかしな話なのですが、その・・・、一般的にあまり美味しいものではありませんよ」




ニコエルさんの美味しくない、という言葉を聞いてなお、私とリリが熱い眼差しを送り続けた。


すると、後ろに控えていたメイドさんにコーヒーを淹れるよう、指示を出してくれた。




「あの、できれば豆か粉のままいただきたいです」


「私は飲んでみたい」



「分かりました。では、コーヒー豆をお渡しし、1杯分だけ淹れますね」




ニコエルさんは私達の我儘な要望にも笑顔で応じてくれた。


私はメイドさんからコーヒー豆を受け取ると、お礼をしてから直ぐに調理場に移動した。



こんな日が来ることを想定し、生地を含めて事前に準備したものを『亜空間収納』に保存してあるから短時間で完成できるはずた。



念願であった第4レシピの『ティラミス』を・・・。





「さぁ、コーヒーを召し上がって見て下さい」


「有難き、幸せ」




調理場にニコエルさんとリリのやり取りが聞こえてくる。

今はティラミス作りが優先だけど、私も後で飲んでみよう。




「ま、まじゅい・・・」


「ふふふ。苦いでしょう?子供向きの飲み物ではないかもしれません」





どうやらコーヒーは不味いらしい。

私はティラミスのクリームを作りながら、少し不安を覚えたが、悲願の達成に向けて一気に作り上げた。



レシピ通りに作ったが、味見はしていない。

でも、直ぐに食べたい。



私は完成したばかりのティラミスをリリ達が待つテーブルに運んだ。





「リリ、できたよ」


「こ、これが・・・」



「これは何でしょうか?」


「ミミ、リリ、これは?」




感極まっている私とリリに対して、ニコエルさんとミレルさんが冷静に聞いてくる。


私は大皿に作ったティラミスを人数分取り分けると、2人の疑問に答えた。





「これは、スウィーツのマルティナの新作、コーヒーを使ったティラミスと言うものです」



「まあ、新作スウィーツなんですか!!」



「歴史的瞬間だわ」



「食べて見て下さい」




味見をしていないため、実験台にするようで申し訳なさを感じだが、ニコエルさんとミレルさんに先に食べてもらうことにした。


2人はスプーンを取るとティラミスを掬い、同時に口に運んだ。




「な、なんですかこれわ!!味は濃厚で、甘く、ほのかに苦みもあります!!す、凄まじい美味しさですわ」


「お、おいしぃ・・・。シュークリームに似ているようで全くの別物。これは、また他領や国外から人が殺到するわよ!!」




2人は頬に手を当て、蕩けそうな顔をしている。

どうやら、無事、ティラミスが完成したことに安堵しつつ、私とリリも食べることにした。





だが、その時、店の外から怒号と共に金属が激しく触れ合う音が響いた。


声の内容や気配から、王女様の護衛が複数の誰かと戦っていることが分かった。





「リリ、ニコエルさん達を守るよ」


「許さない。至高の時間を潰した」



憤怒の形相をしたリリは、既に臨戦体制になっている。


私はニコエルさんとミレルさん、メイドさんをショーウィンドウに後ろに避難させた。





「あ、あの、いくらなんでも、ミミちゃんとリリちゃんに守っていただく訳には・・・」



「ニコエル様。気持ちは分かりますが、ミミとリリは強いです」



「そんな、まだ子供なのよ。どうして分かるの?」



「それは、賢い商業ギルドの者なら誰もが分かることです」




ミレルさんはそう言うと、私の目を真っ直ぐ見て、声には出さず口だけを動かして「お願い」と言った。



私が笑顔で頷いた時、店の扉が乱暴に開かれた。




店に入ってきたのは、盗賊風の男達。

人数は8人。





「生意気に、店に護衛なんておきやがって!!仲間が5人もやられちまっただろうが!!」



先頭に立つ男が激しい口調でそう言うと、私とリリ、ショーウィンドウの後ろにいるニコエルさん達を睨んだ。





「上玉の女がいるじゃねーか。攫って損害分とするか。おい、ガキ!!この店のレシピと後ろの女達を渡せ!!」




男の目的は王女様ではなく、この店のレシピ。

ニコエルさんの顔を見ても王女様と分からず、鎧ではない私服を着ていた護衛をこの店の護衛と勘違いした時点で、目的は間違いなさそうだ。




「あなた達、冒険者ね!?」



ショーウィンドウの裏からミライさんが叫んだ。





「あいつら、冒険者なんですか?」



「間違いないわ。前に運搬の護衛を依頼したから。ランクは確かB」



「ちっ。よく見れば、商業ギルドの女か。まあ、いい。どうせ、これから弄ばれて死ぬんだからな」



「煩い、ごろつき」





リリが呟くように言うと、体から魔力が溢れ、店全体が激しく揺れ出す。


リリはゆっくり男達に向かって歩くと、魔法を唱えた。






【ウィンドウ・ディテイン(風の拘束)】






渦を巻いた風が無数に発生すると、8人の男達を風で作った鎖で拘束した。





「な、なんだこれは!!おい、離しやがれ!!」



「くそガキが!!舐めやがって!!」




喚き散らす男達だが、今は風の鎖で拘束され30センチ程浮いている状態だ。

何も抵抗できるはずもなく、リリは構うことなく男達を外へと連れ出す。




私もリリの後を追って外に出ると、綺麗に拘束された男達8人が、フワフワと運び出される姿を見て街の人達が驚愕の顔を浮かべていた。


店の周りには護衛と男達の仲間と思われる者が倒れており、私達の姿を見た常連さんから「大丈夫かい?警備兵は呼んだからね」と声をかけられた。



これで店内にいるニコエルさん達はもう大丈夫だろう。

後は、フワフワ浮いている男達だ。


どうしようかと考えていると、リリが私を呼びある方角を指差してきた。




考えていることは同じようだ。





目を合わせてから、男達を引き連れて一気にある建物に向かって走り出す。



そして、到着するや否や、建物の最上階部分である3階に男達の1人を風の鎖を纏ったままの状態で激しく放り投げた。





「た、助けてぇぇーーーー」





悲鳴を上げながら男が建物の3階部分にぶち当たると、轟音と共に木材やガラスが宙を舞った。






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