表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編

今日は寄り道

作者: 生豚

 12月。冬の訪れを感じる雪が降りだした放課後、僕は歩きなれた道をいく。横を通る車や目の前を吹き去る風が僕の心をより一層乱し、悲しくさせる。中学生の頃はあんなにも憧れていた落ち着いた日常と少しばかりの刺激であるが、手に入れてみればそれはとても無機質であり想像していたものとは全くの別物であった。声に出してみる。 


「寂しい……もっと人に会いたい」

 

 声に出すと少しだけ自分の気持ちがわかる。中学校では同学年の人数が少なかったこともあり何も考えなくても遊びに誘われたし、友達だってできた。そんな日々に疲れて求めたのが今である。少数の友人と学校にいる時のみつるみ、会話する。

 そして学校が終われば誰にも話しかけられることなく教室をでて校門をでる。

そんな毎日は確かに楽しいし満足してもいいはずなのだ。

それでも何かがひっかかってしまうのだ


 帰り道。景色がいつも代わり映えの無い通学路。

何年も前からあるコンビニ。シャッターの閉まった駄菓子屋。


「 どうしてかなぁ 」


 分かってはいる。昔のことを思い出して比べてしまうのだ。今の友達と昔の友達とを天秤にかけてどちらが大切価値を定めてしまう自分が嫌になる。

そんなことを考えながら歩いていた僕の目に突然黒いものが写る

 猫がいた。真っ黒で細身の鋭い目をした猫だ。薄く降り積もる雪のなかを歩いている。

ピンと立つ耳と力強い瞳は僕をとても魅了した。

 

 猫がのっそりと動き出す。何かがあるような気がして家路を外れてついていく。

いつもの道と大差ない住宅街を通り抜けてしばらく田んぼ道を進むんだ。

そこには薄く雪に覆われた小さな橋が架かっていた。

猫はその下に飛び込んだ。僕は慌てて覗き込む。

 そこには水の干上がった用水路があった。

高さは子供の背丈の倍くらいあり横幅は車が一台入れそうなほどだ。

ぼくは猫を追いかけて水路に降りた。

猫はどんどん歩いていく。

幸い少し深くなっているおかげか雪はあまりない。

しばらく早足で追いかけていくと曲がったトンネルのようなものがあった。

少し怖いが通ることにした。


「タッタッタッタッ」


 音が響く。少しすると光が見えた。

トンネルを出ると目の前には流れ着いた水のたまり場があった。

左を見ると山がある。

猫は用水路のへりに飛び乗って山のほうにい歩いた。

慌てて壁をよじ登り追いかける。

猫は獣に踏み慣らされた道を頂上に向かって登っていく。

少し躊躇するがここまできたのだと言い聞かせ追いかける。

 

 登り始めたが風の吹き抜ける音や街中を走る車の音しかしない。

だんだん息が上がってきて、足も痛くなってきたとき平坦な大地が見えた。


「はぁ、はぁ、はぁ、登り切った⋯⋯」


 そこには木でできたベンチだけがあった。


「 ガサッ 」


 猫は僕の横を走り抜けて林にを駆け下りて街のほうに戻っていってしまった。


あ、と思ったが追いかける力は出ずベンチに座った。


「これだけかよ⋯」


 僕はため息と笑いの混じったような声でそう言った。

帰ろうと思いベンチから腰を浮かべた僕はそれを見て再びベンチに腰を下ろした。

雪は降りやんで、僕は何かを感じた。


 まだまだ至らぬところの多い私の物語ですがここまで読んでいただき本当にありがとうございます

 

 感想や評価などしていただけるとこれからの活動の参考になります‼





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ