お悩み相談!〜後編〜
「前回のあらすじ〜」
「ドンドンパフパフ〜!いぇっいぇっ!」
「えー、前回は、りいのお友達?知り合い?のゆうさんが、恋愛相談をして、デート中のふたりを尾行する辺りで終わりました!」
「うんうん、そうだったね〜」
「りい…さっきからうるさい」
「酷い…。あやちゃんなんかツンツンしてるわ…」
「別に、普段と変わらないでしょ…」
「なんか静かっていうか…」
「??まあいいか」
「それはぼくの台詞なんだよなぁ…。
さて!今回のお話は後編という事で、二人がどうなるのか!?という感じで進んでいきます!」
「今回もまた騒がしいんだろうなぁ…。」
「まあそれがこの世界の三人だからね」
「それもそうだね!」
「それではみなさん!」
「「事務所の日常、楽しんでください!」」
「二人がカフェの中に入っていったからぼくらも入っていったんだけどさ…。」
りいは一息置いて言った。
「人少なすぎてこれバレるでしょ!?」
「何を今更」
うちがそういうと、あやちゃんがここぞとばかりに
「だって今日は午前授業。こんな早い時間にカフェに人が沢山いる訳ないじゃない」
と言った。
「ぐっ……確かに…。盲点だったぜ…」
「何カッコつけてんだバカ」
カッコつけてるりいになんかイラッとしたからアッパーカットを食らわせてやろうかと思ったけど、まあカフェだし、こんなオシャレな場所に暴力は合わないし、騒がしくしすぎたらあの二人にバレちゃうからね。しょうがないね。
「にしてもさ、ここ、すっごいオシャレじゃない?」
あやちゃんも思ったか。
「分かる。うちも思った」
「ぼくも最初来た時『うわあすっげえおしゃれっ!』って思ったわ。まあ今でもそう思うけどねー。」
「えっ?今日初めてじゃないの?」
うちがびっくりして聞くと
「前にも何回か来たことあるよん。」
紅茶を飲みながらそう答えるりい。マジすか…。
「なんかごめんねりい…。今までうち、りいのこと誤解してたみたい…。」
ちょっと冗談目かしく言うと
「ぼくの事バカにしてるだろ」
バレたか。
「うん!」
「すっごい良い笑顔!くそったれ!」
「はいはい静かにねー。聞こえるでしょー。」
そう言われて周りを見渡すと、少しの視線に気がついた。やべっ…、少し騒ぎすぎたか…?人が少ないから一人一人の客の声が聞こえやすいのか…。あやちゃんが制止してくれなきゃ今頃、さっきよりもっとうるさくなってゆうさん達に気づかれてたな…。危なっ…。流石あやちゃん。
そんな流石なあやちゃんが、
「まあでも、確かにりいはこういう雰囲気のお店好きだもんね〜。」
そんな馬鹿な〜。
…………。えっマジ?
「あやさんあやさん、それってまじです?」
「まじだよ?」
うちの疑問に答えたのはあやちゃん…ではなくりいだった。
「本人の言葉を信じられるか」
「ヒドイ…うぅ〜あやちゃ〜ん…」
「ハイハイカワイソウネー。」
「ヒドッ!」
りいが一人でしょぼくれてるのを見計らって、
「あやちゃん、さっきの本当?」
と聞いてみると、あやちゃんは
「そうだよ」
と、とくにどうでも良さそうな感じで答える。まじか…。めっちゃ意外なんだけど。
「まあでも、確かにここの雰囲気がいいのは分かる。」
「…………。」
「まじごめんって!」
「フーンだっ」
コイッツ…!うちがわざわざこんなにも下手に出てりいの機嫌を取ってやろうとしてんのに……!
「!?まあまありい、しほもこんなに謝ってんだから許してあげなって」
あやちゃん、絶対うちのこの上ない怒りに気づいてフォローしたな。
「うー…。わかったよぉ…。」
隣からホッとする声が聞こえた。
「ま、最初から別にどうも思ってないけどね〜」
「なら最初から言えし」
「だってそっちの方が面白そうじゃん?」
こいつは本当に…。
「お前ほんとそういうとこあるよなぁ…。」
「でも、一緒に居て退屈しないでしょ?」
りいは超絶笑顔でそう発言した。なんだこのナルシストは…自信ありすぎだろ。
……まあでも、
「確かにな」
うちがそう呟くと、りいにはどうやら聞こえてしまったようで…。だけどりいにしては珍しく、へへっと言って照れてるようだった。本っ当に、クルクル変わって、見てて飽きないな。ただ普段のムカつく時との割合はもう少し考えてもらいたいけど。
「……今なんか失礼なこと考えてたろ」
「いいや?」
これ以上騒ぐ訳にはいかない。普段なら自分たちしかいない事務所だったり、周りがうるさい学校だったりで騒いでも平気だけど、今回ばっかは他のお客さんもいて迷惑になるし、何より今回はゆうさんの偵察もあるし…。バレたら殺される……、りいが。いや、でもゆうさんそんな過激な人じゃなさそうだしな…。どうなんだろ。
うちがゆうさんのことを考えていると
「それじゃあ私、少しお手洗い行ってくるね」
ゆうさんと一緒にいる女の子が席を立った。
女の子が見えなくなった時、ゆうさんがスマホをいじっているのが見えた。結構遠いし画面は小さいから何をしてるかは見えない……見えたとしても流石にプライバシーもあるから見ないけど…。ゆうさんがスマホをしまったのとほとんど同時に女の子が帰ってきた。
「待った?」
ゆうさんはイケメンスマイルで
「待ってないよ、じゃ、行こっか」
と言った。あの笑顔でサラッと言えるのはモテるな。
うちがゆうさん達を観察してると、震える指でツンツンされた。された方をちらっと見てみると、震えながらスマホ画面を指さすりいが視界に入った。スマホの画面をまじまじと見てみるとそこには
『あんま騒ぐなよ』
送信主を見てみるとそこには…。ゆうさんの名前があった。
────────────
「さて、それじゃ行こうか!」
「「いやおかしいだろ」」
二人から総ツッコミを食らったぼくは、反論する。
「だってしょうがないじゃん、もうバレちゃったんだし」
そうはならないだろ…って顔するしほと、もう半分諦めた顔してるあやちゃんがため息をつく。
「まありいはいつもこんな感じだしね…しょうがない、もうここからは全力でりいに着いていこう!」
「あやちゃん!?」
急に裏切られたしほは衝撃を受けてるな。
「なんで!?いつもあやちゃんはうちと同じ常識人ポジだったじゃない…!」
おっと?遠回しにぼくの事を常識人じゃあないと言ってるな?ぼくオコだぞ?激おこプンプンストリームだぞ?
「しほ、これ以上つっかかっても無駄なんだ、ただただ私らの体力を消耗するだけなんだよ…。それなら抗うのは馬鹿らしいと思わない?」
「む…確かに…」
「フッ、これで二対一だぞ!さあ、しほも来なよ、こちら側の世界へ…」
「なんでさっきから異世界の敵と戦う時のテンションで話してんだよ」
とうとうツッコまれた…。まあでも、最初にやり始めたのはあやちゃんだし〜?
「とりあえず、遊ぶ暇あるんだったら、早くついてかないとヤバいんじゃない?」
あやちゃんに裏切られた!?
「最初にテンション違ったのあやちゃんでしょ!?」
「……てへっ」
かわいっ。
「あ〜…とりあえず早く行こ」
「照れてる?」
「照れてない!」
これは照れてるなぁ。珍しっ。
「それより!ほら、早く行くよ!」
「「はーい」」
────────────
ゆう達を追って着いた先は…
「展望台だぁ!」
「ゆうさんにも騒ぐなって言われただろ」
ぼくが騒いでしまうくらいいい眺めの展望台だった。いや、でも普段から騒いでるからな…。
「にしても、綺麗な眺めだね」
あやちゃんが誰に喋りかけるでもなく、そう呟いた。
「そうだね」
「ほんとにね」
普段見ることの無い眺めに、ぼくもしほもあやちゃんも…ぼくら三人は虜になっていた。綺麗な夕焼け、茜色に染まっていく街、太陽の光をキラキラと反射する海、高いところから見るだけで、自分たちが住む地球とは違う世界に来てしまったのかと勘違いしてしまうぐらい…美しかった。
でも、そんな綺麗で見た事ない景色を眺めていたからこそ、ぼくは…
「……どうやって帰ろう…?」
現実に引き戻されてしまった。
「「えっ?」」
「ゆう達を追って来たからここまでの道わかんないよ…?」
しほが当たり前みたいな顔で
「帰りもゆうさん達追ってけば良いじゃん」
はあ〜これだからしほは分かってないなぁ。
「しほ、ゆう達がここに来るってことはね?ゆうがこれから」
「こ、く、は、く、するんだよ」
あやちゃんに言われた…。
「そう、告白するシーンを、ぼくらお節介組が見るのは野暮ってもんよ」
「りいにしちゃ珍しいな」
「ムッ、失礼な」
「まあまあ、私はりいがわざわざ展望台でも、声が聞こえにくい尚且つ見えにくい場所で待機してる時点で、割と察してたし、あんま騒がないでね?聞こえにくいっても聞こえるもんは聞こえるから」
ここで騒いでゆうの告白を邪魔するのはしほも嫌みたいで、しほは突っかかってこなかった。
「じゃあうちらはここで帰るの?」
「イエス」
「帰り方、わかんないのに?」
「うぐっ…」
どうしようまじで…。このままだと、
「とりあえずさ、一旦展望台から降りない?そうすれば見つかることも暫くは無いでしょ。」
あやちゃんの起死回生のアイデアに、ぼくらは賛同し、展望台を降りた。展望台を降りる前に見えた、眩しい夕日の中、逆光で黒い影になりながら、景色を見て佇んでいる二人が、深く印象に残った。
────────────
「りいさぁ…」
「はひっ!」
「なんでそんなビビるん?」
「いやぁ…こないだの尾行について何か言われるかなぁ……と思いまして…。」
悪いことしてる自覚はあったんだ……とおれが言うとりいはアハハ…と誤魔化してから
「とりあえず、今日来た理由は?」
と話を変えた。
「まあ、こないだの事なんだけどさ、お礼言いに来ようと思って」
りいは頭にはてなを浮かべてる。
「うーん?怒られることはしても、お礼を言われるようなことしたっけ?」
と、とぼけている。おれがちゃんと言わないといつまでもとぼける気だな…。
「ほら、あのカフェと展望台、教えてくれたのりいでしょ」
りいは聞くなりハッとすると、またすぐとぼけて
「知らないよ〜そんなの?」
そんな事を言うからおれは
「しほさんに前『これ、りいから渡して、と言われた物です。』って帰り際に資料貰ったんだけど?あれあれ?りい、嘘ついた?」
と聞くと、りいは
「はぁ!?あいつっ……!絶対ぼくからって言うなよ!って言ったのに……!」
といいながら軽く照れていた。別に隠さなくてもいいのに。
「とりあえず!ぼくは何も知らない!お礼って言うんなら依頼しに来た時の料金三百円置いて早く行きなっ!」
りいは早口でそう言って、そっぽ向いてしまった。あ〜あ…もっと話したいこと沢山あったのに…。こんなんじゃ、今は落ち着いて話せそうにないな…。詳しい話は、また今度遊ぶ時にでも話すかぁ。
おれは財布の中から三百円取って机に置いた。そして、玄関に向かうべく歩を進める。
部屋の出口に着いた時、おれは振り返って
「りい、本当にありがとう。りいのおかげだよ」
と言った。すると、りいがこっちを向いて
「どういたしまして、頑張れよ」
と笑顔で言ってきた。
────────────
「にしても、帰って来れて良かったよなぁ…」
あの後、展望台を降りて、途方に暮れていたうち達を救ってくれたのは、りいのお父さんだった。うち達はりいのお父さんの車に乗って、事務所まで連れ帰ってもらったのだ。本当にあの時は救世主!て思った…。
「そういえば、なんでりいのお父さんがいたの?」
あやちゃんが、うちの疑問を聞いてくれると、
「ああ、ぱぱに連絡したんだよね。『いつもの展望台まで迎えに来て〜!』ってね。たまたま近くにいたから助かったよ〜」
それで来てくれるりいのお父さん、神すぎんだろ…。
まあ、今回の事で、無茶はするべきじゃないってよ〜く理解出来たし、次から気をつければいいか。
「まあ次からはちゃんと道も覚えるし、そもそも尾行なんて次はしないし……。タブン」
「多分!?」
あやちゃんが繰り返す。
「はあ…。まあなんだかんだ楽しかったし、綺麗な景色も堪能出来たからいいけど、次からはちゃんと下準備とかしようね?」
りいはしょぼんとしながら了承していた。
「そういえば、あの後ゆうさん達はどうなった?」
うちは他にもあった疑問をりいに聞く。
「あぁ、ゆう達?ちゃんと付き合ったって〜。ほんとに良かったよね」
「ほんっと、一安心だよ」
うち達のせいで付き合えなかったとか、そんなの嫌すぎるからな……。色々あったけど、良かったな。付き合えたってことは……
「今回も、任務達成って感じだな」
そう言うと、りいとあやちゃんは二人で見つめあって元気に
「「そうだね!」」
と頷いた。
こんにちは!作者のゆるなめここと、ゆるるい@なめこです。
今回も、毎回の恒例行事のように謝罪から入ります。本当に申し訳ございませんでした…!毎度毎度ペース早めると言っておきながら、早くなるどころかどんどん遅くなってきてます…。本当に申し訳ございません。これからは、出来ないことを口にするのはやめようと思います…。ですが、出来る限りは頑張っていきたいので、是非とも応援のほど、よろしくお願いします!
さて、今回のお話は少し表現にこだわってみました!途中の展望台の場面等、特に興が乗ってしまいました。慣れない事だったので疲れた反面、達成感に似た何かがありました。また次回も、こんな感じの表現が出来たらいいなぁ…。
さて!なんとか続きを出すことも出来たので、また次の話に取り掛かっていこうかなと思います。まだまだ未熟な部分が目立ったりすると思いますが、何卒、応援のほど、よろしくお願いします。応援して頂けると、泣いて喜びます!
それでは、また次回お会いしましょう!