お悩み相談!〜前編〜
「前回のあらすじ!」
「はい」
「……何やったっけ?」
「忘れんなよなぁ…。」
「スイマセン…」
「はあ…前回は、りいは逃げて、うちが普段の立場と違って困惑してたり、あやちゃんと前回の依頼人…あおいさんが大号泣してたりしました。」
「いやあ…あの場にぼくがいたら本格的に崩壊してたと思うよ?」
「おぉっと清々しい」
「てへぺろりんぬ」
「はあ…」
「今回は、依頼人がなんと!?」
「なんと…!」
「……自分の目で確かめてみてください!」
「おい!せっかくノリに乗ったのに!」
「いやあごめんごめん…」
「はあ…何回ため息つけばいいんだ…。」
「さあ?とりあえず、そろそろやるぞー!」
「おっあれか」
「それではみなさん!せーの、」
「「事務所の日常、楽しんでください!」」
春の陽気がポカポカして、ついうたた寝をしてしまいそうな午後の算数の時間。先生はまた積分の話をしている。この積分の話のせいで眠くなってしまう…。もうもはや算数の時間と言うより数学の時間なんじゃあ無いかと疑ってしまう…。もう…寝てもいいよね…。
!?
ガクってした…。寝てたのか…。あぁ〜ねむっ。
そう思いながら伸びをすると、ふと、視線を感じた。でもその感覚はすぐに無くなった。なんだったんだろ…。そう考えているとチャイムがなった。あぁ、今日は五時間日課だからこれで終わりか…。よしゃぁぁぁ!よし!家帰ってゲームしよう!格ゲーだ格ゲー!今日は色んな推しキャラを使ってプレイするって決めたんだ!
「アホかこのたわけが。」
「!?!?」
急に声がしてビビったぼくに、彼女は言葉のマシンガンを打ってくる。
「全く…ゲームをしようなんて考えるんじゃないよ…。本当にバカなのか…。事務所行かずにどーすんのさ…。ほら、さっさと帰り支度するぞ〜。」
「え待って待って待って。なんでぼくが今日ゲームしようって分かったの?」
ぼくはしほに疑問の刃を突きつける。
「顔で分かるわそんなん。」
「マジっすか…すげぇっすね…。」
「でしょ?」
と、普段と少し違う雰囲気を放っているしほが答えた。なんか今日のしほはトゲトゲしてるっていうかなんというか…まあそんなオーラを放っていた。
「ねえしほ」
「何?」
「なんかぼくやっちゃった?」
「どしたの急に。」
「いやぁ、なんか普段と少し様子が違うな〜と思いまして…」
少し言葉を詰まらせながらぼくは聞いてみた。べっつにー…?ビビってる訳では無いんだけどねー…?はあ…なんか今日はぼくも変だわ…。ぼくが一人の世界で騒いでいるとしほが呟いた。
「今日さ…学校来る前にアニメ見たんだよ…。」
「はいはいはい」
「うちの推しがさ…」
「あー…察し…」
「死んじゃって…」
「やはりか…」
多分あのアニメのあのキャラだろう…まあ、名前を出したりすると何故か謎の存在に消されそうな予感がするから言わないでおこう…。
それにしてもしほは推しが死ぬのは耐えられない派の人か…。
「しほは推しが死ぬの辛い?」
「当たり前でしょ。逆にりいは辛くないの?」
「個人的推しが死ぬシーンっていうのはさ、推しにとっての最後の場面じゃん?だからさ、この死ぬシーンって言うのが、推しにとっての最後の出番、最大の山場だと思うんよ。つまり制作陣営も結構な力を入れてると思うんだよねー。だからぼくは、推しに力を入れてもらえるのが嬉しいし、推しの最大の山場で、推しのことをさらに好きになれると思うんだ〜。だから、推しの死を辛く考えるんじゃあ無くてさ、推しの最後を、今までありがとう、お疲れ様って気持ちでさ、見守ろうぜ?」
自分でも熱く語りすぎたなと思うけど、しほは
「そうか…確かにそうかも…」
どうやらぼくの考えを分かってくれたようだ。いやあ、嬉しいなあ…。
「まあ、これは単なる一個人の意見なんで、そう思えない人もいるだろうけどねー」
「まあ、今回はそんなりいの考えに救われた気がするわ。だがしかし、それはそうとして、最後の見守ろうぜ、キラーンって言うのがムカついたから殴る!」
「うぉっと!あぶねっ!」
間一髪で避けたが、当たっていたら死んでたかもしれない…。さすがに大袈裟か。
攻撃を避けられたしほは
「とりあえず、あやちゃんのとこ行こ」
と話を変えてきた。まあぼくもあやちゃんを待たせるのはあれなんで話を変えさせてあげよう。
「そうだねー行くかー。」
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「お〜。またドンパチやった後っぽそうだね」
軽そうにそういうあやちゃんに、ぼくは
「そんな軽く触れていいような乱闘じゃないんですけど!?」
と、きちんと言っておいた。
「乱闘って言っても、いつもしほがりいを一方的にやってるだけじゃない?」
「そーだそーだ!」
ここぞとばかりに便乗していく。
「調子に乗るなー!」
しほが少しイラついたように言う。ふっふっふっ。こんな時こそ、ぼくが一番輝く時なのさ!
「くっそ楽しそうだな今のりい」
「楽しいです!」
「「うわあすっごい素直!」」
しほとあやちゃんがハモる。この二人、なんか前より息ぴったしだなぁ。
「二人も楽しそうよね」
「「まあ…ね?」」
おっと今日のしほとあやちゃんのデレ。頂きましたー!
あぁぁぁ可愛い。
「あぁぁぁ可愛い。」
「出てる出てる」
「おっと」
「……コホン。帰るかぁ」
「「帰ろうか」」
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「さて、事務所へ来たはいいものの、来るまで暇よなぁ。ゲームするか。」
「ゲームすなぁ!」
しほがりいに突っかかっていく。あぁ…また乱闘か…。
頭が重いなぁ…。乱闘なら外でやってく…
「あやちゃんゲームしよ!」
「望むところだ」
「あやちゃん!?……。もういいや…。所で、なんのゲームするの?」
「「格ゲー一択」」
さあ、闘いを…始めよう…。
「あっちょっ、ヤバいヤバい死ぬ」
「ふっはっはっ!この技が当たれば!」
…………。やばっ。
「当たったー!」
「うぐっ…」
「飛んで行きな」
「あぁぁぁ負けた…。前回は勝てたのに…。」
「前回って…あれはしょうがないじゃん。使ったことないキャラだったし。」
「………。面白そうだな…。」
「おっ?しほもやる?」
「今度やらせて」
「おけい」
ふー…。一息つこう…。そう思っていたら
ピーンポーン
と、チャイムが鳴った。
「二人目だ!今行きまーす!」
と、りいが嬉しそうに言いながら玄関へ向かっていった。
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「なんだお前か」
「なんだ言うなよ」
ぼくの目の前には…
「「知り合い?」」
「…………。あぁ…。」
ぼくの数少ない友達…ゆうが立っていた。
「んで、今日はどしたん?てか、何故ここを知ってる?」
とりあえず、しほとあやちゃんにはお外へ行ってもらうことにした。どうしてもゆうとの話に熱中して、しほとあやちゃんに話題を振ることが難しくなりそうだからね…。
さて、話を聞こう。友達の為、ぼくのとてつもなーく丁寧な対応をするモード、外面モードはオフで、彼に疑問を投げつける。
てか外面モードって名前酷いな…自分で考えたけど。
「いやあ、実は悩みがあって…。あっちな、ここを知ってる理由はあおいちゃんから聞いてね。」
まさかのあおいさんと知り合いだったー!
という叫びを、何とか飲み込んで
「そうなんだ…」
と、言葉を捻り出した。二人が繋がってたとかぼく知らないんだが…。
「んで、悩みっていうのは?純粋に気になる」
「えっじゃあ言うのやめよっかな…」
「いいのか気になりすぎて木になるぞ」
「何それ……」
おおっとなんかゆうからの哀れみの視線を向けられている気がする…。まあいいか。
「さあ悩みを言うのだー!さもないと…」
「さもないと…?」
「ぼくが発狂しながら踊るぞ」
「それで悩みなんだけど…」
「切り替え早!?」
くっ…なんかあれだな…
「まるでぼくの踊りを見たくないみたいに言うじゃあないか」
まあ流石に本当の事を言うわけないだろう。さあ、どのように言葉を濁すのか…さあ!答えてみるがいい!なんて一人で魔王ごっこしていると
「そりゃ見たくないだろ」
なんなんねんほんま…。
まあしょうがない。今回ばかりは許してやろうじゃないか…。うっーわ今のぼく自分自身でもムカついたわ…。
「んで悩みっていうのがさ…。」
うんうんと相槌を打って聞く。すると彼は顔を赤くしながら
「……恋の悩み…でさ…。」
と、照れながら言った。
「…………。……えっ?」
一体どれくらい固まっていたのかは分からない。五秒かもしれないし、一分かもしれないし、もしかしたら五分かもしれない。ただ分かるのは、体感ではとても長い時間が経過したように感じる。ぼくが固まっていると、ゆうは必然的に黙ってしまうわけで…ぼく達の間には、静寂が流れていた。
その静寂を打ち破ったのは、ぼくではなく、ゆうだった。
「あの…固まられるとこっちも困っちゃうんやけど」
「ごめん」
ついびっくりして固まってしまったんだ…。とりあえずゆうには言っておこう。
「ぼくは嬉しい。今まで君は、ずっと『ぐへへ可愛いロリっ子と結婚したい…吐血してんの好き』って言って、三次元に興味はないのかと思っていた。君はこのまま、ぼくと同じように可愛いキャラと結婚したいと言って、現実を見ないのかと思っていた。」
「おれそんなこと言ったっけ…。ていうか、あれ?今ぼくと同じようにっつった?えっりい現実見なよ…」
…………。せっかくぼくが渾身のモノマネをしたって言うのに…。まあとりあえず続ける。
「でも君は、現実を見たんだね!このまま、現実を見ないのもいいかなとぼくは思うけど、君が現実を見るというのなら、ぼくは全力で!君の恋を応援するよ!」
「……。色々言いたいことはあるけど、ありがと。」
「まあぼくは、リアル恋愛というのは経験したことが少ししかないけど、君の恋を実らせる努力をするよ!」
「なんか心配…ってえ?少しは経験あるの?マジ?」
どんだけこの人はぼくの事を二次元大好きマンだと思ってるんだ…。
「ぼくだってあるさ!なんてったって、沢山の女の子を、落としてきたんだから…ねっ。」
「ゲームだな」
バレたか…。
「まあでも、ぼくの回りには結構カップルがいるから、恋愛についてはなんとな〜くなら分かるから。行ける行ける。」
「ほんとかなぁ…。」
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「さあ!偵察を開始する。」
「待て待て待て待て待て待て待ておかしいだろ」
しほが静かにキレる。流石にいつもみたいに騒ぐ訳には行かず……。そう、私達は今、一歩間違えれば犯罪なんじゃないかという行為……尾行をしているのだ。はあ……何やってるんだほんとに…。
「おかしいだろ言うても、二人の仲を見ない限りは恋の相談なんて乗れないじゃん」
ごもっともなんだが…まだ方法あったろうに…。
「それでも、尾行じゃなくても良くない?」
私が、りいにそう言うと、
「一番分かるのは尾行だと思うんよ」
…………。諦めも肝心…。
「おっ!ゆう、ちゃんと車道側キープしてんじゃん。いいね〜。」
だんだんりいが頼もしく見えてきた。そう見えている理由は、やっぱり私達が恋愛経験がゼロに等しいからなのか。
「車道側キープでも好感度上がらない人も沢山いるぞ多分」
「まじすか?」
「結構気づかない人も多いと思う。」
なんかしほ、体験したような言い方だなぁ…。まさか…
「しほは恋愛経験あるの?」
「まあ結構ある方かなぁ?」
……。訂正。私達じゃなくて、私でした。
「しほあるんだ〜。びっくり」
「少なくとも、りいよかある」
「ぼくだって…少しくらい…」
「ゲームでね」
「バレたか」
……。やっぱり訂正。私じゃなくて、私達でした。
「とりあえず、見るよ〜!」
そういうりいは、テンション爆上がり中なのだろう。よくアニメで出てくる名探偵の帽子を被って、身体中からキラキラしたオーラを放っている。単純だなぁ。
……あっ。
「ねえりい、今、女の子凄い笑顔だった」
私がそういうと、りいは、普段より大人らしい笑顔で、手を自分の体の前に持ってきて、グッとして、
「その調子…頑張れ…!」
と言った。その仕草に何となく心がドキッとしてしまった…。何故……。私がりいに釘付けになっていると、
「ん?どした?」
と、りいが聞いてきた。私は照れ隠しで、
「なんでもない!」
と、少し怒りを含んだ声で返した。
「なんで怒ってるの…。」
「別に…怒ってるわけではないし…」
うぅ…。最近の中で一番の恥だ…。
「ちょっ!二人とも!」
「んー?なんかあった?」
はあ…。一瞬でもかっこいいな…なんて思った自分がばかだった…。そう思う程に今のりいは普段の残念なりいだ。まあでも、普段の残念なりいの方が、馴染みがあるけどね。そういえば、しほがなんか言いそうになってたな…。
「しほ、何かあったの?」
私がそう聞くと、しほは
「あったよ!二人がカフェの中に入ってったよ!」
「「まじで!?」」
私とりいの驚きの声が重なる。
「ちょっ!急げ急げ!入るぞー!」
りいの焦った声を聞きながら、私達はカフェの中に入っていった。
こんにちは!作者の、ゆるるい@なめここと、ゆるなめこです。今回は、最初の話が長かったですね…。そこは本当に申し訳ございません…。最初ら辺では、パロディ?(なのか…?)とかが入っておりました。この先も、パロディなどなどが入ってくると思いますので、元ネタ探しをしたり、おっあの作品じゃーんと思ったり、人それぞれの楽しみ方をしてもらえると嬉しいです!
さて!最初の話を長くした結果、前後編にわけるしかなかったんです…。ですが、後編は、早いうちに上げたいと思いますので、是非、応援していただけると嬉しいなと思います。それでは、また次回お会いしましょう!