事務所設立?
どうして、こんなことになってしまったのだろう…もっと、違う人生があったはずなのに……。
「りい〜、どしたの?」
そういってこの女の子…しほがぼくに話しかけてくる
「そんな机に突っ伏してないでさ〜。てか聞いてる?」
「聞いてる聞いてるー」といいつつも実はあまり聞いていない。だがそんなこと、しほなら分かっているのだろう。だからぼくはこんな適当な返しをして、彼女の話を流した。ぼくは今とても重要なことを考えているのだ。
「悩み事でもあんの?」
「そりゃぁとーっても大きい悩み事があるよ!」
何?という顔をしている。ぼくは机をドン!としながら
一言
「暇ァ!」
「……は?」
「だって、ぼくらの今の学年は6年!6年に上がったんだよ!?小学校生活最後の学年!なのに漫画やアニメみたいな異世界転生とかないし!毎日学校行って授業受けて家帰って寝る!そんな毎日だよ!?確かに平和なのはいい事だけど、何かあってもいいじゃん!なんかちょっとでも変化があればいいの!なんか普段の日常に少しスパイスを加えたいの!」と、長々と語るぼくを前に、しほは変人を見るような目でこちらを見てくる…おかしいなー?変人はどこにもいないんだけどなー……。
「とりあえず、りいはなんか面白いことがしたいんだね?」
うんうんと、ぼくは首を縦に降った。でも、面白いことといってもイメージの様なものは全然わかない。どうすればいいかうーん……と唸っていると、思いついた。
「事務所作ろう!」
ぼくが事務所作ろうと言ってから早4時間と何分かがたった……やっぱり授業は暇だなと思う。算数で、まだ6年のぼくらに、積分を嬉々として語る先生。みんないつもの事だなと思っているのか、あくびをする人や折り紙をおる人、友達と喋る人など……みんな先生の積分の話なんて聞かずに自由にしている。ぼくは暇だから窓の外を見つめると、1組のぼくの友達のあやが持久走をしていた。じっと観察してると、持久走が終わったのか、ゆっくりと水筒置き場にいって水を飲んでいた。ふと、彼女が上の窓を見上げると、彼女をじっと見ていたぼくと目が合った。すると彼女は、はぁ…とため息をついたような雰囲気を醸し出した後、こちらを向いて手を振っていた。ぼくも手を振り返す。そしたら彼女は行ってしまった。はぁー。先生はまだ積分の話してるし、クラスのみんなはほとんど暇してそうだし、そこで、チャイムがなった。今この時、きっとみんなはこう思ったんだろうな……「救世主!!」って。実際ぼくもそう思った。
「あっ、授業は終わりですね。それでは日直さん、号令を。」
「気をつけ!これで、5時間目の算数を終わります。」その声と同時に、みんな帰り支度を始める。そんなに焦らなくてもいいと思うんだけど……。そんなことを考えているとしほに声をかけられた。
「ねえ、朝言ってた事務所を作るって、一体何すんの?」とちょっとビビり気味に聞いてきた。きっとぼくが変なことしないか心配なんだろう。この人はぼくをなんだと思っているんだ……。とりあえず彼女の疑問に答えようと思い、
「んー…そのまんま!」
と言い、教科書などが乱雑に詰められたランドセルを背負って、1組の目の前に行った。ドアの前でガン待ちしていると、終わったのか人が波のように押し寄せてきた。そして、人がたくさん出ていったあと、ぼくはあやを探す。彼女はぼくの探す視線に気がつくと、こっちにタッタッタッと来た。ぼくはあやに
「ヤホッ!ちょっと話したいことがあるから、今日の3時半に、ぼくんちの家に来て!」といって、早く帰ろうとした。……が、しほを忘れていることに気づき、2組の教室に入っていく。戻ると、もう少しで支度が終わりそうな状態のしほを見つけた。そしてぼくは、
「今日大事な話があるから僕の家に来て!あとぼくは準備するから先帰るね!あと、3時半に来て!ばいばーい!」といって、帰った。そして、準備に取り掛かった。その作業は、案外早くに終わった。そして、家で2人を待っているとピンポーンとチャイムがなった。出ると、2人ともいた。
「あっ、2人で合流してきたんだ〜。とりあえず、ぼくの家来てもらって悪いんだけど、今からぼくに着いてきて。」といった。2人は?みたいな感じでとりあえず着いてくる。そして着いたところは……
りいが着いてきてと言った。私は、何があるのか分からないまま、ついて行ってるけど、りいは、道に迷っているのか同じところをグルグル回っている。ちょっと心配になった私は、りいに
「ねぇ、迷ってない?」
と聞いてみた。そしたらりいは
「迷ってないよー。ただ寄り道してるだけ〜!」
と言った。しほが少しイラついている…気がする。私は、しほの怒りを沈めるため、
「ところで、どこに行くの?」
と聞いた。そしたらしほが
「あ、それうちも気になってた」と、しほが言う。私は、なんとかしほの怒りを紛らわすことが出来た…と少し安心した。……と、そんな私の苦労を知らずに、りいは
「えー。内緒!」
と言う。しほの怒りがまた来そうだと少し身構えるが、しほは諦めたのか完全にスルーしている。少し良かったと思っている自分がいる。それより、同じ道をまだグルグルしている。さすがに、少し疲れてきたから、りいに
「さすがに疲れたからちゃんと進んで欲しいんだけど…」
というと、りいは
「わかった!それじゃ、一旦みんながわかる所まで戻ろう。」
と、あっさりいって、私たちはりいの家までもどって、今度こそ、道案内(?)が始まった。聞いてみると、目的の場所は、すごく近いらしく、3分もあれば着くとのこと。そして、そんな説明やらを聞いていると、目的の場所に着いたのか、りいは足を止めた。
ぼくが足を止めた目の前にあるのは、白い建物……もとい、事務所があるところだ。
「「どこここ?」」
「事務所です!」
「いや、何故?そもそもここどうしたの?」
と、しほが言う。ぼくは
「事務所作ろうって言ったじゃーん。ちなみにこの建物を提供してくれた人は、ぼくの知り合いで、あっさり貸してくれたんだよね〜」
「まじか……」
と驚くしほ。あやは言葉も出ないのか、口が開いたままになっている。
「とりあえず中を見てください!」そういって2人を半ば強引に中へ連れ込んだ。
中を見た2人は驚いていた。なーんっにもない部屋、一応部屋は沢山あるところを選んだけど……よくよく考えたらそんなに部屋使わないわと思った。一通り中を全部見た2人は
「「すごい!」」と言っていた。
「へっへーん。すごいでしょ!」
「は?何故りいがドヤる……」
「いやだって、ここ選んだのぼくだし……。とりあえず、話がしたいんですわってすわって!」
「いや、座る椅子がないけど……」とあやが言って気がつく。ここには何もないと自分で分かっていたけど、改めて何もないことを実感させられた。
「それじゃ、床に……」と言うと、しほのアッパーが炸裂してきたんで逃げた。
「あー、おほん!君たちを集めたのはほかでもない!これからぼくたち3人で事務所を開こうと思っている!」
「何の準備もないのに?」
「あやちゃんは毎回痛い所をつくね……。とりあえず、今ぼくが考えてるのはこんな感じ!」といって、ぼくは持っている紙を広げて見せた。
事務所計画!(計画じゃないけど)
1.ぼくらの活動は、困った人を助ける!
2.事務所を立てたと噂を流して、困った人が来るという流れ……になるはず……
3.その人の困ったことをぼくらで解決しよう!
これを見た2人は、何とも言えない顔をしていた。
「ていうか、さっきの準備ってこれの事だったのか。」
そういうしほに、ぼくはうんうんと首を振った。
「ねぇ、これってさ、困った人を助けるって言うのはいいけど、そんなここに来るの?」
「ご安心を、この建物の壁におっきく○○事務所って書くから」
「そんなんで来るわけないでしょ……」
「まあ来なかったら来なかったでぼくらはここでいろいろ満喫するだけだよ」
そういうと、あやは
「まあいいよ。私は結構楽しそうだと思う。」
「さっすがあやちゃんー!で、しほはどうなの?」
「まあうちも暇だし、しゃーないから付き合ったげるよ」としほもいいと言ってくれた。
「わーい!」とつい叫んでしまった……また変人扱いされそうだな〜としほの方を向くと、ちょっと笑顔になりながら
「喜ぶのはいいんだけど、事務所の名前何にすんの?」といった。ぼくもそこまで考えてなかったなーと思い、
「うーん……」と唸る。そこで、とってもいい名前が浮かんできた!
「ぼくらは、ゆるーくのんびーりやっていくつもりだから……『ゆる事務所』!なんてどうかな?」
「ま、いいんじゃない?」
「いえーい!あやちゃんは?」
「私も賛成だよ。」
と、2人の許可を貰った!そしてぼくは元気にこう宣言した。
「よし!じゃあ決まり!これからゆる事務所、開業だー!」
こんにちは!作者のゆるるい@なめこです。初めての作品なので、おかしな所が多々あるかもしれませんが、書いていく中で成長していく予定なので、ゆるーく見守っていただければな〜と思います。今回は、トラブルはないですけど、次回からはトラブル盛りだくさんでお届けしようと思いますので、もし良ければ、次回も見ていただければ私は泣いて喜びます。それでは、また次回お会いしましょう!