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今年最後かもしれない日常と青春寫眞部  作者: 小久保
第1幕「再開と日常」
3/5

第1話「とある部長の1日 新学期~」

第1話が新学期の朝~、第2話が放課後~(部活)と連続してます。

 短いような、長いような、そんな春休みが終わりを告げ、今日から新年度が始まった。

 特に赤点もなく無事に3年生になった、俺の今年の目標は『今年こそ写真展に入選してみる』である。なぜなら高校生になってから一度も写真展に入選したことがないのだ。


「中学時代は結構入選したんだけどな……」


 朝の身支度をしつつ、そんなことを考えていると、時間があっという間に過ぎる。気付けば、家を出る時間になっていた俺は駆け足で家を出る。

 自宅から学校までは、おおよそ30分かけて徒歩で通学している。俺以外の生徒らは鉄道やバス等で通学しているため殆ど歩く姿を見かけないことが多い。そのため、通学路では一部の生徒を除き、会うこともないし、道ですれ違うこともない。ただ、今日は少し違ったようだ。


「真守~おはよう!」


 後方から大きな声と共に同級生の蒼太が走ってきた。蒼太は、小学校時代からの同級生で、お互いによく会話する仲だ。


「なんだ、蒼太か、ビックリするな。あれ、今日はバスじゃないのか?」

「あー、それがバスに乗り遅れてさ。仕方なく歩いてたら真守を発見したというわけ」

「確かにあれに乗り遅れたら次ないもんな」


 田舎に学校があるということもあり、バスに限らず、電車等の公共交通機関は間隔が空いており、乗り遅れると20分、30分待たされることが日常だ。


「それな。そういえばさ、今年のクラス替えどうなるんかな。僕はまた真守と一緒だったらいいなー」

「そういえば、クラス発表なんかあったね」


 俺の通う蓑山高校は、新学期当日にクラス発表がある。クラス発表と言っても、教室などで大々的に発表されるのではなく、毎年この学校では生徒玄関に掲示される。

 偶然なのか、蒼太とは一年生の時から同じクラスになっていた。


「俺も蒼太と一緒がいいな、顔知ってた方が色々と楽だし、落ち着くし」


 蒼太とまた同じクラスメイトになれるか、少し気になったまま、しばらくして俺たちは学校に到着し、生徒玄関に掲示されたクラス表を確認する。


「お! また真守クラス同じだ。これで3年間同じだね!」


 蒼太と三年間同じクラスだと、何だか先生方がわざと同じクラスに割り振っていそうな違和感を覚えるが、その分、蒼太と同じクラスになってホットする真守。


 玄関に靴を入れ、上履きを履き自分のクラスへと向かう。


「というか、大体変わってなかったね」

「そう? よく見てなかったから分からん」


 クラスに着き、蒼太が言っていたようにクラスを見渡すと、去年とあまり変わらない人たち。やはり生徒数が少ないためか、唯一数人が入れ替わっている程度。


 ただ、気になったのは、なぜか俺の席の隣だけ空席になっていることだけ。


「この席誰か来るんかな?」

「でも、不自然に空いてるから、多分転校でもしてくるんじゃないのかな」


 俺と同様、他のクラスメイトも不自然な空席に、転校してくる生徒がいるのではないか、などと疑問がクラスの中で飛び交っていた。しかし、その空席について担任から一言も言及されず、ただ生徒たちの中で謎だけが深まるばかり。

 その後俺たちは始業式に出席したのち、ホームルームに移っていた。HRホームルームは各学年、若しくは各教室でそれぞれ違ったことが行われることが多いが、最初のHRとなると話は別である。もはやお約束でもある先生の自己紹介や、選挙管理委員・風紀委員など係決めを行うことが多い。


「このクラスを受け持つことになった、担任の瀧倉だ。以後よろしく!」


 どうにも納得がいかない。なぜ3年間担任が同じ先生なのか。しかも、写真部の顧問であり、永遠のライバル的存在である。この瀧倉先生は、教師をする傍ら様々な写真展に毎年1つは入選する、ベテランの写真家だ。しかも元気と笑顔が絶えない先生でもある。


「では、名前順に自己紹介やっていこう! はい、○○、スタンバイ!」


 この調子で各自自己紹介に続いて、選挙管理委員などの役員決めという順序で終わっていき、気づけば、明日から授業が始まるとか、授業時間が短いなどの予定を聞いたのち、HRが終わった。すると、蒼太が待っていたとばかりに俺に声をかけてきた。

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