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妹のプレゼント選び。




私の失言を気づかってか、ドナルドが手配して食堂ではなく庭にあるテラスで食べるようになった。


王族が利用しているということもあり、他の生徒たちも近くには寄って来ない。

というよりも……遠巻きに見ているだけで、寄っては来れないようだ。


ミシェルの言っていたように、令嬢の兄を紹介されたり、直接子息に声をかけられるようにはなったけど、ドナルドが私たちの教室にちょくちょく来てくれるので面倒なことにはなっていない。




「みなさま、ごきげんよう。」


リリアンが珍しく、私たちに会いに来た。

彼女は、公爵令嬢だから他の令嬢も文句は言えないだろうな。


「どうしたんですか?」


ドナルドが声をかけた。


「ふふっ、ある話しを聞いたのでアストレア家に用事があったんです。」


ある話し……?

何のことだろう。リリアンも庭園で起こったことを知っているの?


「話し…とは?」


リリアンが私に顔を近づける。

自分でも表情がこわばっているのがわかる……。


「週末、家に招待して欲しくって!」


リリアンが笑顔で答えた。


「もしかして……レニーの誕生日ですか?」


ミシェルがため息交じりに言った。

あぁ、そういえばレニーの誕生日だったわ。

どうしよう……プレゼントをまだ用意してない。


リリアンの発言で、他の人たちもレニーの誕生日に来ることになってしまった。

まぁ、レニーもここにいるみんなを知っているし、大丈夫かな。




「姉さん、僕たちは今日プレゼントを買いに行くけど、どうする?」


食べ終わるとミシェルが私に聞いてきた。


「一緒に行くわ。何をあげるの?」


ミシェルとダニエルは、顔を見合わせる。


「「教えない。」」


こういう時だけ、本当に息がピッタリなんだから……。





「マリー嬢。」


振り返ると、チェイス王子が立っていた。

もう戻ったと思っていたけど……。


「どうされましたか?」


「あの、何がいいだろうか……?」


もしかして、プレゼントのことを言っているのかしら。

レニーの喜ぶモノってなんだろう。

こっちが聞きたいくらいね。


「あの子が好きなのは、チョコレートとネコと……。」


「それは、知っている。」


まぁ、そうよね。

あの子は、あまりモノを欲しがらないから難しいわね……。


「きっと、あの子は何をもらっても喜びますよ。」


これしか答えが見つからない。

残念ながら、助言してレニーからも好かれて欲しいとは思うけど、わからないのだから仕方ない。


「そうか……。引き留めて悪かったな。」




学園を出て街に向かった。

ミシェルとダニエルは、本当に購入するモノを決めていたみたいだ。


もうすぐ、レニーも学園に通うことになるし、使えるモノの方が良いわね。

カバンは、両親がいつも用意しているし……。


街を歩いていると、ヒロイン候補を見かけた。

乙女ゲームの人気No.1のヒロイン、庶民のライラだわ。

一瞬しか見えなかったけど、レニーとかとは顔のタイプが少し違っている。

ほんわかした可愛いヒロインで、いわば王道。


2年後、魔力が目覚めていれば彼女も学園に通うことになるのか……。


とりあえず、今はレニーのプレゼントを探さないと。


お菓子はロゼが用意するだろうし……。

本も、辞典のようなモノをこの前読んでいたからなぁ。




ふと、時計店に目がとまった。

ショーケースに並んでいるモノが綺麗だったのだ。


青い宝石があしらわれていて、シンプルなデザインなのでレニーも気に入るかもしれない。

でも、とても高かったらどうしよう。


「レニーお嬢さまのプレゼントですか?」


振り向くと、アーティが立っていた。


「えっ?なんでここにいるの?」


「ふふっ、ミシェルさまたちに今日街へ行くと聞いていたので見に来たんですよ。」


そうだったのか。


「えぇ、これどう思う?」


「レニーお嬢さまの目の色に似ていて綺麗ですね。」


そうよね。

これにしよう。


中に入ると、他にも色々な時計が並べられていた。

来年は、ミシェルとダニエルのプレゼントも時計にしようかしら。


「この石は、アレキサンドライトといって珍しいモノなんですよ。」


店主がにっこりと微笑んでくれた。

それならきっと、レニーも喜んでくれるだろう。


アーティと馬車に戻ると、ミシェルとダニエルが既に待っていた。


「何を買ったの?」


「ふふっ、教えないわ。」


アーティは、仕事に戻り私たちだけが帰ることに。


ミシェルとダニエルがじっと私を見つめる。


「そんな顔でみても、絶対に教えませんからね。」


2人は、クスクスと笑っている。

まったく、可愛い弟たちだ。


帰ったら、両親にレニーの誕生日にみんなが来ることを言わないと……。

あれ、そういえば私なんで王族が嫌いかこの前お母さまに聞くのを忘れていたわ。

今更聞いても教えてくれないだろうか……。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



机に置かれた手紙を開く。


”石碑    使用不可”


やっぱりそうか。

今は、争いも少なく代替わりしてからの国王は他国との親交を深めている。


わざわざ、石碑を使って結界を強化する必要はないか……。


コンコン(ドアをノックする音)


「入れ」


「失礼いたします。」


部下が、珍しく慌てているようだな。


「どうした?」


「先日アイリーンが、再び森へ足を踏み入れたようです。」


アイリーンか……。

前婚約者のせいで、魔法を捨てたにも関わらず妖精の元へ行ったのだな。


「よくは、見えなかったようですが……。おそらく子供を連れていたとのことです。」


「子供を……?」


アストレア家には、子供が5人いる。

まだ、全員10歳以下だったはずだが……。


「はい。毛布にくるんで抱えていたとのことです。」


病気か?

でも、わざわざ妖精の元を訪れる必要はないだろう。


アイリーンとアストレア公爵は、私の計画を全て無駄にした。

ディアスさえ、王座に就いていれば……。


「しばらく、監視していろ。」


子供の精霊使いの能力が発動したにせよ、他の理由にせよ探る必要があるだろう。

妖精の王は、未だ健在ということか……。


最近は、王子たちとアストレア家とヴィンセント家の令嬢が親しくしていると聞く。

アレクセイ・アストレア…私を警戒している。

まぁ、無理はないが邪魔でしかないな。




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