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眠る妹と母の魔法。




ミシェルとダニエルは、放課後ドナルドたちの家に行くことになった。

私は、早く帰って母から話しを聞くことに。


珍しく出迎えがないと思っていたら、アーティが走ってきた。


「おかえりなさいませ。奥様が、庭の噴水の所で待つとおっしゃっていましたよ。」


「ありがとう。」


時間がもったいないから、そのまま行ってしまおう。


「マリーお嬢さま、”着替えて”くるようにと。」


アーティがにっこり微笑んで私を止めた。

ズボラな考えが、バレていたようだ。


仕方なく一旦部屋に戻ろうとすると、レニーの部屋にメイドが出入りしているのが見えた。

なにかあったのかしら……?


部屋を覗き込むと、レニーがロゼの手を握り眠っていた。


「あっマリーお嬢さま、おかえりなさいませ。」


「なにがあったの?」


チッチがレニーの顔を尻尾で撫でている。

心配しているのだろう……。


「熱を出されたのですが、もう下がっているので安心してください。」


初めて、病気になっているのを見た。

側にいてあげたいけど、母が待っているので先に噴水に向かうことにした。




噴水で母が待っていた。


「おかえりなさい。ふふっ、ちゃんと着替えたのね。」


アーティの言葉をちゃんと聞いておいてよかった。


「あの本に書かれているのは、全部本当のことですか?」


早速すぎただろうか……。


「そうね。細かい部分はわからないけれど、アナスタシアも妖精王も実在するわ。」


本当に妖精たちの王がいるんだ。

きっと美形なんだろうな……。

いやいや、今はこんなことを考えている場合ではない。


「あの、本の続きというか、アナスタシアはどうなったんですか?」


母は少し困ったように微笑んだ。


「…アナスタシアは、妖精王も国も選びはしなかったの。」


どういうことだろう……。


「アナスタシアは、自分で眠りにつくことを選んだそうよ。でも……。」


王子のキスで目覚めるようなパターンなのだろうか。

でも、それでアナスタシアが目覚めたのならハッピーエンドのはず。


「生きているのですか?」


「それは、残念ながらわからないわ。」


このせいで、本のページを抜いているのだろうか……。

それにしては、変だと思うけど。


「本のページが少ないのは、なぜです?」


「ふふっ、ちゃんと気づいたのね。とても古い本で、ハッキリとはわからないけど……。妖精王がアナスタシアを追い込んだ国に激怒して、土地をぐちゃぐちゃにしたからだと言われているわ。」


妖精王は、やっぱりアナスタシアを愛していたのね。

国を滅ぼそうとした妖精王が悪だから、本のページを減らしたのかな?

なんだか釈然としないわ……。


とにかく、他に一番気になっているのは……。


「では……。お母さまに精霊使いの能力はあるのですか?」


正直、一番聞きたかったのはこのことだ。


そう聞くと、母はクスクス笑いだした。

ん?どういうことだろうか。


「ふふっ、肩を見てみて。」


そう言われて肩を見ると、綺麗な顔をした……。


「……妖精?」


「そうだよ。ふふっ、よろしくねマリー。」


小さな妖精は、想像していたよりもずっと綺麗な生き物だった。


「ティアっていうのよ。私の親友で、力を貸してくれるわ。」


母は、やっぱり精霊使いだったんだわ。

それにしても。


「……なんで、私にも見えるのですか?」


「普段は、隠しているだけなんだよ。力が強ければ、見えない人にも姿を見せることができるんだ。」


そうなんだ。

少し、私にも精霊使いの能力があるのかと期待した……。


「がっかりしないで。マリーも、成長すれば見えるようになるかもしれないわ。」


がっかりしたのが、母にバレたみたいだ。


「はい。お母さま。」


ティアと見つめ合ったアイリーン。

どうしたんだろうか……?


「ねぇ、マリー。この力はね、グラントリアでも特に珍しいわ。一部の貴族しか精霊使いの能力を知らないし、もはやおとぎ話みたいなモノよ。」


そうなんだ。

確かに、母は姉しか知らないと言っていた。

2人しか、いないってことなのか。

私、もしかしてすごい家に転生したんじゃないだろうか……?


「能力があるかないかは一旦置いといて、血筋というだけで狙う人がいるかもしれないわ。だから、あなたたちには気を付けて欲しいの……。」


学校でもミシェルに怒られたばかりだ……。

ミシェルは、このことを知っていたのかな……?


「はい。お母さま。」


「見ててね。」


ん?どうしたんだろう……。

母とティアの体が淡く光った。


すると、噴水の水が色々な形に浮かび上がった。


「ふふっ、チッチがいましたね。」


初めてちゃんと魔法を目にした。


「えぇ、綺麗だったでしょう?」


「はい。」


気を使って励ましてくれたのかもしれない。





母と話しをした私は、レニーの部屋に向かった。

夕食まで、ロゼにかわって側にいることに……。


熱はないみたいで、安心した。

レニーの付けているイヤーカフの模様が変わっている……。


「……おねえ…さま?」


レニーがうっすらと目を開いた。


「大丈夫?しんどくない?」


「……うん…。ただ、すっごく…ねむたくて……。」


そういうと、レニーはまた眠ってしまったようだ。

熱があったのなら、体がだるくなっているんだろう……。




自分が転生したと知った時、私はとても楽観的だった。

レニーは可愛いし、彼女を婚約者にするのはきっと簡単でゲーム感覚が抜けていなかったのだ。

でも、これは現実でゲームよりももっと複雑だった。

神獣に精霊使いに、魔法や貴族たちの関係性など……。




この子を守るには、どれほどの力が必要なんだろうか。



10歳になれば、魔力の検査があるけれど、私にどれだけの魔力があるんだろう……。

レニーの入学が迫っているし、今日のことで私が状況を悪くしたかもしれない。


今できることがあるとすれば、おそらく勉強しかないだろう……。

ヴィンセント家の令嬢たちが王族を狙っているのかも突き止めたい。


私は、できることをやろう。




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