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弟からの注意。




朝目覚めてすぐに私は、母の元へ向かった。


「すっかり、早起きになったのね。」


母は、私を見てにっこりと微笑んだ。

そんなに朝寝坊だと思われていたのかしら。


「本を読み終わったの?」


「はい。」


「じゃあ、帰ってきたら話しましょうか。」


やっと、聞きたいことを聞ける。

母に精霊使いの能力があるのか……。

それに、アナスタシアと妖精王がどうなったのかも知りたい。




馬車に乗り込もうとすると、ロゼがやって来てお菓子を渡してくれた。

ん?なにかいつもと違う……。


「姉さん、そんなに人の顔をまじまじと見るもんじゃないよ。」


気づくと、すっごく近くに顔を寄せていた。


「あっ、ごめんなさい。」


「いえ……。」


ロゼの目ってピンク色だったのね。

元々綺麗な顔をしているけど、本当に綺麗。


なんで隠していたのかしら……。




学校の授業中も、私の頭の中は母に質問することでいっぱいだった。


お昼の時間になると、ビビアンが私の所へやってきた。


「今日も、チェイス王子たちと食べるのですか?」


あぁ、朝からビビアンがそわそわしていたのはそのせいか。


「どうかな。とりあえず、ミシェルとダニエルとは食べるけど……。」


「……チェイス王子は、お菓子が好きなのでしょうか。」


まぁ、昨日の様子を見れば間違いなくお菓子が好きだとは思うけど。

勝手に好きだと言って、ビビアンが持ってくれば嫌がる可能性もあるからな……。



「本人に聞いてみればいいんじゃない?」


「そうですよね……。」


ビビアンと一緒に食堂へ向かうと、昨日と同じメンバーがテーブルに座っていた。

結局同じ流れになり、私とビビアンが席についた。


「あの……。チェイス王子はお菓子が好きなのですか?」


チェイス王子は、明らかに嫌そうな表情を浮かべた。

なぜなら、ここで嫌いだと答えれば私が持ってきたロゼのお菓子を食べずらくなるし。

こんな場所で好きだと言えば、ビビアンだけでなく他の令嬢たちもお菓子を持ってくるようになるだろう。


「……べつにどちらでもない。」


少し、気の毒だな。

でも、チェイス王子に必要以上アピールされてレニーの敵になってもらっても困るからなぁ……。





「そう言えば、みんなアクセサリーを付けているんだね。」


ドナルドが、流れを変える為に話題を変えた。


「うん。レニーがくれたんだ。」


「レニーが、母と作ったんですよ。」


あれ、ミシェルとダニエルが私の方を見ている。

なに?なんだか呆れられたみたいだけど……。


「…瞳の色に合わせたんだな。センスが良い。」


ビビアンは、あまり気にしてはいないようだけど、王子たちとドナルドの様子も少し変だ。

ただ、レニーが作ってくれたモノを少し自慢したかっただけなのに。


食事が終わると、ミシェルに呼ばれた。




「姉さん、何を言ったのかわかってる?」


「なにかいけないことを言った?」


ミシェルに大きなため息をつかれてしまった。


「あのね、普通アクセサリーがどんな風に作られているか知ってる?」


「いいえ、知らないけど……。」


見たことはないけど、前世のような機械はないだろうし……。


「基本的に宝石には少しだけ魔力があるから、魔法で加工するのは不可能に近いんだよ。しかも、僕たちが付けているような金や銀は、魔法では基本加工ができないから職人が全部手作業で何日も何カ月もかけて作っているんだ。」



母は、そんなことがあっさりとできてしまうということなんだろうか。

だからといって、そんなに必死に隠さないといけないことかな……。

ほとんどの貴族が魔法を持っているし、別に……。


「わかってないんだね。」


再びあきれ顔の弟に、なんだか申し訳なくなってきた。


「アストレア家は、魔力が強いことで有名なんだよ。それなのに、母まで魔力が強いだけでなく、普通の人ができないことができると知れれば、狙われるのは姉さんとレニーだ。」


そうか……。

魔力が必ず遺伝するモノではないとしても、確率的には高くなる。

父と母の魔力が強いということは、私たちも魔力が強いかもしれない……。



「平和な国だけど、力を求めている貴族はたくさんいる。王家に姫はいないとなると、子を令嬢の婚約者にと考えている人はきっとたくさんいるよ。学園には、ヴィンセント家とアストレア家しかいないし、それなのに……。」


「私は、さっきの発言で注目を集めたってこと?」


ミシェルは、黙って頷いた。


貴族たちの選択肢が、ヴィンセント家の令嬢とアストレア家の令嬢の2択だったとすれば私の発言で、こちらの方が使えると判断してもおかしくない。


私は、ともかくレニーが入学すると厄介なことになるかもしれない……。

ただでさえ、人懐っこいレニーが心配になってきた。



「しつこい人がいたら言ってね。」


姉なのに、弟に心配されてしまったわ。



「あっそういえば、これ渡しておいてくれる?」


「あぁ、わかったよ。」


チェイス王子は、気を使って話題を変えてくれたんだろう。

ビビアンの質問のせいで、お菓子を食べ損ねてしまった彼に渡すようにミシェルに頼んだ。

なんだかんだ、ミシェルたちも仲良くなってきているみたいだ。




ゲームでは、ほとんど彼らは一緒に行動していた。

それに、攻略対象はあと2人いる……。

現実でもきちんと登場するのだろうか。




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