魔術師
ウォーリア国の戴冠式が行われることになり、王家と公爵家に招待状が届いた。
アイリーン「どうしょうかしらねぇ。レニーは、きっとウォーレン王子からの直々の招待を断るハズもないでしょうし……。」
レニーには、私たちとは別にウォーレン王子からの招待状が届いたのだ。
フィン「ウォーリア国の海にいる生き物を見たいと、朝おっしゃっていました。」
フィンがため息交じりに答えた。
アイリーン「でも、ワンダは見えないから良いとしても……。ネブルとリネィは目立つでしょう?――それに、あの髪の毛の色は他国でも珍しいんじゃないかしら。」
確かに、神獣とあの髪の毛は目立つだろうし。
ただでさえ、レニーは可愛いから人目を惹くし……。
マリー「カツラは、どうですかね?」
アイリーン「カツラ?」
あれ、この世界にはないのかな……。
アイリーン「ふふっ、気にせずに説明して良いのよ?」
結局、母は前世のことを何も聞いてこない。
変わらず、娘として接してくれる。
マリー「ウィッグとも言うのですが……。いわば、偽物の髪の毛をかぶるという感じでしょうか?」
フィンとアイリーンの頭の上には、?が見える。
アイリーン「人の髪の毛を使うの?」
マリー「詳しくは、わからないんですけど……。でも、レニーも嫌がるかもしれませんね。」
フィン「確かに、ありのままの姿を好みそうですしね。」
肝心のレニーは、朝からエンバー叔母様と出かけてしまったし……。
ローラン「……魔法薬とかで、変えたらいいんじゃないの?」
本を読んでいたローランが、私を見て言った。
正直、魔法薬学や術式は苦手なのだ……。
アイリーン「確かに、それならお姉さまに頼めばなんとかなりそうね。――あとは、レニーがどう思うかが問題……。」
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「待たせたな。――ミシェル。」
ミシェル「いいえ、全然待っていませんよ。チェイス王子。」
一緒に過ごすようになって随分立つが、ミシェルが1人でやって来るのは珍しい。
感情が読み取りにくいタイプだが、親しくなってわかるようになってきた。
チェイス「何を企んでいるんだ?」
まぁ、馬鹿正直に答えるとは思えないが……。
ミシェル「ふふっ、まったく人聞きが悪いなぁ。――ただウォーリア国から招待状が来たでしょう?」
すでに、アストレア家にも届いていたのか。
まぁ、ウォーレンがレニーに会う機会を逃すはずもないな。
チェイス「それがどうしたんだ?」
ミシェルがポケットから招待状を出した
ミシェル「この戴冠式の招待状だけど、おかしいと思わない?――肝心なモノが抜けてるでしょう?」
チェイス「肝心なモノ?」
”ウォーリア国の城にて、○○/○○戴冠式を執り行う運びとなりました。
同盟国であるグラントリア王国のアストレア家 ご息女・ご子息に是非出席願えますよう
心よりお待ちしております。”
ミシェルは、試すような目でこちらを見てくる。
チェイス「……。」
ミシェル「ウォーリア国には、王子が2人いるんですよ。――それなのに、誰が戴冠するのか書かれていない。」
チェイス「確かにそうだが……。――普通なら第1王子だろう。」
ミシェルがにっこりと微笑んだ。
ミシェル「以前会ったあの王子が、ウォーリア国の王にふさわしいと思っておられるのですか?」
チェイス「何が言いたい。」
ミシェルは、招待状をチェイスから受け取った。
ミシェル「もし、チェイス王子が選ぶなら、どちらか気になっただけですよ。」
チェイス「俺が、選ぶなら?」
いくら同盟を結んだとはいえ、他国の王子に選択する権利など……。
ミシェル「じゃあ、僕は帰ります。」
チェイス「……それだけの為に来たのか?」
ミシェル「えぇ、今日は色々とやることがあるので。」
ミシェルが部屋を出ていった。
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レニー「ここは?」
レニーとエンバーは、どう見てもぼろ屋の前に立っていた。
エンバー「ふふっ、会えばきっとびっくりするぞ。――まぁ、いるかどうかわからないが……。」
エンバーは、扉に向かって手をかざした。
エンバー「少し離れていなさい。」
レニーは、エンバーから少し距離を取る。
レニー「なにを……。」
バァン(ドアが吹き飛ぶ音)
レニー「!?叔母さま……?」
エンバーは、ぼろ屋のドアを吹き飛ばしたのだ。
ワンダ「さすがに、荒っぽくない?」
エンバー「仕掛けがあるかもしれないからな……。念の為だ。」
「まったく、酷いことをするじゃないか。」
後ろからローブを被った老婆がエンバーに声をかけた。
エンバー「やはり、生きていたのだな。――モシュネ。」
モシュネ「そろそろ会いに来ると思っていたさ。――珍しいモノを連れているね。」
モシュネは、レニーと神獣たちを見た。
エンバー「聞きたいことがある。」
モシュネ「まぁ、とりあえず中にお入り。――ドアは、適当に作っておくれ。」
レニー「……誰なんですか?」
エンバー「そうだな……。いわば、正真正銘の魔術師とでも言っておこうかな。」
登場人物が多くなって来たので、わかりやすいようにイラストを追加しようかな……。と思っています。
全然書いたことが無いので、練習しなくては……(._.)