レニーの作戦
これは、一体どういう状況なんだろうか……。
聖女候補の騒動がひと段落したものの、城から脱走者が出たことで学校は一時休校に。
みんなにどう説明しようか悩んでいた私にとっては、ありがたい状況かもしれない。
レニー「お姉さまっ、お庭でお茶でもしましょう。」
ついに来たか。
レニーは、あれから深く聞いてこなかったけど……。
マリー「わかったわ。」
覚悟を決めないといけないわね。
でも、なんでわざわざ庭なんだろうか……。
マリー「えっ……?」
庭のテラスに座っていたのは、ライラ嬢だった。
ライラ「レニーさまに呼ばれ、やってきました。」
マリー「どういうこと?」
レニーは、にこにこしているだけだ。
レニー「さぁ、お茶とお菓子を楽しみましょう!」
そういったレニーは、ロゼたちが持ってきたお菓子をランランと見つめる。
私と、ライラ嬢は視線を交わしながらも、何も話さなかった。
レニー「出されたモノに手を出さないということは、警戒している……ということらしいですよ。」
レニーが笑顔で言い放った。
さっきから一切手を付けようとしないライラへの発言だろう。
ライラ「いえ、そういうわけでは……。」
ライラは、急いで出されたお菓子を口に入れた。
ライラ「……おいしい。」
レニー「そうでしょう?ロゼと一緒に作ったんです。」
レニーはロゼの方を見て微笑んだ。
レニーは、いきなり席を立った。
マリー「えっ?」
レニー「明日から学校が始まるそうです。――私は、行くところがあるのでお二人で話しをしてください。」
ライラも聞かされていなかったようだ。
マリー「どういうこと?」
レニー「それぞれ環境は違えど、同じ世界から来たのではないのですか?みなさんに会う前に、2人で話しをしておいた方が良いと思いまして。」
口裏を合わせろってことかしら……。
レニー「(きっと、気が合いますよ。それに、彼女に寄り添えるのはきっとお姉さまだけなのです。)」
私の耳元でささやくとレニーは、本当に行ってしまった。
気まずいわね……。
マリー「どうしましょうか……。みんなにどう説明しますか?」
ライラ「……どこまで、話せばいいんでしょうか。」
確かに、前世の境遇などを話すべきなのかもしれないけど、広場で話してたライラの言葉を聞く限り、良い環境で育ったのではないのだろう。
とにかく、この暗い空気をどうにか打破する方法は……。
マリー「レニーの最後は、どうなっていたのですか?」
正直、ずっと聞きたかった。
全クリできてない私にとって、レニーのエンドはどうしても知りたい。
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フィン「良かったのですか?」
レニー「何が?」
フィン「2人きりにしても。――レニーさまのように、能天気でなければみんなが仲良くなれるわけではないのですよ。」
レニー「あの2人なら、きっと仲良くなれるハズ。」
レニーは、神獣たちに合図を送った。
フィン「えっ?」
ネブルとリネィがフィンに飛び掛かる。
レニー「ふふっ、能天気と言ったバツよ。」
フィン「ちょ……。痛いっすいませんって!」
小さいサイズの時でも、じゃれつかれると痛い。
レニー「それにしても、何の用かしらね。」
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「お待ちしておりました。」
城の衛兵がレニーとフィンを出迎えた。
「我らも同行いたします。」
レニー「ありがとうございます。ですが、フィンもいますので大丈夫です。――それに、私たちだけの方が話してくれると思いますよ?」
「ですが……。」
衛兵たちは、顔を見合わせる
「僕が許可を出そう。」
ロベルトがやって来た。
「しかし……。」
ロベルト「良いよ。レニー嬢とフィンなら大丈夫さ。」
レニー「ありがとうございます。」
ロベルト「案内するよ。」
レニー「ここに居るのですか?」
ロベルト「うん。でも、浮き沈みが激しいから気を付けてね。」
レニー「はい。フィン、外で待っていてくれる?」
フィン「……かしこまりました。」
レニーは、部屋の中に入って行った。
ロベルト「言い返しもせず、忠実なんだね。」
フィン「命の恩人ですからね。」
ロベルト「ふふっ……。全く大変そうだね。――何かあれば、衛兵に言ってね。」
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「……あぁ、やっと来てくれたのね。――こうなれば、来てくれると思っていたわ。」
レニー「だから、何も食べずに待ち続けたのですか?――アンリさま。」
アンリ「どうしても、知っていて欲しいことがあったのよ。――それに、あなたなら信じてくれそうだと思ってね。」
レニー「話しを聞いて判断いたします。」
アンリ「ふふっ、やっぱり正解だったわね。」