対面
~グラントリア城内~
アンガス「それで、準備はできたのか?」
司祭「はい。いつでも行えます。」
アンガス「では……3日後執り行う。皆に知らせよ。」
司祭「かしこまりました。」
キーラ「あまりに急じゃありませんか?」
アンガス「しかし、引き伸ばしても意味などないだろう。」
キーラ「そうですけど……。」
アンガス「それに、策なら用意している。上手くいくかは、あまり自信はないが……。」
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ここ数日謎の手紙の返事はないけど……。
今日はどうだろうか。
あった……。
”放課後、窓から見える赤い実の木。
誰にも言うな。もし言えば正体をばらす”
窓から見える赤い実の木?
マリー「あぁ、あれかな。」
あんなに人目に付くところで大丈夫なんだろうか……。
ドナルド様にも内緒で行くしかないだろう。
「ねぇ、あれって教会の人たちよね?」
「日程が決まったんじゃないか?」
ビビアン「あぁ、マリー探していたのよ。教会の人たちがやって来ていて、レニー嬢を探していたわ。」
マリー「図書室かしら……。」
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「失礼いたします。レニー・アストレア嬢。日程をお知らせに来ました。」
レニー「いつですか?」
「3日後にございます。その時に着て頂く服の採寸をさせて頂けますか?」
レニー「3日後ですか……。」
サーリア「採寸ってあなたたちがするつもりなの?」
「はい。」
サーリア「私がします。1度外へ出て頂戴。」
「ですが……。」
サーリア「あなたたち男でしょう。アストレア公爵令嬢に気安く触るつもりなの?」
「かしこまりました。」
サーリア「まったく、レニーも断らないとダメよ。」
レニー「フフッ、サーリア嬢は本当に優しいですね。」
サーリア「っそんなことはないわ。大体警戒心がなさすぎるのよあなたは。」
リーン「確かに、レニー嬢はもう少し警戒するべきですね。」
レニー「警戒ですか?いつもは、フィンも側にいますし……。」
サーリア「そういう意味じゃないわ。あなたは…その…綺麗なのよ。」
レニー「初めて言われました。でも、リーン様とサーリア様の方がよっぽどお綺麗です。」
サーリア「はぁ……もういいわ。測り終わったわよ。」
レニー「ありがとうございます。じゃあ、渡して来ますね。」
リーン「?サーリア嬢どうされたんですか?」
サーリア「いえ、あの子…その着やせするのね。」
リーン「フフッ、フフフ。」
サーリア「べつに、羨ましいわけでは……。」
リーン「サーリア嬢も、これから育ちますよ。」
サーリア「何か言われた?」
レニー「いいえ、特には。」
リーン「緊張しますか?」
レニー「緊張というよりも……。嫌な予感がするのです。」
レニーは窓の外を見た。
サーリア「嫌な予感?」
レニー「まぁ、気のせいかもしれませんけど。」
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エンバー「どうしたんだローラン。授業でわからないところでもあったか?」
ローラン「そうじゃないんですけど……。」
ローランは、エンバーをじっと見つめる。
エンバー「どうした?」
ローラン「古い文献ってどこにあるの?」
エンバー「古い文献かぁ…まぁここの図書室か城だろうな。何を探している?」
ローラン「姉様の儀式の内容が気になって。叔母様は知ってる?」
エンバー「私も流石に石碑を使った儀式のことは知らないなぁ……。」
ローラン「そっかぁ。ドナルド様やチェイス王子とかも本を探してくれたんだけど、見つからないんですよ。」
エンバー「城も探したのか?」
ローラン「えぇ、お兄様たちが一緒に探したそうですが。」
エンバー「ふーん。ローラン、お使いを頼めるかい?」
ローラン「お使いですか?」
エンバーは、紙にメモを書いて渡した。
エンバー「これを、チェイス王子に渡してくれるか?」
ローラン「わかりました。」
ムーア「何か気になることでも?」
エンバー「…少しな。ムーア、妖精王に知らせておいてくれないか?」
ムーア「わかったわ。」
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放課後になった。
マリー「さぁ、行こうかしら。」
ドナルド「どこに行くの?」
マリー「ドナルド様!?」
ドナルド様はにっこり笑っている。
マリー「いえ、少し用事がありまして……。」
ドナルド「そうなんだ。…あれから手紙は?」
マリー「…ありませんわ。」
ドナルド「そう。気を付けてね。」
マリー「はい。」
ドナルド「フッ、ウソが下手だなぁ。さて…どうしようか。」
何とか誤魔化せたかな?
とにかく、赤い実の木ってことはここで良いのよね……。
……全然来ないわ。
騙されたのかしら。
赤い実の木って、確か前にレニーが登っていたわよね……。
木に手を置いた。
マリー「これって……。」
しまった。
木に術式が描かれていたのだ。
マリー「……ここは。」
「ここは、まだ学校の中ですよ。」
後ろから声がした。
マリー「あなただったの……?」