決定事項
ドナルド様は、大丈夫だと言ってくれた。
ゲームと違っている所はたくさんあるし、私がレニーを愛しているのは紛れもない事実だ。
それに、私はチェイス王子を友人としか思っていない。
今は、とにかくレニーの聖女問題をどうにかしなくては……。
レニー「お姉様、どうかしたの?」
マリー「いいえ、大丈夫よ。」
レニー「そう。何かあったら言ってね?」
あぁ、可愛い。
こんなに可愛い妹をいじめるなんてありえないわ。
マリー「今日も花を育てに行くの?」
レニー「えぇ、フィンたちも手伝ってくれていますし。」
フィン「年々人使いが荒くなっている気がします。」
マリー「フフッ、大変ね。」
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グラントリア城内~
アンガス「それで、何で決めるか決定したのか?こちらに任すと言っていただろう。」
司祭「えぇ、国王様たちにお任せしようと考えておりました。しかし、レニー嬢も候補者ですので公平に決めた方が良いのではないかと思いまして。」
アレクセイ「我々が、娘に有利な条件を出すとでも?」
司祭「そうは言っておりません。そこで、古い文献に頼り聖女を決めようかと……。」
アンガス「古い文献?」
司祭「そうです。我らが任せて頂いている石碑でございます。」
アンガス「あの石碑がどうした?」
司祭「あの石碑は、正しい者を導くという言い伝えがあります。」
ドリュー「しかし、ただのおとぎ話でしょう?何も起こらなければどうするのですか?」
司祭「ただの言い伝えにすぎませんが、もし2人共選ばれなければ聖女ではなかったと民にも示すことが出来るでしょう。」
アンガス「どういうことだ?聖女が必要なのだろう?」
司祭「えぇ、信仰を持つ人々には聖女のような存在が必要な場合もあります。しかし、無理に決めてしまっても意味はないでしょう。どちらも選ばれなければ、人々の興も冷めると思います。」
アレクセイ「何を考えている?」
司祭「私はただ、真の聖女を見つけたいだけです。偽物は、必要ではありません。」
アンガス「神聖な儀式で選ばれなければ、人々も納得するということか。」
司祭「おわかりいただけて何よりです。」
アンガス「どう思う?」
アレクセイ「石碑が導くと言ったが……。何をするんだ?」
司祭「ただ、光の魔力を注ぐのです。」
アレクセイ「本当にそれだけだろうな?娘がケガでもすれば、私はお前を許さないぞ。」
司祭「フフッ、おやめください。そんな気はさらさらありませんよ。」
ドリュー「立ち合いはどうするんです?」
司祭「教会からは数名。あまり人数は入れませんが、そちらはお任せいたします。」
アレクセイがアンガスを見て頷いた。
アンガス「よかろう。日程はどうする?」
司祭「念の為、国の結界を強化してから行いたいと思っております。整い次第、報告に参ります。」
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ドナルド「マリー嬢大丈夫?」
マリー「えぇ、今日は何も入ってませんでした。」
ドナルド「それなら、良かった。でも、一体誰なんだろうね。」
マリー「この学校の生徒でしょうか……。」
生徒以外は、流石に自由に入ることはできないハズだし……。
マリー「いっそ、聞いてみましょうか。」
ドナルド「えっ、危険に決まってるじゃないか。」
マリー「最初は、簡単な質問からにします。」
何がいいかしら、何なら答えてもらえるだろうか……。
”あなたも転生者?”
ドナルド「なんて書いたの?」
マリー「あなたも転生者?って書いたんです。」
ドナルド「まぁ、確かにそれなら直接繋がらないから答えやすいかもしれないね。」
マリー「えぇ、どちらにせよ待つしかありませんわ。」
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「信者たちを操り、何を企んでいるのだ?」
司祭「フフッ、人聞きが悪いですね。何も企んでなどいませんよ。」
「今更おとぎ話の儀式をして、何をする気なんだ?」
司祭「私は、世界を正しい姿にしたいだけですよ。」
「正しい姿ねぇ。相変わらず不気味なやつだな。」
司祭「そっちこそ、何を企んでいるんです?」
「お前には関係のないことだ。」
司祭「心配しなくても、彼女を傷つける気はありませんよ。」
「今度、なめた口をきけば教会ごと潰してやる。」
司祭「もう、お帰りになった方がいいのでは?」
「覚えておけ、いつでも見張っているぞ。」