表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/142

悪役令嬢



レニー嬢は、どう思っているのだろうか……。


止めることが出来なかった、俺たちに怒っているだろうか。


教室に入ると、マリー嬢が紙を見ていた。


チェイス「マリー嬢。」


ビクッ


マリー「あぁ、チェイス王子。どうかしましたか?」


チェイス「驚かせてすまない。あのレニー嬢の事なんだが……。」


マリー「聖女の件ですか?」


チェイス「そうだ。止められなくてすまない。」


マリー「レニーは怒ったりしていませんよ。私たちの方が、焦っているくらいです。」


チェイス「そうか……。何か手があれば良いんだが……。」


マリー「みんなも必死で何かないか探してくれています。心配なら、直接レニーに会いに行ってはいかがです?」


チェイス「どこにいるか知っているか?」


マリー「昨日から、花の世話をしていると思いますよ。」


チェイス「そうか。ありがとう。」


マリー「いえ。」


チェイス「さっき驚いていたようだが、何かあったのか?」


マリー「…いえ、大丈夫ですわ。」


チェイス「俺に言いずらいなら、ドナルドに言うと良い。」


マリー「そうですね。ありがとうございます。」



花の世話ってことは、花壇だろうか。

でも、ちゃんと許可を取っているのかわからないな……。


レニー「フィン、ちゃんと水の量を測らないと……。」


見つけた。


フィン「あれ、チェイス王子。」


ダンと知らない子がいる。


チェイス「邪魔してすまない。レニー嬢、少しいいか?」


レニー「はい。ニーナ、ちゃんとフィンとダン様を見張っててね。」


ニーナ「はいレニー様。」



チェイス「花を育てているのか?」


レニー「えぇ、ナタリー嬢がくれたんです。育てて写真を送ろうと思って。」


チェイス「まだ、癒しとかの魔法は禁止なのか?」


レニー「はい。でも、みんなで育てればきっと綺麗に咲きます。」


チェイス「……すまない。」


レニー「何がですか?」


チェイス「君を聖女候補にするのを止められなかった。」


レニー「チェイス王子のせいではありませんわ。」


チェイス「しかし……。」


レニー「私、チェイス王子に謝られるのは好きじゃないんです。」


チェイス「えっ?」


レニー「フフッ、だから謝らないでください。次、謝ったらしばらく口を聞きません。」


チェイス「それは、困るが……。」


レニー「チェイス王子は、聖女が必要だと思いますか?」


チェイス「いや、信仰を否定するわけではないが……。必要ないと思う。」


レニー「私も同じ意見です。それなら、安心しました。」


にっこりと微笑んだ。


チェイス「何を考えているんだ?」


レニー「さぁ、なんでしょうか。まだ、わかりませんね。」


チェイス「いつも振り回されるな……。」


レニー「フフッ、どちらが勝つと思います?」


チェイス「わかっているだろう。」


レニー「答えてくれないのですか?」


チェイスはレニーの手を取った。


チェイス「俺が選ぶとすれば、君だ。」


レニー「少し、ドキッとしました。」


レニー嬢は、いたずらっ子のように微笑んだ。


ミシェル「チェイス様。何をしているんです?」


振り向くと、ミシェルが剣に手をかけて微笑んでいた。


チェイス「いや、これはその……。」


ダニエル「久々に、特訓を受けに行きましょうかチェイス王子。」


チェイス「……そうだな。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



これはまずいわ。

この手紙の内容が本当だとすれば……。


ドナルド「呼んだかい?」


マリー「えぇ、ドナルド様。相談したいことがあって……。」


ドナルド「あの紙のこと?」


やっぱり不審がられていたんだわ。


マリー「話す前に確認したいことがあります。」


ドナルド「なんだい?」


マリー「…誰にも話さないでくれますか?」


ドナルド「あぁ、約束するよ。なんなら、術式を使って誓ってもいい。」


マリー「そこまでしてくださらなくて大丈夫です。」


ドナルド「それじゃあ、話してくれるかい?」


マリー「信じて頂けないかもしれません。でも私は……。」


どうしようか。引き返すなら今しかない。


ドナルド「転生者?」


マリー「えっ?気づいていたのですか!?」


ドナルド「いや、わからなかったけど、ブツブツ言っている時にそう思ったことが何度かあったんだよ。」


そんなにハッキリ私はブツブツ言っていたのだろうか。


マリー「じゃあ、信じてくださるのですか?」


ドナルド「もちろん。マリー嬢がわざわざそんなウソをつくとは思わないからね。」


全て話してしまおう。

前世でしていた乙女ゲームのことや、レニーを幸せにしたいことなどを話した。


ドナルド「少し混乱してるけど、つまり前世でしていたゲーム?の世界がグラントリアってこと?」


マリー「そうです。」


ドナルド「でも、物語の通りではないんだね?」


マリー「そうです。」


ドナルド「それで、自分ではなくレニー嬢が主人公だってこと?」


マリー「正確には、私たち令嬢が主人公にも悪役にもなれるんです。」


ドナルド「まぁ、大体はわかったかな。ちょっとごめんね。フフッ、ハハハッ。」


マリー「えっ?ドナルド様?」


ドナルド「すまない。攻略対象ってなんだよ……。フフッ。」


まぁ、確かに本人からすれば可笑しな話だろう。


ドナルド「妖精王の話からすると、この世界に呼ばれた可能性があるんだね。しかも、そのことを知っている誰かがこの手紙を出したってことだよね。」


マリー「そうです。しかも……。」


ドナルド「どうしたんだい?」


マリー「レニーはヒロインの場合、悪役令嬢は私になってしまうのです。」



”レニー・アストレア ルート 悪役令嬢は マリー・アストレア”




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ