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花の育て方



チェイス「お父様。どういうことですか?」


アンガス「聞いたのか……。聖女候補のことだろう?」


チェイス「そうです。」


アンガス「教会が勝手に動いていただけなら拒否出来たのだが……。実際にレニー嬢は民からの支持も熱く、彼女を聖女に望む声が多いのだ。」


チェイス「しかし、彼女は聖女に興味などありません。」


アンガス「わかっている。だが、競ってもらうしかないのだ……。」


チェイス「民が望むのなら、彼女を教会の飾りにすると言うのですか。」


アンガス「……口を慎め。では、お前に何が出来ると言うのだ?」


チェイス「……。」


キーラ「あなた、いくらなんでも……。」


アンガス「……学校へ行く時間だろう。早く行きなさい。」


チェイス「かしこまりました。」



キーラ「アンガス……。」


アンガス「わかっている。アレクセイにも申し訳ないとは思っているが……。」


キーラ「友人ですもの。彼も、わかってくれています。」


アンガス「……だからこそ、奴に顔向けできんのだ。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ドナルド「機嫌が悪いですね。」


ロベルト「お父様とケンカしたんだよ。」


チェイス「ケンカではない。」


ドナルド「レニー嬢のことですか?」


チェイス「あぁ、民の支持があるせいでこんな事態になるとはな……。」


ロベルト「好奇心の塊だけど、ライラ嬢より聖女に向いているのは事実だもんね。」


チェイス「どうすれば良いんだ。しかも、レニー嬢は再生と癒しの魔力を禁止されている。」


ドナルド「競う内容は決まっているのですか?」


チェイス「いや、まだ発表はされていない。」


ロベルト「どちらも相応しくないっていうのはダメかな?」


チェイス「民がすでに期待している……。それは、難しいだろうな。」


学校へつくと、ライラと令嬢が待ち構えていた。


ライラ「おはようございます。皆さま。」


チェイス「あぁ、おはよう。」


ライラ「正式に、聖女候補に選ばれましたの。もちろん、応援してくださいますよね?」


どいうつもりで言っているのだろうか……。


「私たちがいるから、照れてらっしゃるんじゃないですか?」


そういうわけではないが、なんと答えるべきだろうか。


ドナルド「きっと、正しい者が選ばれるでしょうね。」


「それなら、ライラ様ですわ。だって、アストレア家はねぇ……。」


チェイス「アストレア家がなんだ?」


「いえ、だって闇の魔力が……。」


ロベルト「フッ、君たち魔法の勉強をきちんとしてるの?」


ドナルド「何も知らないなら、話さない方が良いと思いますよ。」


チェイス「もう、行こう。」


ライラ「私も、ご一緒させてください。」


ドナルド「僕たちは、今から騎士団長の所へ行くから。」


ライラ「そうですか……。」



ドナルド「うっとおしいね。」


チェイス「怖いから、笑顔のまま言うな。」


ロベルト「でも、闇の魔力を危険視するなんて何も知らないバカだろう。」


チェイス「どうせ彼らの親は、アストレア公爵に敵わなかった愚痴を子供にでも言っているんだろう。」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



机の中に、また紙が入っていた。


”あなたがヒロインになりたいの?”


どうしようか、いっそ返事を中に入れておこうかしら。


”レニー・アストレアの最初のイベントまではクリアした。

ヒロインは、私じゃなくてレニーよ。”


久しぶりに日本語を書くのは難しい。


ビビアン「何を書いてるの?」


思わず隠してしまった。


マリー「いえ、少しメモをとっていただけよ。」


ビビアン「そうなの?図書室へ行くけど、一緒に行かない?」


マリー「えぇ、一緒に行くわ。」



ローラン「姉さん、どこに行くの?」


マリー「図書室へ行くのよ。一緒に行く?」


ローラン「うん。」


マリー「何か調べたいことでもあるの?」


ローラン「レニー姉さんが、聖女にならなくて済む方法。」


ビビアン「フフッ、確かにそれは探さないといけないわね。」


ローラン「レニー姉さんは吞気だから、さっきもナタリー嬢がくれた種をフィンと植えに行ってたよ。」


マリー「あの子は……。全く。」


ビビアン「レニー嬢らしいですわね。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



レニー「フィン。自慢じゃないけど、魔法を使わずに花が育ったことがないの。」


フィン「知っています。」


レニー「何がいけないのかしら。でも、ナタリー嬢がくれたから枯らすわけにはいかないの。」


フィン「そうですねぇ。」


レニー「ちゃんと聞いてる?」


フィン「聞いてますってば。」


ダン「何をしてるんだ?」


レニー「あっ、ダン様。お花を育てたことってあります?」


ダン「あるわけないだろう。」


フィン「そうですよ。ダン様が花を育てるわけないでしょう。」


「あの、レニー様。花を育てるのですか?」


レニー「あなたは、昨日も声をかけてくれた子ね。」


フィン「確か、商家のニーナ様でしたっけ?」


ニーナ「様なんてやめてください。いつもアストレア家にはお世話になっているのです。」


レニー「ニーナは、お花を育てたことがあるの?」


ニーナ「えぇ、母と花壇を育てております。」


レニー「本当?じゃあ手伝ってくれない?」


ニーナ「私でよろしければ、是非。」


レニー「フィンとダン様も、手伝ってくれませんか?」


ダン「……仕方ないな。」


フィン「ダン様ってレニー様に甘いですよね。」


ダン「……フィン。後で手合わせしよう。」



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