鈍感
パーティーは、その後何の問題もなく終わった。
チェイス「国王陛下。今日はお招きいただきありがとうございました。」
国王「いえ、アストレア家の令嬢たちには助けられました。是非、また我が国に来てください。」
チェイス「…モリ―姫。先ほどはきちんとお返事ができず申し訳ありませんでした。」
モリ―「いえ、また会った時にでも是非。」
まだ諦めてないんだ。
グラントリアには、いないタイプのキャラクターね。
チェイス「私は、グラントリアの王になります。婚約者はいませんが、共に歩みたいと思う人物がおります。ですので、モリ―姫のお気持ちにお答えすることはできません。」
思わず口角が上がってしまう。
我慢しなくちゃ……。
国王「ほぅ、それは我が娘では王妃に不足だということですか?」
チェイス「違います。ただ、私はすでに理想と予想を超える人物に出会ってしまったのです。」
チェイス王子は、真っ直ぐに国王を見た。
えぇ~今のはちょっとポイント高いでしょ!
ゲームファンとしては最高に興奮する!
でも、どうにか抑えないと。
王妃「諦めなさいモリ―。チェイス王子の心が動くことはないでしょう。」
国王「残念ながら、そのようですね。」
ウォーレン「父上、私はこのままウォーリア国に留まります。」
みんなが驚く。
王妃「急にどうしたの?」
ウォーレン「僕もこの国の王子です。正しいと思うことをしてみたくなりました。」
国王「…そうか。では、皆さんをお見送りしなさい。」
息子が帰ってくるというのに嬉しくないのかしら。
それともウォーレンにグラントリアで何かさせる気だったのか……。
ザンダー「間に合って良かったよ。はい、これ出会った記念に。」
ザンダー王子がレニーにカメラを渡した。
レニー「良いのですか?」
ザンダー「えぇ、あなたなら大事にしてくれるでしょう。」
レニー「ありがとうございます。」
マリー「ありがとうございます。ザンダー王子。」
ザンダー「いいえ、マリー嬢。是非考えておいてくださいね。」
レニーを連れて馬車へ向かって行った。
婚約の話をしているのだろうか。
それとも国に来るというのは、婚約ではなく留学的な感じなのかしら……。
とりあえず、とっても疲れたわ。
ウォーレン「短い間でしたが、ありがとうございました。」
チェイス「いつでも遊びに来てくれればいい。それに、何かあれば助けになる。」
ウォーレン「ありがとうございます。レニー嬢、間違ったら教えてくださいね。」
レニー「はい。任せてください。」
ウォーレン「チェイス王子。(僕にとっても彼女は、理想以上です。)」
ウォーレン王子は、チェイス王子の腕を引っ張り何かを囁いた。
チェイス王子の表情的に、あまり良い話ではなかったようだ。
チェイス「まいったな……。」
ウォーレン王子は、馬車を見送ってくれた。
国王「ウォーレン、何故勝手なことをしたんだ?」
ウォーレン「今の僕では力不足だと感じました。ただ仲良くなるのではなく、国で成果を上げてからアプローチした方がアストレア公爵にも令嬢にも興味を持っていただけるかと思い父上と兄上の側で勉強させて頂こうかと。」
国王「確かに、我が国の令嬢たちとは違うようだな…。しかし、それほど時間はないだろう。」
ウォーレン「わかっております。ですから、子息と仲良くなっておきました。あちらの情報も手に入るかと…。」
国王「そうか。ならば、国の為にやるべきことをするのだ。」
ウォーレン「はい。」
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ロベルト「兄さん、さっきの恥ずかしくないの?」
ドナルド「恥ずかしいに決まってるんだから、聞かないであげるべきでしょう。」
チェイス「うるさいぞ。」
ロベルト「頑張ったのに、本人は自分のことだと思ってないだろうね。」
ドナルド「まぁ、そうでしょうね。」
チェイス「……。」
ドナルド「ひとまず戦いにならなくて良かったですよ。」
ロベルト「せっかく特訓したのに……。」
チェイス「無駄にはならないだろう。今後どうなるかはわからない。」
ドナルド「ザンダー王子をどう思いました?」
ロベルト「なんか雰囲気のある人だったね。」
チェイス「少し不気味だ。」
ドナルド「マリー嬢にアストレア家の令嬢がマキナへ来れば、グラントリアと交友関係が結べると言っていたようですよ。」
チェイス「何を考えているんだろうな……。我が国と交友を持ちたいのだろうか。」
ロベルト「そういえば、さっきレニー嬢に何か渡してたよね。」
ドナルド「いっそ婚約すれば良いんじゃないです?」
チェイス「お前も人のこと言えないだろう。」
ロベルト「えっ、ドナルドって誰か好きな人いるの?」
チェイス「お前も相当鈍感だな……。」