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公爵からの忠告。



週末、約束した通りにアストレア公爵の元へ向かうことにした。


従者のナットには、ドナルドの元へ行くと言って彼に迎えに来てもらうことに。


自分である程度調べようとしたが、大したモノは見つからなかった……。


「珍しく、緊張しているのですか?」


ドナルドが、少し微笑みながら尋ねてきた。


緊張していないと言えば、ウソになるだろうな……。


「本当に、僕たちも一緒に行っていいのかな?」


「あぁ、マリー嬢が言っていたから大丈夫だろう。」


正直、1人で行くとなればもっと緊張していた。


できるだけ、粗相のないように振舞わないと……。


出迎えてくれたアストレア公爵は、改めて見てもやはり迫力がある。

スラっとした体形で一見優しそうだが……。




てっきり部屋に通されると思っていたので、庭で話すのは予想外だった。


子供だからと、適当にあしらわれるのかと思っていたが、アストレア公爵はしっかりとこちらを見て話しを聞いて答えてくれた。


「実際に見てはいないから、憶測でしかないが……。私たちが知っている神獣とは、桁が違うでしょうね。」


この言葉を聞いたとき、背筋がゾクッとするのを感じた。


確かにあの神獣を見た時、父のフェニックスや他の貴族の神獣とは違うと感じたのだ。


そんな神獣が、何故レニー嬢の前に現れたのか……。

しかも、誰も見つけたことのない入口に入ることができたのか、どれだけ考えてもわからない。


「ですが、再び入口が開き神獣が姿を現す保証もありません。信じ難いですが、ただのまぐれ……という可能性も否定できないでしょう。」


この言葉を聞いて確信した、アストレア公爵は私たちがどのような反応をするか探っているんだ。


味方にできない、もしくはレニー嬢を利用しようとしているなら、アストレア公爵はきっと子供相手でも……。




下手な発言はできないと考えていると、メイドに連れられたレニー嬢がやってきた。


書庫の棚の上で、何をしていたんだ?

そもそも、一応王子に挨拶するにも関わらず、頑なにネコを離そうとはしない。

目は、チョコレートにくぎ付け……。


我慢ができない。思わず、吹き出しそうになったのを我慢したせいで肩が震える。


ロベルトは、レニー嬢に追いかけまわされていた。

普通の子供みたいに、じゃれる2人を見ているのは面白い。


他の令嬢とは、全く違っているのだな。

それとも、成長すれば他の令嬢のように着飾りくだらない話しをするようになるのだろうか……。


帰り際になってもレニー嬢は、ネコを離さずに挨拶をした。


少しだけ、名残惜しいような気もしたが、アストレア公爵には言わなければならないことがあった。




「私たちは、父たちにこの前のことも今日のことも報告する気はありません。」


アストレア公爵は、微笑み「感謝する。」と言ってくれた。


少しは、信用してくれたということで良いんだろうか?

アストレア公爵が歩み寄ってきた。

自然と体がこわばってしまう……。


「司祭にはお気をつけください。」


耳元でささやくと、彼はにっこりと微笑んだ。

司祭?この国の結界張るという教会の長……。


俺たちは馬車へ乗り込んだ。


「兄さん、何を言われたの?」


ロベルトが心配そうにこちらを見ている。


「…司祭に気を付けるようにと。」


どういうことだ、確かに少し不気味な雰囲気だと思ったことはある。


「司祭って、教会の?」


「あぁ、そうだ。」


ロベルトはきょとんとしている。まぁ、そうだろうな聖職者に気を付けろなんておかしな話だが……。




「ドナルド?どうした……。」


ドナルドは、少し悩んでから口を開いた。


「いや……。確かにそうかもしれないと思ったんです。レニー嬢の茶会でのことが、異例中の異例となると…彼女自身が神聖な存在ともなり得るのではないですか?」


「もしかして……。レニー嬢を聖女にする可能があるということか。」


教会は、神とこの国を平和に導いたとされる聖女に祈りを捧げている。

権力があるわけではないが……人々からの人望が厚く全国に信者がいるとなれば公爵家よりも厄介かもしれない。


「そもそも、司祭にバレればお父さまに隠し通すことなんてできなくなってしまうね。」


ロベルトの意見も最もだ……。

それに、貸しなんてつくってしまえば後々厄介なことになる可能性もある。


「ともかく、誰にも言わないにしても……。アストレア家の側にいた方が良さそうですね。」


「そうだな。」


アストレア公爵は、きっと頼りになる人だろう。

できるだけ、レニー嬢たちの近くにいる方が色々と便利か……。


「でも、変に親しくしてたらそれこそ婚約者候補になってしまうんじゃない?」


たしかに、その可能性はある。

正直、条件的には完ぺきと言っていいだろう……。


「それは、大丈夫でしょう。別に神獣の話しをしないのであれば、ミシェルとダニエルだけでなく、他の令嬢も巻き込んでしまえば……。」


マリー嬢は、ヴィンセント公爵の令嬢たちと仲が良かったはず……。


「でも、危険ではないのか?」


「ふふっ、そもそも神話のような話しをしていた所で簡単には信じないでしょう。ミシェルとダニエルは、まだ聞かされていない可能性が高いので、そこだけ注意すれば大丈夫かと。」


アストレア公爵の双子の息子か……。


「レニー嬢が入学すれば、多分ミシェルとダニエルがベッタリになるだろうしね。」


確かに、お茶会の時も2人がレニー嬢を大事にしているのは見てわかった。


「ふふっ、入学ねぇ。」


「どうしたの?」


「いや、レニー嬢ならネコを連れてくるかもしれないと思ってな。」


ネコと聞いたロベルトは、ビクッとなった。

まぁ流石にネコを連れてはこないだろうが、少し楽しみだな……。




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