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ゲーマーの私が妹を必ず幸せにしてみせる。

初めての作品なので、読みづらい箇所が多々あると思います。

お付き合い頂ければ幸いです。




父から8歳の誕生日プレゼントとして買ってもらった1冊の本。


この日、私の全てが変わってしまった……。





普段は忙しい父親のアレクセイ。


今日は、私の誕生日にいられなかった代わりに街でプレゼントを買ってくれることになった。


公爵家の私は、普段あまり街へは行かせてもらえないので、とてもわくわくしていた。


「マリーは、何が欲しい?今日は、何でも好きなモノを買ってあげるよ。」


父は、私の方を見てにっこりと微笑んだ。


従者のアーティは、父の親バカっぷりに少しあきれている。


馬車から降りると、父は少しだけ行くところがあると言って行ってしまった。


「マリーお嬢さま、どこか気になるお店などはありますか?」


あたりを見回していると、1件の店が目に入った。


小さな店で、店頭のショーケースに不思議な表紙の本が展示してあった。


「アーティ、あの本が欲しい。」


「あの本ですか?しかし……。」


アーティは、私の方を見て何か言いたげにしている。


「ちゃんと、読むわよ。」


普段私は、一切本を読まない。


というか、集中力が続かいないのだ……。


でも、最近になり弟だけでなく、妹まで本を読んでいることに内心焦っていた。


「さようですか。では、あの本を買いましょう。」


店内に入ると、そこには色々なモノが売っていた。


「何か、興味があるモノがあれば言っておくれ。」


カウンターの奥には、しわしわの老婆がいた。


思わず怖くなり、アーティの後ろに隠れた。


アーティは、私に大丈夫だと言って「あのショーケースの本が欲しいんだが。」


老婆は、少し笑い「そうかい。では、――」


アーティがお金を払うと、老婆が本にラッピングをして渡してくれた。


「ありがとう。」


外へ出ると、父が花束とプレゼントを抱えていた。


「旦那さま……。マリーお嬢さまに選ばせるのではなかったのですか。」


「まぁ、そうなんだが、やはり自分でも選ぼうと思ってな。」


少し困ったように父が笑った。


「お父さま、私本を買いましたの。」


「マリーが本を?どんな本なんだい?」


「それは……。」


「ショーケースに飾ってあったモノなので、内容はまだわかりませんが、マリーお嬢さまがきっと読み終えたら教えてくれますよ。」


「フフッ、確かにそうだな。では、マリーの感想に期待しよう。」


私は、思わずアーティを睨んだ。


「このくらいちゃんと読めます。」


「そうだね」と言いながら父は、私の頭を撫で笑った。


絶対に私が最後まで読めるとは思っていない。


こうなれば、絶対に最後まで読んでやるんだからっ。





家に帰って本を買ってもらったと報告すると、母のアイリーンも双子の弟のミシェルとダニエルも驚いた顔をしていた。


みんなよっぽど、私が本を読まないと思っているのね……。


「お姉さま、どんな本を買ったの?」


妹のレニーだけが、私が本を買ったことに驚かなかった。


「私の味方は、あなただけね。」


そう言ってレニーを抱きしめる。


とっても可愛い妹。

驚かなかった理由が、私が本を読まないということを知らないからだとしても……。


「ショーケースに飾ってあっただけだから、どんな内容なのかはわからないの。」


「そうなの?じゃあ、読んだら教えてねっ!」


屈託のない笑顔を向けられる。


アーティと父は、その様子を見てクスクスと笑っていた。


「えぇ、読んだら教えるわ……。」





夜に早速私は、本を読むことにした。


メイドのロゼが、何か飲み物を用意するか聞いてくれたけど、すぐに諦めるかもしれないので遠慮することに。


「あまり、夜更かしはしないでくださいね。」


「ありがとう。」


本のページを開いてみた。



えっ……、何も書いてないんだけど。

もしかして、ノートのようなモノなのかしら。



どのページを開いても、真っ白なページだけだった。


なぁんだ、ノートだったのね。

やっぱり私には、本を読むのが向いてないんだわ。


もう寝よう。


ベッドに入り眠りについた私は、おかしな夢を見た。


夢の中では、真っ白な部屋にいた。


手には、見慣れないモノを持っていて”王子の囁き”という文字が浮かびあがる。


たくさんの人物が映し出される。


▶マリー・アストレア

▶ビビアン・ヴィンセント

▶リリアン・ヴィンセント

……。


私を含めて知っている名前と知らない名前が書かれていた。

そして、一番最後にあったのは……


特別ルート

▶レニー・アストレア


私は、夢から目を覚ました。


鏡の前に向かった私は、自分の顔をじっくりと見る。


栗色の瞳に真っすぐストレートな髪の毛。


その姿は、夢の中で見たマリー・アストレアよりも幼くはあるが、そっくりだったのだ。


「もしかして……私、転生したの……?」


テーブルにあった本が光っていた。


もしかして、この本のせいなの?


でも、ページをめくってもさっきと同じく白紙のままだった。


夢の中にいた人物は、まぎれもなく前世の私だったのだ。


体が弱かった私は、ろくに学校にも通うことができずにゲームばかりしていた。


色々なジャンルのゲームをしたけど、特に好きだったのは乙女ゲームの学園ファンタジー。


病室で短い人生のほとんどを送った私には、ファンタジーの世界や学校は憧れの対象だったのだ。


最後にゲームしていた乙女ゲームは、”王子の囁き”。


最後のゲームがモンスター系のモノだったらと思うとゾッとした。


複数のヒロインたちが、王子や貴族たちを攻略していく。


全部のエピソードとイベントをクリアすることで、特別ルートの裏ヒロインが追加される。


それが、今の私の妹レニー・アストレアだったのだ。


しかし、レニー・アストレアのルートが解放されてすぐに私は命を落とした。


もし、この世界が本当に前世でプレイしていた乙女ゲームの世界なら……。


私がヒロインとして王子を攻略し、王妃になることもできるのだろうか。


でも、この世界は現実で……正直、王子よりも別のキャラクターの方が好きだった。


なにより、ゲームで描かれているのはもっと先のストーリー。


そうなれば、私の大好きなレニーを立派なヒロインとして育て王子の婚約者にすることができるのじゃないだろうか。


そうなれば、ゲームよりもやりこみ要素が満載なんじゃないの?


そして、レニーを王子と婚約させて幸せにすることが出来れば、姉としてもゲーマーとしても最高だろう。



こうなれば、絶対に妹をヒロインとして育てあげ、最後のストーリーを攻略してみせるわ。


「フフッ、フフフ。」


部屋で夜中に1人で笑っているのは相当不気味だろう……。


ひとまず眠って、明日この国のことを調べてみよう。


ほぼゲームしかしてなかった前世が役に立つなんて。


完ぺきにレニーをサポートして、絶対に彼女を王妃にしてみせる!



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