おっさん異世界転移する
私はごくごくふつうに人生を謳歌しているはず・・・。
ウェディングプランナーを35年間している阿井巳綱独身。
もう、今年で59歳とよく退職や転職せずに仕事一筋でよく続けられたと思う反面、いつのまにか定年退職手前の歳になっていた。
仕事はしっかりして貯蓄はある。しかし、趣味とよべるようなものはなく、親友と呼べる人達は当たり前だが結婚し、子供もおり温かい家庭を築いている。しかし、私は独身・・そんな家庭もない。
周りから見れば、なににも縛られてない自由な人生を送れるように見えるが孤独死にまっしぐらである笑・・・。
という、笑えない冗談は置いといてなぜ、この歳まで独身なのかについて語ろうと思う。
そもそも、生まれて59年間一度も恋というものをしたことがない。あと、よくわからないのだが、私に相談するとなぜかどんな恋も成就してしまう事が度々起こっていた。
古いはなしだと、高校生の時には友人同士、先生同士をもくっつけて最終的に結婚まで結びつけたこともあった。大人になっても仕事の関係で沢山の人にあっては相談されて恋を成就させまくった。周りには『愛の化身』と呼ばれたが自分にはいつなっても、彼女は一人もできなかった笑。
後、家族の中で末っ子で上に美人の3人の姉にこき使われたことで相手に求めるハードルが高くなってしまったことも考えられた。
ひどい話だが私の姉達と母のメイクや服選びなどファッションに関する事に対して小さい頃から手伝わされており、すごい細かいことでも怒ってくるのが怖すぎて独学でファッションについて学んでいた。
そんな、最恐の姉達と母のおかげ?でこの仕事でやってこれたのかと思いつつ、今日もお客さまに結婚プランを提示して仕事を淡々とこなしていた。
そんな時、キッズスペースに可愛いらしい少女が一人で遊んでいた。
最初はどこかの家族の子供かと思っていたが、どうやら他の社員やお客様には見えておらず、積み木や人形が勝手に動いているように見えていた。
「ポルターガイスト、幽霊?」とおどおどした口調で他の社員が言うので、対応しようとしてその少女にコンタクトを取ろうと近づいたが、少女と目があった瞬間に笑顔になり手を振りながら、突然姿が消えてしまった。
何事だと思ったが、気にせずに仕事を続けた。
その後は何事もなく、帰る時間になったので資料の整理してから帰ろうと机に座ったら、不意に後ろから「私のこと見えてる?」とキッズスペースで見た少女が立っていた。
私は霊感とかないのに正直に「少女の幽霊ですか?」と言うと少女は「どこに目つけてんねん、足あるやろ」と鋭いツッコミの手がみつぐの頭に飛んできた。
この子めんどくさいなあと叩かれた頭を押さえながら、驚いていると少女が自己紹介を始めた。
「私はだ女神の・・・」
え、だ女神てなんだ。駄目な女神の略語?自分で言ってて大丈夫なんだろうか、頭でも打ってしまったのだろうか心配して聞いていると。
「だ女神てなんやねんとツッコムとこやろ」と少女にまた、頭を叩かれた。この女神どうやら、重度のかまってちゃんなのかと黙っていると
「見えてるー?大丈夫?、生きてますかー」と目の前で手を振りながら煽られるしまつ。
話が進まなそうなので、「あなたは誰なんですか?」と質問した。
「私はだ女神のミスナ、見た目は可愛い少女だけど中身はバリバリの大阪人やで」と話ながらあざとい、ウインクかますミスナを無視して、本題に入ろうとすると
「無視するなあ。てか、お前はなんて言うん?」
「私は阿井巳綱と言います、すいません、先に名のらなくて」
「あー、大丈夫、知っとるから」と予想外の回答が返ってきた。
「だって、あんたを私の世界に呼ぶためにわざわざこの世界にきたんやから」
「なんで私なんですか?」と困惑しながら聞き返すと
「笑わんといてなあ・・・女神の勘やで」
「勘かあ、勘、勘・・。」と女性の勘はよく当たるからなあと納得したように聞き流していると
「そこは笑うとこやろ」とどこから出したかわからないハリセンでいい音出しながらまたしても叩かれた。
「やから、あんたを私が統治している『アミンタ』につれていくわあ。まあ、つれていく前に私がこの世界に来た理由から話すわあ」と言ったが
私はミスナの耳元で「すいません、家に帰ってから話してもらってもいいですか?ここだと一人でしゃべてるヤバいやつと思われるので」と周りにいる同僚の目線を気にしつつ言った。ミスナは満面の笑みで「ええで」と答えた。
帰り道、両親が残してくれた実家は職場から歩いて30分くらいにある古民家のような家に私は一人で住んでいる。ミスナが「手を繋いで」というので手を繋いで帰っていると、自分が小さい頃に母親に手繋いでもらったことを思い出してしまった。
悲しいことに自分が40歳の時に癌で母親が亡くなり。それを追うように父親も癌で亡くなってしまった。
父親が最期に言った言葉は今でも覚えている。
「家族の縁は死んでしまっても簡単には切れずに残っているから、また会おう。あと、あの3人のことも頼む、すまないが末っ子のお前に1番迷惑かけてるなあ」と言い息をひきとった。
父親の死んだ姿を見たのは私だけで他の美人の姉達はいなかった。まあ、仕方なかった。
長女は仕事関係で世界を飛び回り輸入輸出関係のお偉いさんになり、すぐに日本に帰ることが難しく仕事も多忙のため来れなかった。
次女はかけおちさせた男と結婚しそのまま、家族の縁を切ってまで家を出て行き連絡がとれない状態だったので来れなかった。
三女は母親が亡くなったショックで家に引きこもっていて、いざ外に出た時に周りが見えていなかったのか、不幸な事故にあってしまい寝たきりになり、今でも病院で看病してもらっている。
ミスナがボケまくっていたが嫌な思い出を思い出してしまい無視していたら、いつのまにか家の前まで帰ってきていた。
鍵を開けて中に入ろうとするとミスナが「ボケとるのに無視ばっかりするなあー」と怒ったが、すぐに「うーん?なんかいない?」と突拍子もないことを言ってきた。
「いや、私一人で住んでいるので誰もいないと思うのだが・・」と私が言った瞬間に漆黒の風がふき、家の床から黒い魔法陣のような模様がでて光り始めた。
そこには死神のような格好をした人?が立っており、その人は「やっとこの日がきたみたいだあ・・」と掠れて酷く疲れた声だった。
「誰だ、勝手に人の家に入ったら住居侵入罪だろ」と強気にみつぐは言うと
「みつぐ、お前達は父親に売られたんだよ」
「父親亡くなってるんだが」なぜ、この人達は俺の名前知っているんだ?私の個人情報漏洩されているのかと考えていたら
「お前の父親はお前の母親を復活させようとして死神の俺を呼んで失敗したんだよ。癌で死んだのではない俺を呼んだ代償で呪いで死んだんだよその姿は無様だったよ」
「親父、なにやってるだあー」と59歳らしからぬ声で叫んでしまった。
「そういえば、お前達て言ったか?」とみつぐが言うと死神は
「そうだよ、お前の姉達はなぁ・・・」と言いたく無さそうに死神は下を向いていると、みつぐが死神に近づいて死神の胸ぐらを掴みながら「なにしたんだ、姉達に」と聞きたてると
「俺が最初に訪ずねて命をかろうとした時にまず、次女が死んだんだよ。」
「はーあ!?なにを言ってるんだ、姉達は簡単には死にはしない」だって、うちの姉達なんらか武術の達人で体に関してはかなり鍛えており健康体のはずのだが。
しかし、死神は首を横に振りながら俺の手を払い本を見せてきた。「俺が持っているこの黒い本はなあエンマ大王様から頂いた本で死んだ人間、これから死ぬ人間の名前が自動に書き記されていく代物で名前の横に死因が書かれるんだあ」
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その本にはこう記されていた。
阿井妙子更新中・・・
阿井純子 夫と心中のちに夫を助けて自分だけ溺死
阿井明子 更新中・・・
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「つぅ、本当に姉達の名前がこれは本当なのか?」と疑問に思いつつその本をみていたら。「まあ、見とけ長女と三女の死因がそろそろわかるから」
阿井妙子 仕事中に暗殺され死亡
阿井明子 昏睡状態から戻らず肺炎によって死亡
と書かれた瞬間に電話が鳴った。恐る恐る電話番号を見てみると三女の姉が入院している病院からだった。案の定、姉の死が病院から言い渡された。
「お前の姉達はろくでもないやつばっかだなぁ、長女は裏で義賊ようなことをして敵会社の反感をかいすぎて暗殺、次女は重すぎる愛ゆえに心中すると思って男を信じていたが男は裏切り生きている、三女は絶望の中死んでいたよ。」
「嘘だろ。なんでこんなに一度に私だけに不幸が重なる。意味がわからん」と私が思っていると死神が黒い霧をだしながら
「では、お前の父親との約束を果たさせもらおうか」と異次元から鎌を取り出してきてみつぐに近づいてきた。
「その辺にしとけば」とミスナがしゃしゃり出てくる。
死神は「な、駄女神のミスナなぜここに」
ミスナは威圧のある満面の笑みで一瞬で死神の目の前で
「この子をヘッドハンティングしにきたのよ」
「・・・丁度いいなあ」
みつぐは困惑しながら
「え、なにをいっているんだ」
死神から出ていた黒い霧が消えて
「すまんない、お前の父親は趣味で占い師をしていってなんでもお前達、人間の死期が分かるらしい、それでお前が一人にならないように俺をわざわざ、呼びつけてお前の父親はお願いしてきたんだ『みつぐが死ぬまで一緒いてほしい』と」
全く意味が理解できなかった。
「父親が呪いで死んだていうのは・・・」
「あ〜、それは嘘だ。すまん、普通に癌で亡くなったんだ。」とさっきの本を見せてきた。
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阿井勝肺癌
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「母親を復活するためていうのは」
「お前の父親がそうした方がおもしろいて言ってたから」
親父、心臓にわるいと心の声を叫びつつ、頭の中で整理した。
「お前の父親は、自分の子達と自分の死期を知っていた。だから、全員が死ぬ日にお前の父親がお前の目の前に俺が出てくる魔法陣が展開されるようにしていたんだ」
いろいろ疑問が出てきたがひとまず
「そういえば、死神さんの名前は?」
「あ、悪いなあ俺の名前は死神のアークだ。よろしく。お前の父親とはお前が生まれる前から友達だったよ。あと、お前の父親がお前がこの歳になっても独身のままで孤独死しないように俺を呼んだらしい」
「親父、嬉しいけど悲しい方が大きすぎる」
トホホと思いながら。
「話、終わったかー」と庭で遊んでいたミスナがこちらに走ってきた。
なので、和室に二人を呼んで座布団に座って本来の目的であるミスナがこの世界に来た理由を聞いた。
「神々の世界で育成陣取り合戦がブームなっているねん、そして、あんたを誘う前にもう4回も開催されていってなかなか遊ばれているねん。でな、ルール乗っ取って他の世界線から人を一人呼ばないといけないから良い人材を探すためにたまたま来たのよ」
「私は女神陣営なんのか?」
戦えもしないのになぜ私が選ばれたのか不思議に思っていると
「まあまあ、急ぐな、一から話すから、まず、勇者は4人に魔王は12人でこいつらを二つのグループに分けて14人の神々が育てて陣取りバトルしてるねん」
「ゲームバランス大丈夫なのか?」
「まあまあ、最後まで聞いていなあ。それでなあ、知らんねんけど、いつも勇者陣営が魔王を全員倒して勝ってしまうよ」
「普通に勇者の育成が上手なのか」
「いや、それもおかしいねん4回連続勇者陣営が勝とるねん。しかもこのゲーム普通考えて魔王側の方が圧倒的に有利なはずのバトルやねん。」
「どうしてだ」
「まず、勇者と魔王のステータスは毎回終わったら確認してねんけどほぼ同じくらいで、スキルとか加護とかチート級に強いわけでもないし、勇者は5人パティーでないといけないルールがあるけど、魔王たちには人数制限とかはない」
「歴戦の勇者パティー達はすごいなあ」
「いーや、この問題を解決しないと、私、魔王陣営の神々に消されちゃうのよね。毎回、同じ結果がでていて八百長だと疑われて続けて言われる始末でもう後がないから原因を探っているのよね。」
「そういえば、なんでこんなゲームをしているんだ。」
「あー、それはなあ神々の序列の決定と願い事やなあ。」
「序列は分からなくもないが、願いてなんだ、神々なら自分でできないのか」
「そう簡単には神々でも願いは叶えられへんねん、何より願いを叶えるためには対価として自分の寿命削らないといけないからなあ」
「神にも寿命あるのか」
「そうやで、森羅万象どんなものにも始まりがあれば終わりがある。寿命がなくなったら転生して生物に戻るから、神々は真剣にこのバトルに参加してねん。しかも序列が高いほど、毎年、最高神様からもらえる寿命が多くなんねん」
「最高神様て誰なんだ?」
「最高神様は寿命の概念がない唯一無二の神で神々を監督している神の中の神で美形らしい。いままでなら、毎年序列1位の神の願いを無償で叶えていたんやけど、同じ神ばかりの願いを叶えるのがつまらなくなったのと神々の序列が全然変化しないことが面白くないから年終わりにこのゲームを企画して始めたんだよ。」
「すまん、脱線した。結局私はそこの世界にいってなにをすればいいんだ?」
「あ、それはなあ勇者と魔王とは違う第3陣営に回ってもらって、なんで毎回勇者達が勝っているのかを、魔王陣営の神々に納得がいく理由を探しに行って欲しい。まあ、勇者陣営が勝つ以外の結果を出しちゃて八百長てばないことを証明できればいいと思う。魔王陣営の神々に消される、私を助けて」とまた、してもあざといウインクをかましてくるミスナをいつもの如く無視して考えるのであった。
「そうか、なら、私がそっちの世界に行くメリットはあるのか」
「それわ、私が消えされなくて原因がわかればご褒美としてあっちの世界で得た便利なスキル、加護をこっちの世界でも使えるようにするわあ。あと、あっちの世界に存在するものを3つまでこっちの世界に持って帰ることを許可する」
それはすごいと感心していたが「そういえば、あっちの世界で過ごした時間分こっちの世界は進んでいるのか、話が良すぎてデメリットがこわいのだか」とデメリットを予測しながら聞いてみると
「その点は大丈夫、同じ時間線に戻してあげるからどれだけあっちで時間がかってもこっちに返ってくるときは飛んだ前と同じ。デメリットはあっちの世界であんたが死んだり、原因がわからなかったら死んで神々の糧になることかしら」
「なるほど、じゃあいくか」
「そうよね、簡単には決れないよね・・・」
「て!?、行くんかいー、決めるの早すぎん?」と驚きの顔をしつつツッコミをするミスナにみつぐは
「理由は3つだ。一つ目はこっちの世界にいてもこれからの人生を幸せにすごせる可能性が低いこと。二つ目は親父に仕組まれているきがするが頑張れよて応援されている気がすること。最後に一番大事なんだが、脱独身をして生きてきた59年間独身の日々=彼女いない歴を無かったことするためだ」
「なるほどね、アーク君もいくのよね?」とミスナが圧をかけて問いかけると
「そうだなあ、みつぐの父親との約束だからなあ、みつぐがどこに行こうが俺は一緒にいるからなあ」と頼りになる声で言った。
「それじゃあ、行くとしますか、みつぐ」
「はい。頑張りますか」と59歳には見えない、やる気を出しつつ神々の遊ぶゲーム世界にいくことをみつぐは決意した。
みつぐはお茶をミスナ達にだしながら「アミンタにはどういくんだ?」とミスナに聞いた
「それはなあ、こうやで『ゲート アミンタ』と私に触れながら唱えれば飛んでいくでー」
早速しようと立ってミスナに触ろうとすると
「乙女をそんな手で触るとはなにごとやあ」と頭を叩かれて怒られてしまった。
「私達女神に人間が何もせずに直接触るとなあ、人間の五感の一部を封印するねん。要するに軽々しく神に触るなあということやなあ」と笑ながら言われた。
「やから、手を握ってもらったときに触覚の温度感を封印したで、ほら、アイスウォーター」と氷水がみつぐを襲った
「冷たくない・・・」と驚き、畏怖した。え、だ女神じゃなくない。
「まあまあ、気にするなあ治したるし、もし、アミンタにいかんて言われたときの布石やからきにするなあ。」と鋭い目でミスナは言った。
いや、そこまでするんかあ、拒否権ないのではと思っていたらミスナが
「ほれこれ、この石やるわあ」と緑色の綺麗な石がついたペンダントを投げられた。
「この石はなあ簡単に言うとパスポートと電話みたいなあもんやなあ、もってるだけで私の封印を解除したり、私と連絡できるていう便利な石やで。」
その石とった瞬間に冷たいと言う感覚が戻ってきた。ミスナ恐るべしやなあ。
「最後にルールがたくさんあるけどあっち行ってからまた説明するわあ、あっちの私が祀ってある協会で合流する感じで、それではー、」
3人で手を繋ぎ全員で
「「「ゲート アミンタ」」」
ゲームスタート