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始まり

VRMMOの舞台だったフィルトロア大陸。その大陸には5つの国家が存在する。

人間が治める国家ダートル

魔族が治める国家サタナキア

エルフとドワーフの共生国家カルナバル

竜と竜人が治める国家ドラグノフ

多種族共生国家クロムハーツ


全ての国家は落日のロスト以来良好な関係を築いている


クロムハーツの王都にて



「ご主人様はいつお目覚めになられるのでしょうか」

そう呟くのは白銀の髪と金の瞳を持つ美しい人物

彼女の言うご主人様とはすぐ近くのベッドでまるで死んだ様に眠る人物。銀髪に長い耳の美しいエルフである。

目覚めてほしいと呟く彼女はそこから殆ど動かずこれまで10年の間休む事無く眠り続けるエルフの世話をし続けている。

10年目を迎えそれから2ヶ月

「ここは、、何処?」

眠り姫と化していたエルフが目覚めた

「ご主人様ようやくお目覚めですか?いつまで待たされるのかと思いましたよ?」

そう言いつつも目からは涙が溢れていた

「エクセラ心配をかけてごめんね」

エクセラと呼ばれた人物の涙をエルフの女性は拭う。

それから数分は互いに喜び合い抱きしめあった。

―――――――――――――――――――――――

「それにしても本当にここは何処?」

私はこんなところに住んでいなかった筈だ。

まず、私は20年前にこの世界プレイしていたVRMMOの世界に使用したキャラクターとして転生?した。

VRMMOでは上位の戦闘職だった私としては女性として転生したことの違和感や無双したいなんてことは、最初こそ思いはしたが20年という月日の中で次第に無くなっていった。今では自然と女口調だ。そしてやはりというか、自身が理想とするキャラメイクなだけあって男から下卑た視線や言葉を貰ったり、女からは当初の口調が男っぽかったからか告白されたりと大変だった私の理想的な外見を堂々と表に出せないのは残念だが厄介事は御免なので自室以外ではフードと狐の面をつけていたんだが。因みに狐面は貰い物だ。

かつての仲間達から贈られたもので今でも大事にしている。

話しを戻そう。いつも私は宿屋に泊まっていた家など持って無いのだ。

私にとって記憶に深く残るあの大戦。

私はあまりのショックで倒れた気がする。それからの記憶がないのだ。

私はあの大戦で共に戦った私の眷属であるエクセラに問う。

「そうですねまず何から話しましょうか。

そういえばあの大戦が終わって現在までどれくらい経ったと思います?」

「どれくらい経った?数日くらいじゃないのか?」

「いいえ違います。10年ですよ、ご主人様

貴方は10年の間眠っておられたのです」

「なっ⁈10年⁈」

私はあまり長さに驚愕した。

「そうです。とはいえ我々の様な寿命の無い種族にとっては10年など小さなものですが」

エクセラの言う通り私もエクセラも寿命が無い。

私の見た目はエルフではあるがその上位であるハイエルフのさらに上位、エンシェントエルフである。

エクセラは人にしか見えないがその正体はフェンリル

神獣である。

エクセラの様な者からは10年は短く感じる様だが、

私の様に元人間である身としてはやはり驚かざるを得ない。

「今日まで眠った原因は?」

「私にも詳しい事は分かりませんが、恐らく身体的なものよりは、精神的なものかと。あの時のご主人様の感情は今でも忘れられないくらい強烈なものでした」

「じゃあ、ここは?」

「ここはクロムハーツの王都にある私たちしかいない家ですよ。ご主人様は目立ったり、厄介ごとは嫌いだったでしょう?大戦が終わった後直ぐに倒れられたので、ご主人様の素性を隠し通す為にこの家を買って住むことにしました。

代金はご主人様の財布からですがお許しください」

「それはいいんだが、これからどうしようか?」

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