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第四章 眠り姫の見る夢は…… -3-

徴税省での勤務期間が瞬く間に終わり、気が付けば金勘定の速度が跳ね上がり終わり掛けには金庫番のお姉さんには絶対ここに来て頂戴と懇願されるほどになっていた。


どうにも納税時期の終業は回収した納税の確認が終わるまで帰れないらしく、一人増えるだけでかなり違う上に一応数学は人並みの知識があれば手も早く、納税時期に始めて日暮れ前に帰れたと両手を挙げて喜ばれた。


必要とされるのは嬉しいがアレックスとの関係もある為どうなるかは解らない。


それはそれとして、今日は久しぶりの休日なので龍馬は怠惰を貪ろうと朝は寝過ごして昼からゆっくり風呂に入って散歩か勉強がてらの読書にするつもりだった。


しかし、それを良しとしない者が居た。


オルフィリアであった。


「ずいぶんと忙しいようであるな」


「お陰様で」


もはや嫌な予感しかしなかった。


「良い、であるが今日は休暇であろう? 私の相手をしてもらおうか」


…………朝日がオルフィリアの頬を照らしていた。


「昼からにしない?」


「阿呆、私が暇だろうが」


グッバイ、マイホリデー。


結局、朝一に叩き起こされた龍馬は一人支度をして風呂に入ってから自室に戻って着替えをしているとメティーシアがやってきた。


「おはようございます。本日は昼過ぎまでお休みと聞いていましたので」


遅れてしまったと言いそうになるのを遮って龍馬が口を挟む。


「いや、構わないよ。俺も予想外でね」


そう言って指を指した先には椅子に座り目を瞑り眠そうにしているオルフィリアの姿が。


それを見て納得したメティーシアは一礼して朝食を取りに行ってくれた。


にしても、起きてなければというか黙っていればもの凄い美人だなぁと改めて視線を向ける。


それこそタイプは違えどフランシスカと同レベルだろう。


眠り姫を眺めているとうっすらとを開いた。


「用事は済んだか?」


「後は朝食だけ。メティーシアが運んできてくれるからちょっとだけ待ってて欲しい」


仕方ないなと言って再び目を閉じるオルフィリア。


このままずっと寝ていてくれれば俺も寝れるのにと頭を過ぎったが目が覚めたときが怖かったので実行に移さないで居た。


メティーシアが来るまでの間くらいは読書をしようと本棚から一冊の絵本を手に取って振り向くと、またオルフィリアが目を開いた。


「まだ寝てて大丈夫だよ」


龍馬がそう言って椅子に座ろうとするとオルフィリアは立ち上がり一礼して口を開いた。


「初めまして龍馬様、私はオルフィリア・ネインバー。この体の本来の人格です」


その雰囲気に龍馬は硬直した。


それが嘘には聞こえず、言っていることが正しければ今はここに居る人は居るはずのない相手なのだか

ら。


「驚かせてすみません。ただ、少しだけお話したくて」


「いえ、あ、いや。大丈夫です。はい」


大丈夫ではなかった。全然頭がついて行けてなかった。とりあえずはドラゴンの人格ではない本当のオルフィリア・ネインバーが目の前に居るということだけは理解した。


「本当に色々とご迷惑をお掛けしております。父もドラゴンも他の方々も含めてお詫びいたします」


恭しく頭を下げられ謝られてしまう。


「いや、俺のほうこそ色々と世話になってばかりで申し訳ないことばかりで」


何故か謝罪合戦になってしまい、オルフィリアが申し訳なさそうにしているのでとりあえず椅子に座るように促した。


「お気遣いありがとうございます。本当に龍馬様はお優しいですね」


屈託の無い笑顔を向けられ龍馬はどきっとしてしまう。


「そんなことないですよ。普通ですよ、普通」


当たり障りの無い言葉を並べて視線を逸らすとオルフィリアはうとうとし始めていた。


「すみません。私が表に出てくるためには彼女が寝ている必要があるのですが、もうお目覚めになられるようで、お話できてよかったです。またお話していただけますか?」


「それは勿論」


何もかも唐突過ぎて追いつけない状況だったが少しでも安心して彼女が眠れるならと思い答えた。


「よかった。では、すみませんがもう…………」


カクンと気を失うように体の力が抜けるとすぐに目を開き口を押さえて小さく欠伸をする。


「うーん。ん? どうしたのだ?」


龍馬の様子に気が付きオルフィリアは納得したように笑みを浮かべる。


「娘のほうが出てきていたか」


そして然して気にした様子も無く龍馬に声をかける。


「朝食は済んだのか?」


「いや、まだだよ」


それを聞いてつまらなさそうな顔をして背伸びをして椅子に体重を委ねた。


「ちなみに今日は一体どんな用で俺のところに?」


そう尋ねるとオルフィリアは不適な笑みを浮かべて答えた。


「なに、お前に魔術が使えないか実験して見ようかと思ってな」

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