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星を巡る竜  作者: 夢想紬
第二章
62/227

34 穏やかな旅路

「もっと、もっとだよ……ダメダメ、そんな大火力じゃ、料理なんて出来やしないよ! もっと小さく、これくらいだよ!」


 ネクトの町を出て二日目の朝、街道を外れて停車しているリュウ達の車両の脇から、元気なハンナの声が聞こえる。


 前日に目を覚ましたハンナは見知らぬ風景に驚きはしたが、リュウ達から事情を聴くと、皆に感謝を述べて行動を共にする事を承諾していた。


「くうぅ、これ以上小さくなんて……大きくなら出来るのにぃぃぃ!」


 額に汗を浮かべて(うめ)いているのはリズだ。

 彼女はハンナに言われて料理に適した炎を(おこ)すべく、ハンナが用意した魔炎石が発する炎を真似ようと悪戦苦闘していた。


「好きな人に手料理振舞う女の人って多そうだけど、炎も自前で料理作ったら、リズさんは完璧にエンバさんの特別に成れますよ!」

「!! ぐぬぬぅぅぅおおおりゃああああー!」


 そんなリズをリュウが無責任に(あお)ると、百年の恋も冷める気合の掛け声がリズの口から発せられる。


「あっ! 小さくなってる!」

「おお! ここで頑張らないと、他の女にエンバさん盗られますよ!」

「ふぎぎぐぐががぁぁぁぁ!」


 炎が小さくなり始めた事にアイスが気付き、リュウが更に楽しそうに煽ってみせると、リズは顔を真っ赤にして更に炎をコントロールしていく。

 その様はまさに、エンバは誰にも渡さないとでも言わんばかりなのだが、憤怒の形相が、浮気したら殺す! と言ってる様にも見えなくもない。


「あ……消えちゃう……」

「ぶはあっ! も、もう……無理ぃ……」


 だが気合が限界に達し、アイスの悲しそうな声と共に炎は消え、リズはがっくりと両手を地に突いて肩で息をする。


「あっはっは、よく頑張ったよ! 初めてであんなに小さく出来たんだ、これは期待できるよ……練習あるのみだねぇ!」

「くっくっくっ……リュウ様ったら可笑しい……でもリズ、凄かったわよ!」


 リュウとリズのやり取りにハンナとリーザは笑いながらも、初めての試みで結果を示したリズの健闘を称えた。

 肝心のエンバはミルクとココアと一緒に周辺の警戒に出ており、幸か不幸かリズの頑張りを見る事は出来なかった。










 結局、朝食はハンナとリーザで作られ、ミルク達が戻って全員が揃うと車両の横に広めの敷物が敷かれ、皆が丸く座って朝食を囲んだ。


「それでリズさん、何か収穫は有りましたかぁ?」

「いえ、ただ疲れただけで何も……」


 話を聞いたミルクに問われ、肩を落とすリズだが、リズの頑張りを知る者の目は温かい。


「そんなすぐに効果は表れませんよ、ミルク様。そうだねぇ、リズがあれで料理まで出来る様になった時には、目に見えて違いが分かるかも知れませんねぇ」


 ハンナがフォローする様にミルクに話すのを見て、リーザはふと疑問を感じる。


「ハンナさんは、一体どうしてこんな方法を知ってるんですか? オーグルトでは、ううん、魔都でも聞いた事が有りません……」

「そうだろうねぇ、これは一般には知られてないだろうねえ……これは魔導士の鍛錬法で、地位を守る為に秘密にしているらしいのさ……」


 リーザの問いにハンナが答えると、皆の間に僅かに緊張が走る。


「なるほどねぇ、ガトルのおっさんが部下に教えてたってとこか……」

「ああ。あたしの食堂でも何度か言ってたからね……何でもいいから魔法を毎日小さく使ってろってさ……」


 リュウが敢えて空気を読まずに正解を口にし、ハンナがそれを肯定する。


「あ、あんな奴のやり方を――」

「リズさん。人間性はクズでも、あいつの魔法は一流だった。それなら良い所だけ取っちゃえば良いんですよ。そしたら魔法レベルが追い付いた時点でリズさんの方が魔人族として上に立てる。美人で料理が出来て、魔法の腕も超一流とか最高じゃないすか?」


 激昂しかけたリズを、リュウが落ち着いた声で遮る。

 そんなリュウを、他の者達が感心した様子で見つめている。


「う……わ、分かりました。リュウ様の言う通りだと思います……」


 リズはそれを受けて、渋々だが納得した様だ。


「俺も今日からリズに負けない様に鍛錬します!」

「そうね、私も……でも、どうしたらいいのかしら……」


 リズが納得した事で、エンバが発破を掛ける様に宣言し、リーザもそれに続くのだが、リーザには具体的な練習方法が浮かばない様で首をかしげる。


「リーザは光の魔法なんだから、闇を払えばいいんだよ。真昼間から頭上に光を灯してるなんて、間抜けな絵面だけどねぇ……あっはっは……」

「も、もう……他人事だと思って……」


 そんなリーザにハンナは具体例を挙げてやるのだが、その光景を想像して豪快に笑い、リーザはぷぅっと頬を膨らませた。


「リーザさんって、ハンナさんの前じゃ……ほんとに子供みたいですね……」

「! ち、違うんです!」

「違いますか?」

「違わないですよ、ハンナさんの前だと拗ねて甘えて、こっちが恥ずかしい」

「俺も意外でした……」

「はう……」


 その様子をリュウに評されて否定しようとするリーザだが、リズとエンバにも同意されると真っ赤になって俯いてしまう。


「あっはっは、どんなに猫被ってたのか知らないけど、あたしにとっちゃいつものリーザだけどねぇ……ほらほら早く食べておしまいよ! 早くしないとアイス様に全部食べられちまうよ!」


 そんなリーザを豪快に笑いつつ、ハンナが皆に食事の再開を促す。


「あぐ?」


 食事に夢中のアイスが、話を一切聞いていなかったのは言うまでも無い。










 朝食を終えて更に北へ進む一行は昼食時になると再び停車し、エンバと妖精姉妹は周囲の警戒に、リズはアイスとハンナの下で炎の修行、リュウとリーザは森に入っていた。


「ここなら少し暗いから、明るさの違いも分かりますよ」

「そうですわね、闇を払う光……」


 リュウの提案で、リーザは薄暗い森の中で光の魔法を発動させる。

 リーザの前方二メートル、地上から三メートル辺りに光の玉が浮かび、周辺を煌々と照らしている。


「魔光石よりずっと明るいですね……」

「滅多に使わない魔法なので、加減がよく分からないんです……」


 リュウの素直な感想にリーザは言い訳しつつも光量を下げるのだが、まだ普通に明るい状態から光量は下がらなくなってしまった。


「まだまだ十分に明るいですね……目標はこんなイメージですかね……」


 そう言うとリュウは脳内ツールを使って右手にライトを生成し、光量を絞って点灯させた。


「はい、頑張ってみます……」


 そのオレンジ色の淡い光を見つめながらリーザが少し緊張した面持ちで頷き、光をコントロールするべく集中し始める。


「う~ん……あ……弱くなってきた……リーザさん頑張って!」


 変化の無かった光量が少しずつ下がり始め、リュウに励まされるリーザはコクリと頷くと、目を閉じて集中する。

 光量が下がるにつれ光は淡くオレンジ色となり、その暖かそうな光に包まれる凛とした表情のリーザを、とても美しいと思うリュウ。


 だがその輝きが突如失われ、辺りは薄暗くなってしまった。


「えっ……あ、あの……リュウ様?」


 リーザが驚き、そして困惑する。

 背後からリュウに抱きしめられ、集中力が霧散してしまったのだ。


「えーと……リーザさんが凄く綺麗だったので、つい……すみません……」

「いえ、そんな……でも、えっと……これでは練習に……」


 赤い顔で言い訳して謝るリュウだがリーザを放す気は無い様で、リーザも赤い顔で練習を口にするものの、離れる気は無い様である。


「見て、姉さま……ご主人様から抱きしめましたよ……」

「コ、ココア、やっぱり止めない? 叱られちゃうよ……」


 そんなリュウ達を十数メートルは離れた木陰から、狼狽(うろた)えるミルクの手をしっかり掴んで覗き込むのはココアだ。

 ココアはミルクと周囲の安全を確認し、リュウとリーザが居ないと分かると即座にミルクの手を引いて、主人の情事を覗き見するべく森にやって来たのだ。

 因みに現在の二人は武装を解除しているので、元の十五センチ程のサイズに戻っている。


「姉さま、ご主人様の初めては奪われてしまったけれど、まだチャンスはあるの……こうして二人を観察してリーザよりも良い女になれば、きっとご主人様は振り向いてくれるの……」

「あう……で、でも、こんなのいけないよ……」

「大丈夫。この距離で、しかも二人は周りなんか見えてないもの。ご主人様の好みのプレイを知る事も重要よ?」

「プレイ……あう……あう……」


 ココアは今、二つの欲求を同時に満たせるとワクワクしていた。

 一つは当然、主人の情事を覗き見する事だが、もう一つはミルクとの立場の逆転、もしくは懐柔である。


 事あるごとに姉として優等生たらんとするミルクに、好奇心旺盛なココアはこれまで何かとブレーキを掛けられていた。

 なのでミルクを十八禁設定適用範囲外の状況に引き込み、姉としての威厳を完全に失墜させる、最悪でも共犯として発言力を弱めようと画策しているのだ。


 そしてその策にまんまと(はま)ったミルクはというと、ココアの説明に既に顔を真っ赤にして言葉を失っていた。


「わぁ……見て見て姉さま、凄く熱いキスね……」

「はうぅ……激しい……」


 二人は木陰から地面を移動して、草陰からぴょこっと頭だけを出してリュウ達の熱い抱擁を眺めている。


「リュウ様、これ以上は……こんな明るい所は恥ずかしいです……」

「そ、そうですね……でも、もう無理っす……」

「リュウ様……」


 リュウの手がベストに掛かり、リーザはさすがに戸惑いを見せた。

 だが理性の限界を訴えるリュウがリーザのベストを(はだ)けさせてしまい、それ以上の抵抗を諦めて流されてしまうリーザ。


「うわぁ……ご主人様、大胆~」

「はうぅ、ご主人様が……大人の階段をどんどん上って行くぅ……」


 口元に両手を当てて眺めるココアの顔は赤く、ミルクに至っては思考停止寸前であった。


「リュウ様……誰かに見られちゃいます……」

「……誰も来ないですよ……」


 大木に寄り掛かっていちゃつく二人。

 そんな二人を息を殺して覗き見する妖精姉妹。

 いちゃつきつつも自身の言葉にふと、引っ掛かりを覚えるリュウは、物は試しと叫んでみる。


「ミルクっ!」

「は、はいっ!?」

「きゃっ!?」


 突然名前を呼ばれた事で思わず思考停止寸前のミルクが反射的に反応してしまい、リーザが短く叫んで胸元を隠す。

 ハッと我に返って慌てて口を押えるミルクだが、時既に遅し。


「姉さまの馬鹿っ! 逃げるのっ!」


 咄嗟にココアがミルクの腕を取り、その場に背を向け離脱を図る。


「ひっ!?」


 逃げながら背後をちらりと見るココアは主人と目が合って驚愕しつつも全力逃走に移り、ミルクもそれに倣う。


「クエッ!?」

「ケクッ!?」


 が、服を背後から掴まれて妖精姉妹の首が締まる。

 リュウが神速とも言えるスピードで一気に距離を詰め、二人を捕捉したのだ。


「マジで出歯亀がいるとは……リーザさーん、覗き魔を二匹捕らえました!」

「やだぁぁぁ……」


 むんずと掴んだミルクとココアを掲げてリュウが振り返ると、胸元を隠すリーザが真っ赤な顔でしゃがみ込んだ。


「ちちち、違うんです、ご主人様! 誤解なんです!」

「ココアが逃げろと叫んでた様だが?」

「そそ、それは……ご……ごめんなさいっ!」

「姉さまの馬鹿ぁぁぁ……」


 慌てて弁解しようとするも、結局上手い言い訳など思いつかず、謝罪に徹する事にするミルク。

 ココアは一瞬で計画がおじゃんになり、むくれている。


「反省が足りんな……リーザさんを辱めた罰を受けるがいい!」


 額に青筋を浮かべるリュウは二人の足を掴み直し、逆さにぶら下げた。


「きゃあっ!? いやあ! ごめんなさい! ごめんなさい!」


 スカートがめくれ上がり、必死に手でスカートを押し上げようとするミルクだが、逆さまなので純白の下着はほぼ丸見えで、慌てて声を上げて謝った。


「いやぁぁぁん、反省してますぅ! ごめんなさぁい!」


 一方のココアは、反省を口にはしているものの、セクシーな下着を見られて満更でもなさそうだ。


「これで済むと思うなよ、この出歯亀姉妹! こうしてくれる!」

「きゃああ! いやあ! リーザさんごめんなさい! 許して! 助けてぇ!」


 リーザの下に戻るリュウに下着に指を掛けられ下げられ始め、ミルクはそれはもう必死でリーザに謝りつつ、助けを求める。


「リュウ様、許してあげて下さい……さすがにかわいそうですわ……」

「うわぁぁぁん、リーザさぁぁぁん! ごめんなさいぃぃぃ!」


 そんなミルクを見かねたリーザがリュウに許しを乞うてやると、解放されたミルクはリュウから隠れる様に、リーザの襟元に縋りついて泣いて謝った。


「全然堪えてないお前には、やっぱこれだな……」

「そんなぁ……」


 そんなミルクにため息を吐くと、リュウはココアの首を掴み直してヴォルフの姿に変えてしまい、これにはさすがのココアもしゅーんと項垂れてぶら下がる。


「それにしてもリュウ様、凄い速さですわね……」

「んー、なんだかちょっとずつ慣れて来た感じっすね……」


 そんな会話を交わしながら、甘いムードを壊されたリュウ達は車両に戻る。

 破壊の力を目覚めさせてから、リュウは徐々に肉体と意識とのズレを無意識の内に埋め始めていた。










「ハンナぁ、もうしないから! リズぅ、一緒に謝ってぇ!」


 リュウ達が車両に戻ると、アイスが何やらハンナに謝っていた。


「ハンナさん……何しでかしたんですか? コイツ……」

「いやね、果物をつまみ食いしただけなんだけどさ、喉詰めて死に掛けて……」


 ハンナに事情を聞くリュウは、再びため息を吐く。

 どうやらアイスの食い意地は筋金入りらしい。


「よし、みんなより先に食べた罰だ……アイスは昼飯抜き!」

「うわぁぁぁん! もうしないからぁ! リュウぅ! ごめんなさぁぁぁい!」

「ほんとにもうしないって約束するか?」

「するっ!」

「んじゃ、そこで昼食まで反省してろ……お前らもな……」


 アイスに一応の謝罪をさせたリュウは、ミルクとココアと共にアイスを傍らに転がっていた箱の中に放り込んだ。


「いいか、昼飯が出来るまで大人しく入ってろ。悪い奴はもう出してやらん」

「リュ、リュウぅ……」

「はい……」

「すみませんでしたぁ……」


 そしてリュウは宣言すると、容赦なく蓋を閉じてしまった。


「ちょっと厳し過ぎるのでは?」

「なーに、しおらしいのは今だけですよ……すぐにまたやらかすんだから……」


 心配そうなリーザにリュウが肩を(すく)めて答えると、ハンナが豪快に笑い出す。


「あっはっは! リュウ様は分かってるねぇ……相手が妖精様でも、星巡竜様でも、悪い時は叱る! そうでなくちゃねぇ!」


 そう言ってハンナは昼食の用意を再開し、リーザとリズがそれに加わるのだった。










「ほら、おチビちゃん達、出ておいで!」


 昼食が出来上がり、ハンナが箱の蓋を開けて中を覗き込むと、アイス達はちゃんと反省していた様で、しゅーんと項垂れていた。

 だが食事が始まると徐々に話し始め、食事が終わる頃にはすっかり元に戻った様子で、ヴォルフ姿のココアとじゃれ合っている。


「ね、心配するだけ無駄でしょ?」

「そうですわね……」


 そんなアイス達の様子に、呆れ顔のリュウとクスクス笑うリーザ。


「はぁ……折角良いところだったのになぁ……」

「リュウ様……ま、また機会は有りますわ……」


 そしてリュウが残念そうにぼそりと呟くと、リーザも声を潜めて薄っすらと頬を染め、そそくさと席を立って後片付けに加わった。

 そんなリーザの姿に、思わずリュウの顔がニヤけてしまう。


「ご主人様ぁ、そろそろ解除してくださいぃぃ……」

「ん? あー、そうだったな……」


 リーザが片付けに向かい、やって来たココアにヴォルフの姿の解除をお願いされるリュウは、にやけ面のままマスター回線のロックを解除してやる。

 すると即座に姿を元に戻すココアが翼を広げて主人の肩口に降り立ち、その耳元で声を潜める。


「さっきはごめんなさいでした、ご主人様ぁ……」

「お? うん、もうすんなよ?」


 改めて謝罪するココアを少し意外に思うものの悪い気がするはずも無く、リュウは自然と優しい声になる。


「はい。それで、ご主人様ぁ、邪魔したせいで悶々としてませんかぁ?」

「え……いや、まぁ……そりゃ、なあ?」


 だがココアの予想外かつ図星な問いにリュウが言い難そうに肯定すると、ココアの表情が明るくなった。


「だったらぁ、ココアにお詫びのご奉仕させて下さぁい」

「へ? 何それ?」


 そして甘え声でのココアの申し出に、リュウは素で聞き返す。


「ココアはご主人様専用の万能AIですよ? 戦闘支援から身の回りのお世話まで、ナダムの技術の粋がぎっしり詰め込まれているんですぅ。当然その中にはご主人様の性的欲求を満たして差し上げる事も含まれているんですぅ」

「マジで? ミルクはそんな事一言も言わなかったぞ?」


 するとココアは自身について語り出し、そこに初めて聞かされる内容が有った事にリュウは軽く驚きを見せた。


「だって姉さまは十八禁設定ですからね……パンツ見られてキャーキャー言ってる姉さまには対処できませんよぉ……だからご主人様はエロスを求めてココアの十八禁を解除したんでしょ? 使われないと損ですし、使って頂ける方がココアも嬉しいですぅ……」


 ココアは極力自分の願望を表に出さず、所有者の当然の権利であり、自分はそれに十分に応える事が出来るし、その方が幸せなのだ、と力説する。


「え……そっかぁ……いや、でもなぁ……うーん、やっぱマズいだろ……」


 対するリュウは、突然の魅力的な申し出とリーザとの事を考えて非常に悩んだ様だが、ギリギリ僅差で理性が働いた様である。

 その顔は気を抜くとニンマリしてしまうのだが。


「じゃあ、どうしても我慢出来ない時は言って下さいねぇ?」


 主人の返答に内心がっかりするココアであるが、笑みを崩さず、甘い声でいつでも応じる用意がある事を告げると、主人の頬にキスをしてアイス達の下へとふわりと戻って行った。


 その後リュウはしばらくの間、自然と緩む表情筋に困る事となる。

 過酷な体験を経て少々大人びてきたとは言え、そこは十六歳の少年である。

 甘い誘惑に対処するには、まだまだ経験値の足りないリュウなのであった。

いきなり旅をすっ飛ばして魔都…というのもなんだかなぁ…

という訳で、あーでもない、こーでもない、と悩みながら

出来上がったのがコレです…


早くガトルロスから抜け出さねば…(笑)











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― 新着の感想 ―
[良い点] ヨルグヘイムもガトルも良敵キャラでした!今後も楽しみ あと相変わらずアイスたんかわいい❤︎
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