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星を巡る竜  作者: 夢想紬
第二章
48/224

20 旅の準備

 ――魔都アデリア


 大陸「人の地」の西半分を占める、魔人族領北西に位置する魔王が統べる都。


 魔都の東には、南南東に位置するオーグルトに向かって延々と伸びるキファ山脈が有り、オーグルトのすぐ北から南西に伸びるオーグル山脈にぶつかっている。

 オーグル山脈に沿って南側には街道が走っており、そのままほぼ北東へと進めば、人の地を中央で分ける様に南北に延びる中央山脈に達する。

 そして、東西は中央山脈からキファ山脈、南北は街道から大陸北側までの間は、人の地最大の大森林が広がっている。


 それ故に、オーグルトから魔都へは街道を南西に向かい、オーグル山脈を迂回した後に大陸西側を北上して魔都へと向かわねばならない。


 リーザによると、オーグルトから魔都へは人のみでは移動できない。

 途中二つの町は有るが、馬車に食料を満載する必要があるからだ。

 そして魔人族の馬車に使われる馬は小さく、馬車の重さ故に移動速度も徒歩と然程変わらない為、オーグルトから南西に半月、そこから北に一月、と計一月半を要するのだ。


「如何にリュウ様がお強くても、案内や料理ができる者は必要です。是非私にお供させて下さい」

「ま、待ってよ姉さん! 治癒術士の姉さんなら、万が一の怪我や病気にも対応できるけど、案内やその他のお世話までなんて無理よ! 私も行くわ!」


 魔都へ何度か行った経験があるリーザが供を申し出ると、慌ててリズも同行を主張する。

 リズは治癒術士としてだけでなく、あらゆる事を高次元でそつなくこなす姉が自慢でもあり、疎ましくもあるのだが、たった一人で全てをこなせるとは思えなかったのだ。


「リズ……一体、私を何だと思っているの? 一人でお供なんて、無理に決まってるでしょ……当然、他の人にも来てもらうわよ」

「え……そ、そうよね、でも誰に来てもらうの?」


 リズの剣幕に当たり前でしょ、とリーザは呆れ、リズは自分の慌てぶりを誤魔化す様にお供の候補を尋ねる。


「人もだけど、馬車の用意も食料の確保もしないと。リュウ様、準備に二日程掛かりますが構いませんか?」

「え、あの……本当に良いんですか?」

「もちろんですわ、リュウ様」

「当然です、リュウ様。アイス様、構いませんよね?」

「う、うん……」


 リズとリーザの間で勝手に話が進み始め、リュウはリーザに問われてようやく二人に同行を確認するが、二人の決断は揺るぎない様だ。

 リュウとしても美人姉妹が付いて来てくれるのは嬉しい展開な訳で、その展開を下手にいじって崩さない様に、それ以上の言及は避けた。


「それにしても馬車か……馬車って町中でたまに見かけるやつですよね?」

「ええ、そうですよ」


 そうしてリュウが馬車について尋ねると、リズがにっこりと笑顔で答える。

 リズは同行できそうとあって、ご機嫌である。


「あのサイズだと、二台は必要かな……」


 リュウは時折見かける横一メートル五十センチ、長さ三メートル程の木製の荷車を思い出していた。

 直径一メートル程の車輪の車軸の高さの荷台に様々な荷物を、車輪より僅かに高い位置の荷台には人を乗せて、二頭の小柄な馬がのんびり引いているのを、何度か見た事があったのだ。

 リュウはあれなら二台も有れば、今ここに居るメンバーとその荷物を運べるだろうと思ったのだ。


「リュウ様、二台では少なすぎます。私達の荷物は運べても、馬のも含めて食料を積めません。護衛も必要でしょうし、少なくとも四台は必要かと……」

「え……そんなに? う~ん、そんなに要るかなぁ……」


 だがリーザに申し訳無さそうにダメ出しされてしまい、リュウはう~んと考え込んでしまう。

 リュウとしては、自分達の問題に出来るだけ魔人族の手を借りずに済む方法が好ましいと思っているのだが、これではそうもいかない。

 なのでリュウは、ミルクの頭脳と能力に頼ってみる事にする。


「ミルク、あの馬車を二台連結して改良したものを、車両で引けないかな?」

「え、あの……文明レベルを無視して、でしょうか?」


 車両と聞いて、ミルクは困惑した。

 魔都へ急ぎたいのは分かるが、昨日ミガルの工房で、文明レベルの差による問題を目の当たりにしたばかりなのにぃ、と。


「うん!」

「そんなきっぱりと……で、出来ますけど、問題になるんじゃ……」


 そうだよ、その通り! と言わんばかりに笑みを浮かべて頷く主人に、呆れを通り越して諦めムードなミルクだが、それによって発生する問題を懸念して、上目遣いで心配を口にする。


「そこは目的地に着いたら破壊、魔人族の誰にも渡さなければ公平じゃね?」

「でも……見た人は欲しがると思いますよ? それによって起こるトラブルが心配ですぅ……」


 そんなミルクの心配を余所にリュウは楽観的に言い放ち、ミルクはダメだ、やっぱり口にしないと! と、食い下がってみる。


「う~ん……」


 再び考える主人にミルクは、やはり口にすればご主人様もちゃんと考えてくれるんですね、と表情を(ほころ)ばせる。


「その場合は、ここの文明レベルで作り得る自転車とか、それに準ずる物で我慢してもらえば何とかなるんじゃね?」


 だがリュウは、楽観的な物言いのまま妥協案を提示してきた。

 楽観的になったリュウに、自重という思考は働かないのだ。


「あう……分かりました……」


 急ぎたいのは理解できますし、今回に限っては仕方ないですね、とミルクは主人の提案を承諾した。

 心なしかしょんぼりするミルクに、リュウは苦笑いしつつフォローを入れる。


「ミルク、お前の言う事は分かる。けど今はアイスの為に急ぐのが第一だ。 他の事は二の次で頼むよ……」

「はい、ご主人様。ただ少し心配になったものですから、一応ご注意をと思っただけですので……お任せ下さい!」


 ミルクもとっくに気付いていた事ではあるが、リュウがフォローしてくれたという事実が嬉しく、最後には声を弾ませる。


「あの、リュウ様……その、車両……というのは?」


 リーザがリュウとミルクの会話が終わるのを待って、おずおずと聞き慣れない単語について尋ねる。


「えっと、後で見た方が早いですよ。それよりも、リーザさんとリズさんは積荷の事を……あ、ミルク、大体何日分くらいあれば良さそう?」


 車両についてはさらっと流し、積荷の手配を頼もうとしたリュウは、その必要量をミルクに尋ねる。


「そうですね……足りなくなるよりは余る方がマシですね……十五日分も有れば十分かと……」

「「ええっ!?」」


 ミルクの出した答えに驚くリーザとリズが、見事にシンクロして聞き返す。

 通常の三分の一で良いと言われれば、当然の反応と言えよう。


「えっと、今回の旅に馬は使いません。代わりをミルクとココアに作って貰うので、リズさんとリーザさんには十五日分の積荷の手配をお願いします」

「ほ、本当にそれだけで……いえ、分かりました。明日の朝には用意できるかと思います」


 リュウの言葉に困惑するリーザであったが、その目を見てリュウには確信が有るのだと確認するのを止め、時間を惜しむリュウの為に準備が整う頃合いを答えた。


「よし、んじゃ早速準備に取り掛かろう。アイス、部屋で待つか? おくるみで付いて来るか?」

「え、えっと……もしうつったらいけないから、お留守番する……」


 腰掛けていたベッドから立ち上がって、リュウが皆に行動開始を告げる。

 その際に行動を問われたアイスは、少し迷うものの、万が一を考えて居残りを選択した。


「ん、分かった。んじゃお利口さんで待ってろよ、夜には戻るからな~」

「アイス様、私がちょくちょく顔を出しますので、安心して下さい」

「ありがとう、リズ」


 アイスの答えにリュウは頷くといつもの子供扱いをして笑い、リズはアイスを不安にさせまいとフォローを入れ、アイスをベッドに下ろした。


 そうしてリュウとリーザが部屋を出て行き、しばらく残っていたリズも部屋を後にしてしまい、アイスは部屋にポツンと取り残される。


「仕方ないよね……泣かないもん……」


 アイスにとっては広いベッドの上で、枕の下に頭を突っ込むアイス。

 じわりと涙が滲むそばから涙を吸い取ってくれる枕にリュウの匂いを感じながら、アイスはいつしか眠りに落ちていくのだった。










 ささっと昼食を済ませたリーザは、朝の内に事情を話していたガット支部長の下に向かい、リュウの決断を伝えた。


「そうか、魔都に向かわれるのか。それにしても十五日とは……もう驚かんと思っていたのになぁ……」


 やはり、という感じで支部長は頷き、次いでその行程の短さに呆けた表情を覗かせた。


「はい、私もまだ半信半疑です……それで人員なのですが、リュウ様としては出来るだけ人を少なくして、移動の効率を上げたい様です」


 そんな支部長にクスクスと笑うリーザは、支部長に同意しつつリュウの思惑を伝える。


「なるほど……では、このリストは没だな。しかし、風の使い手は必要だろう、夜にでも合流させよう。それと、魔都へ向かうなら町長が支度金を用意してくれる。後で受け取りに行ってくれ。リュウ様だと余計な気を使わせてしまうからな……」


 支部長は手に持つ紙をくしゃっと丸め、一名の増員を告げると支度金の受け取りをリーザに任せる。


「はい、ありがとうございます。では、また出発の目途が立ちましたら、報告に伺います」

「ああ、頼んだ」


 そうしてリーザは支部長室を後にすると、その足で町長の下へ向かった。










 リュウ達はミガルの工房へ出向くと、ミガルの手に余るアウラ鋼の残りを回収し、その他の金属も融通してもらって、廃品置き場へとやって来ていた。


「んじゃ、ミルク、ココア、任せるぞ? 手伝う事が有れば呼んでくれ」

「はい、ご主人様!」

「頑張りまーす!」


 廃品置き場の外れでミルクとココアにそう言うと、リュウは借りて来た二台の荷車をトンテンカンと繋ぎ始めた。


 木製の荷車はかなり頑丈に作られており、縦に並べた荷車の車軸の高さの下の荷台と車輪上部の高さの上の荷台の端の中央に、大きなフックを取り付ける。

 上部の荷台の周りには高さ三十センチ程の柵が有る為、リュウは接合部の柵を取り外し、繋いだ後に行き来出来る様に板を渡した。


 荷車を繋ぎ終えると、リュウは適当な角材をそれぞれの荷車の柵の内側に立てていき、その間を横に渡した角材で繋いでいく。

 その上に平たい板を乗せれば屋根の完成だ。


「う~ん、我ながら何とも不格好だな……」


 リュウはその出来栄えを苦笑いしながら見つめる。


 縦に二台繋げた荷車はともかく、その上に付けた骨組みだけの平らとは言い難い屋根が、適当感満載なのだ。

 不揃いの太さと色の柱に、これまた適当な長さと所々傾いた板屋根。


「せ、せめて屋根の長さだけでも揃えるか……」


 気を取り直して呟くリュウは、右手に人工細胞を集める。

 するとリュウの右手の甲から薄く金属が伸び、一メートル程の剣となった。

 そしてリュウは屋根の軒先となる部分を横から見て、無駄に飛び出た部分目掛けて剣を振るった。


「うおっ! あ、あぶねぇぇぇ……真っ直ぐ振ったつもりなのにな……」


 結構な力を込めて振るった剣は狙い通りの場所に吸い込まれ、抵抗を感じる事無く板を切り裂いた。

 だが左に軌道が逸れた為、四角く切られるはずの板は三角形になり、リュウの踏み込んだ左足の寸前で剣の切っ先が地面を切り裂いて止まっていた。


 もしリュウが軽く剣を振っていたり、ビビッて腰が引けていたなら、切っ先は地面に届かずに左足を切り裂いていたかも知れない。

 剣を振った事など無いなりにも思い切りよく振った事とその剣の長さが、幸いにもリュウの左足を傷付けずに済んだのである。


『ご主人様っ!? どうかなさいましたか!?』

『ご主人様! 大丈夫ですか!?』


 冷や汗をかくリュウに頭の中にミルクとココアの緊張した声が響き、リュウは更に驚く事となった。


「うお!? 何だ急に、びっくりすんだろ……」

『すみません。でも、ご主人様が突然驚かれたので、何か有ったのかと……』


 主人に驚かれて、ミルクは謝ると理由を説明する。


「俺がびっくりしたら気付くのか……監視してる訳?」

『いえっ! 監視じゃありません! ただ、ご主人様に万が一の事態が起こった時に即応出来る様に脳波と心拍数のチェック機構が有りまして、ご主人様が非常に驚かれたりした場合、反応してしまうのです……』


 主人に監視してるのかと聞かれ、ミルクは全力で否定すると、主人の体に施されているチェック機構について説明する。


『あの……ご迷惑だったでしょうか……』

「いや、俺を心配してくれての事だろ? まぁ、先に教えといてくれよな、そういう事はさ」

『はい、今後は気を付けます』


 済まなそうなミルクの声にリュウは理解を示し、ミルクは説明不足を謝した。

 そしてリュウが理解を示した事で、今度はココアがリュウに問う。


『それで、さっきはどうしたんですか? ご主人様……』

「あー、剣を振ったら……自分を斬りそうになった……」

『あらぁ……姉さま、ちょっと行って来てもいい?』


 恥ずかしそうに先の出来事を話すリュウに、呆れた様なココアの声が届く。


『うん、こっちは大丈夫』

『ご主人様、ココアが行きますので、ちょっと待ってて下さい』


 そしてミルクの許可を得て、ココアがリュウの下に飛んできた。


 ココアは主人から話を聞き、三角形に切り飛ばされた板切れを見て、何故失敗したのかを説明しつつ主人の脳内ツールにアクセスする。


「ご主人様、あと剣は手の甲から伸ばさずに掌から伸ばして握れる方が良いです。グリップをちゃんと左手の分も用意すれば、片手で振るより細やかで速く、威力も増します。脳内ツールに剣に関する情報の閲覧と練習モードを用意しましたので、是非使ってみて下さい」


 そしてココアは剣の基本的な出し方と、脳内ツールによる勉強を勧めた。

 普段のココアからは想像し難いてきぱきとした態度に、ちょっとリュウは見惚れてしまった。


「な、何か悪いな、からきしで……ありがとな、ココア」

「ご主人様ぁ、感謝はここにチューがいいですぅ」


 自身の未熟さに顔を赤くしながらリュウがココアに感謝すると、ココアはすっとリュウの顔の前に近寄って、自分の頬を指差してモジモジとキスを要求した。

 普段のココアらしくないモジモジとした姿が実にあざといのだが、今のリュウには効果てきめんであった。


「う……いや、ミルクが知ったら揉めるだろ……」

「ご主人様ぁ、挨拶ですよぉ……それに、今は姉さまも気付きませんよぉ」


 それでもミルクを引き合いに出してリュウが止めておこうとすると、ココアは甘え声でハードルをぐぐっと下げた。


「そ、そうか……んじゃ、サンキューな……」


 そこまでされてはリュウも断り切れず、ぎこちなくココアの頬に唇を触れる。


「うふふ……では、ご主人様! ココアは作業に戻りますぅ!」


 するとココアは満面の笑みで、元気よくミルクの下へ飛び去って行った。

 その嬉しそうな姿に、リュウも自然と笑顔にさせられるのであった。










 ココアが去ると、リュウは早速ココアが用意してくれた剣に関する情報を開いてみる。

 すると脳内ツールがミルクとココアの共有データベースにアクセスし、リュウは膨大な情報を目の当たりにする。

 その情報の触りの部分に目を通し、どんな情報が有るのか把握したリュウは、暇な時に見ようと一旦閉じて、練習モードを起動してみる。


 練習モードを起動すると使用する剣の一覧が表示され、リュウは適当に剣を選んでみる。

 次に選択した剣での型のリストが表示され、その一つを選んでみた。


「お!? おお! これ、すげえ!」


 するとリュウの全身の人工細胞が練習モードと連動し、リュウの体が勝手に動き始めたのだ。

 選んだ型の動きを忠実にトレースするそれは、リュウの感覚を阻害する事は無く、繰り返し動作する事でリュウの体に動きを覚えさせるのである。

 手取り足取り覚えさせるというのが有るが、これはその究極とも言えるものなのである。


 幾つかの型を試す内に、リュウの体はじっとりと汗ばんでいた。

 リュウは練習モードを終了させると一息吐いて、体が覚えている内に先程失敗した屋根板に剣を走らせる。

 すると今度は見事に板を切り飛ばし、振り下ろされた剣も危なげなくピタリと止める事が出来た。


 これに気を良くしたリュウは残りの不揃いの板も全て切り落とし、最初より随分とマシな屋根にする事が出来たのであった。










 リュウが荷車をある程度形にして廃品置き場の裏手で休憩していると、廃品置き場の中から静かに四輪の物体が姿を現した。

 それは直径八十センチ、長さ二メートル五十センチの円柱を横に倒したボディに直径一メートル、幅二十センチの前輪と、直径一メートル二十センチ、幅三十センチの後輪を持ち、後部に五十センチ四方の四角い箱を乗せた様な形状をしていた。


「お? 完成した……のか? なんじゃこりゃ……丸ぅ……タイヤでかっ!」

「はい、完成ですぅ!」

「一応、形と機能は出来ましたが、タンクに水が必要です……」


 リュウはそんな空気抵抗を無視したデザインの車両に近付くと、面白そうに周囲を回ってはしゃいぎ、ココアが明るい声で応じつつ、主人の首元に潜り込む。

 ミルクはそんなココアにジト目を向けつつ、一応の完成を告げると、水の必要性を訴える。


「水? 水で動くのか?」

「いえ、動力は電気です。ただ、今のままだと車両が軽すぎるのです。そこで重量の確保やモーターの冷却、飲料、炊事用などに水が必要なのです……」


 水の用途が分からないリュウに、ミルクはその用途と理由を説明する。

 円柱のボディの中身はほとんどが空洞で、1キロリットル強の貯水が可能であり、その重量を以って車体を安定させ、荷車を牽引するのだ。


「軽っ!? マジか……んじゃ、水を入れに……あ、運転席は?」


 試しに車両に手を掛けて持ち上げてみると、前輪が軽々と浮き上がり、リュウは驚きつつ、水の必要性を理解する。

 そして車両を移動させようとして、ようやく運転席が無い事に気付く。


「え、必要ですか? 操作ならご主人様でも接続してツールからアクセスできますよ? それに普段はミルク達が操作しますので……」


 自分達はもちろん、主人も脳内ツールでの操作が可能だった為、ミルクは運転席の必要を感じていなかった。


「あー、いや、そうじゃないんだよな……自分で運転するのが良いんだよ……」

「あう……そうなんですか、でももう材料が足りないですぅ……」

「なら、仕方ないな……水入れに行くか!」


 だが運転自体をしたくとも材料が残っておらず、リュウは仕方なくハンターギルドの裏手へと、ミルクの操作する車両と共に向かうのだった。

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