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星を巡る竜  作者: 夢想紬
第二章
47/227

19 異変

 リュウ達が部屋に戻ると、アイスは先程と変わらず部屋の隅でシーツにくるまって眠っていた。

 アイスをベッドに運ぼうかと迷うリュウであったが、折角心地良く眠っているのに起こしてしまうかも、とミルクに言われてそのままにする事にした。


「何か、アイスが居ないと落ち着かないなぁ……」


 ベッドに寝転び、左腕にアイスの重みが無い事を不満げに呟くリュウ。


「仕方ありませんよぉ、今夜だけですって……はうっ……」


 主人の胸の上で寝転んだまま(なだ)めるミルクは、手持ち無沙汰な主人の左手に不意に体を覆われる様に包まれ、思わず硬直してしまう。


「んじゃ、代わりにミルクが抱っこされてろ~」

「は……はい……」


 のんびりとした主人の言葉に、身じろぎ一つ出来ずに何とか返事をするミルクの顔は、当然の様にみるみる真っ赤に染まって行く。


「いいなぁ、ご主人様ぁ、ココアも抱っこして欲しいですぅ……」

「ん、はいよ~」

「んふふ~」


 それを羨むココアも、主人の右手に包まれると、満足そうに笑みを浮かべる。

 やがてリュウが寝息を立て始め、ココアもすやすやとスリープモードへと移行するが、ミルクは未だ身じろぎ一つできずに、(やかま)しく耳に響く鼓動と格闘していた。


《あうう……全然眠れません……どうしてミルクの鼓動は静まらないのでしょう……うつ伏せなのがいけないのでしょうか……はうっ、ご、ご主人様の指がお尻にぃ……抱っこされて嬉しいはずなのに、こんなに恥ずかしいなんて……どうしてココアは眠れるのぉ……お願い、静まってぇ……》


 結局、ミルクはスリープモードに一度も移行できぬまま、朝を迎える羽目になるのだった。










 翌朝、窓から差し込む光の中、清々しく目覚めたリュウ。


「なんか良く寝たなぁ、スッキリだわ……おはよ、ミルク、ココア」

「お早うございます、ご主人様ぁ!」

「はぁ……お早うございます……ご主人様……」


 普段目覚めても大抵ぼーっとしているリュウは、珍しく頭がスッキリしている事に軽く驚きつつ、ミルクとココアに声を掛ける。

 元気よく挨拶を返すココアの横では、ようやく主人の手から解放されたミルクが、ため息混じりに挨拶を返す。

 心を持ってしまったが故に、心が落ち着ける状態になって一安心している訳だが、リュウにはまるで寝不足の様に見えた。 


「なんだミルク、寝不足か?」

「へ? いえ、ミルクは寝不足になんてなりませんよ……」

「そういや、そうだな……」


 自分には有り得ない質問をされ、ミルクは一瞬きょとんとし、次いで主人に対してジト目になる。

 心さえ平穏ならば、AIらしく疲れる事無く、ずっと起きていられるからだ。

 そんなミルクのジト目に気付かず、リュウは納得しつつ部屋の隅に目をやる。

 そこにはアイスが、シーツを頭からかぶって団子の様になっていた。


「アイス~、おはよ~。起きてるか~?」


 ミルクとココアをベッドに残し、リュウはアイスの下に向かった。

 ベッドの上ではココアがミルクに近寄って声を掛ける。


「姉さま、眠らなかったの?」

「違うの、眠れなかったの……」


 ココアの率直な疑問に、ミルクが少しふくれっ面で答える。


「ふぅぅ~ん……」

「な、何よぉ……」


 ピンと来たココアの嬉しそうな様子に、ミルクはジト目を向けるが既に顔が赤い。


「姉さま――」


 ココアがミルクの眠れなかった原因を追究しようとした時だった――


「来ないでっ!」


 部屋に響いたアイスの切羽詰まった声に、リュウはビクッと立ち止まり、ミルクとココアもビクッと声の方を向いた。


「び、びっくりするだろ、アイス! 何だよ突然……」

「ご、ごめん……でも、来ないで……」


 驚いたリュウがその訳を聞こうとするが、アイスは謝るだけでシーツを被ったまま動こうとしない。


「なんだよ、マジで具合でも悪いのか?」


 訝しむリュウは、何をこいつは駄々こねてるんだ、とシーツに手を掛ける。


「ヤダよ……ヤダヤダ!」


 対するアイスは、小さな手で懸命にシーツを掴んで放さない。


「一体どうしたってんだよ……ッ!?」

「あっ!」


 だが、アイスの小さな手はリュウの力に敵わず、シーツが取り払われる。


「どうしたんだよ、これ!?」


 出て来たアイスを見て思わず叫ぶリュウ。


「う……う……うわあああああん……」


 途端にわんわん泣き出すアイス。

 その黒く小さな体は、あちこちが白くまだらに変色していた。










「「アイス様!」」


 ベッドの上でリュウとアイスのやり取りを不安そうに見ていたミルクとココアが、瞬時に翼を展開してアイスの下へ飛翔する。


「アイス、泣いてちゃ分かんないだろ? ほら、泣き止んで話してみろって」


 泣きだしたアイスにリュウが優しく声を掛けるが、アイスの号泣は止まらない。

 仕方なくリュウはアイスを撫でて宥めようとするが、アイスはビクッと身を震わすと、リュウの手から逃げる様に泣きながら距離を取った。


「アイス……」

「うわああああん……さわっちゃ……ひっく……だめぇぇ……ああああん……」

「アイス様……」


 困り顔のリュウに、アイスは泣きながらもようやく言葉を発した。

 止め処なく流れる涙に、ミルクとココアもどう対処すべきかに困り、おろおろするばかりだ。


「それ、痛いのか? ちゃんと話してくれないと分かんないぞ?」

「わかんな……いぃぃ……うつったらぁぁ……ヤダぁぁぁ……」


 リュウは困りながらも、アイスに話し掛ける。

 アイスも泣きながら、頑張って言葉を紡ぐ。

 それによって、アイスが病気がうつる事を気にしているのだと分かったリュウは、お構いなしにアイスに手を伸ばした。


「んな事、心配すんなって。ほれ、大丈夫だって!」


 リュウはアイスをいつもの様に左手で抱っこすると、アイスも観念したのかベストを掴んでわんわん泣いた。

 当分アイスが泣き止みそうもないと思ったリュウは、ベッドに腰掛けるとアイスを落ち着かせようと背中をさすったり、トントンと軽く叩いてやるのだった。










 しばらくして泣き疲れたのか、アイスがひっくひっくと泣きじゃくる様になると、リュウは背中を撫でるのを止め、アイスに優しく話し掛ける。


「なぁ、アイス……いつからこうなったんだ? 昨日からか?」

「っく……え、えっとね――」


 しゃくり上げるアイスの話にじっと耳を傾け、時折質問を挟んで分かった事。

 それは二日前の昼間、支部長室で右肘に白いシミが有るのを発見し、夜にはそれが少し大きくなり、昨夜は右肘全体に広がっていたという事だ。

 痛みは無いが両親からも聞いたことは無く、病気の可能性を疑ったものの、怖くて誰にも言えずに不安に怯えていたのだ。


「怖かったのは分かるけどさ、言っててくれたらこんなに泣かずに済んだんだぞ? それに、病気だったら誰か対処法を知ってる人が居たかも知れないしさ?」

「ごめんなさい……」


 リュウに優しく諭されて、素直に謝るアイス。

 グスグスしてはいるが、もう泣いているという程ではない。


「これからは些細な事でも、ちゃんと勇気を出して言うんだぞ?」

「うん……」


 リュウの言葉を噛みしめる様にアイスは頷くと、リュウの胸に顔を埋めた。

 落ち着きを見せたアイスの様子に、ミルクとココアもホッと胸を撫で下ろす。

 と、その時「ぐぅぅぅぅ」という大きな腹の虫が鳴って「わぁぁぁっ!?」という慌てるアイスの声が部屋に響いた。


「ぶはははは、何だよアイス! 締まらねえなぁ~」

「なっ、なんでこんな時にぃぃぃ!? うあああああん!」


 思わず噴き出すリュウに、取り繕い様もなく慌てふためくアイス。

 ミルクは笑ってはいけない、と肩を震わせ耐えているが、ココアには耐えられず、せめて声が漏れない様にと四つん這いになり、顔をベッドに押し付けてビクンビクンしている。


 その時、部屋の扉がノックされ、ビクッと怯えたアイスがリュウのベストをぎゅっと掴んだ。


「ッ! ミルク、ココア、シーツ取ってくれ!」


 リュウは咄嗟にアイスを自分の体で扉から見えない様に隠すと、ミルクとココアに指示を出す。


「は、はい!」

「はひっ!」


 素早く対処するミルクとココア。

 笑いが収まっていないココアの返事がおかしいのはご愛嬌だ。


 シーツを受け取って素早くアイスを包みながら、リュウはノックに応答する。

 そうして入って来たのは、すっかり慣れ親しんだリズであった。










「アイス様、たくさん食べて下さいね? すぐに良くなりますよ!」

「う、うん……ありがとう、リズぅ……」


 部屋ではリズの明るい声にシーツでおくるみされたアイスが弱々しく答えながら、椅子に腰掛ける彼女の膝の上でテーブルの上の果物に手を伸ばしている。

 リズはリュウから説明を受けた後、アイスの状態を見て驚き悲しんだのも束の間、そんな姿で食堂に行くのは辛いだろう、と食事を取って来てくれたのだった。


「済みません、リズさん。助かります――」

「いえ、いいんです。 私が好きでやっている事ですから……」


 テーブルの向かいから感謝を告げるリュウに、リズは感謝は不要と微笑んだ。

 その後の言葉が出てこないリュウは、今度は果物を手に取るアイスに話し掛ける。


「アイス、果物ばっか食べてっから、白くなったんじゃねーの?」

「そ、そんな事ないよぅ……ちゃんとお肉もお野菜も食べてるもん……ね?」


 果物を食べかけていたアイスはその手を止めてリュウに答えると、リズを見上げて同意を求める。

 

「はい! アイス様は好き嫌いも少なくて、ご立派ですよ?」

「そっかぁ、んじゃ食事のせいじゃないのか……う~ん……」


 下からつぶらな瞳に見上げられ、満面の笑みで同意するリズは、リュウに偽りなく答えた。

 リュウは素直に納得すると、他に心当たりが無いか思い出そうとする。


「リュウ様、何か分かれば姉さんが来てくれます。それよりどうぞリュウ様も朝食になさって下さい」

「ふぅ……んじゃ、そうさせてもらいますか。ミルクとココアはここに残ってやってくれ」

「はい、ご主人様」

「分かりましたぁ」


 そわそわするリュウはリズに落ち着いた声で食事を促されると、ミルクとココアに部屋に残る様に言って食堂へ向かった。


「リュウに付いて行かなくて良かったの?」


 果物を食べる手を止めて、アイスがテーブルの上の小さなテーブルセットに座る、ミルクとココアに声を掛ける。


「大丈夫ですよ、アイス様。マスターコアはご主人様と一緒ですから」

「ああ、そうだったね。いつもそうしてるから、つい忘れちゃう……」


 ミルクがそう言って微笑むと、アイスもミルク達から聞いた説明を思い出して納得したのか、再び果物を食べ始めた。

 だが、その会話がよく分からなかったのがリズだ。


「あの、どういう事でしょう?」

「ん~と、ココア達の魂はご主人様の中に有る……という事になるかな……」

「はあ……」


 リズの問いにココアが簡単に説明するが、だからと言ってリュウに何か有れば、ここに居ては困るのでは、とリズは今一つ納得できない様子だ。

 なので今度は、ミルクが具体的に説明を始める。


「えっと、ミルク達がご主人様の中から現れたり、ご主人様の中に消えたりするのはリズさんも知ってますよね?」

「ええ、はい……」

「それはご主人様の中にあるミルク達の魂が、生きている金属に人の形を与えているからなんです。だからもしも今、ご主人様がミルク達を必要とすれば、今こうしているミルクはただの金属になって、ご主人様の中から他の金属を使って姿を現す訳です」

「ええっ!? ミ、ミルク様が金属に!?」

「は、はい……」


 驚くリズの様子にミルクは何かおかしな事言ったかしら、と困惑するが、ココアが二人の認識のズレに気付く。


「ああ、リズはココア達を金属を操れる妖精と思ってた訳ね? ココア達は金属が魂を得て妖精になった、と言った方がいいのかもね……」

「そ、そういう事ですか……言われてみれば、以前よりもお姿がはっきりしている様な……え、でも……そのお体が金属!? そんなに柔らかいのに!?」


 ココアの説明でようやくリズも何となく理解できた様であるが、今度は別の驚きに飲み込まれている。


「あ~、金属って細かく削っても、硬くてキラキラしてるイメージだものねぇ」

「一粒が目に見えないくらい小さいんですよ……」

「因みにこの服も全部金属だからね?」

「はあ……これが全部……ア、アイス様はご存知だったんですか?」


 驚きのあまり、耳に入って来るミルクとココアの言葉を理解するのに時間を要するリズの表情はぽかーんとしたままだ。

 そしてハッと我に返ると、幼いアイスも知っていたのか、と尋ねてみる。


「うん、よくは分かんないけど。でも、ミルクはミルク、ココアはココア、リズはリズ。みーんなアイスの大切な人達だよ!」

「ア、アイス様ぁぁぁ!」

「わぷぅっ! リ、リズぅ、苦しいよぉ!」

「す、済みませんっ! つい……」


 アイスの無邪気な言葉に、ミルクは静かに頭を下げ、ココアは満面の笑みを返し、リズは感動の叫びと共にアイスを抱きしめ、抗議されて慌てて解放する。

 恒例になりつつあるアイスとリズのやり取りを微笑ましく見つめるミルク達だが、ココアがアイスに問い掛ける。


「アイス様、ご主人様が抜けてますけど?」

「うーんとね、リュウは初めての友達で大切なんだけど……それよりも大好き……かな!」

「あー! ですよねー!」


 アイスが少し照れた様に答えると、ココアはそうでした、と言わんばかりに明るい声で応じるのだが、アイスはしゅんと俯いてしまった。


「でも……こんなのじゃ、リュウも嫌だよね……」

「そ、そんな事ありませんっ! ご主人様はいつだって、アイス様を大切に思ってますよ!」


 アイスの再び泣き出しそうな声に、ココアは慌てて否定し元気付ける。


「ココアの言う通りですよ、アイス様。さっきもずっと抱っこしてくれてたじゃないですか……」

「うん……うん……でも、またリュウに迷惑掛けちゃう……う……う……」


 ココアに続くミルクも優しくフォローを入れ、アイスは泣くのを堪えてコクコクと頷いたが、それが限界だった。

 命懸けで助けてくれたリュウに、今度は病気になって迷惑を掛けてしまう、それがアイスにはどうしようもなく悲しかったのだ。


「アイス様、大丈夫です。きっと良くなりますっ! アイス様が泣いていると、それこそリュウ様が困ってしまいますよ?」

「うん……うん……」


 もらい泣きしつつもアイスを抱きしめて励ますリズに、アイスも応えようと頷いて嗚咽を噛み殺す。

 しばらくしてアイスが落ち着きを取り戻すと、ミルク達はリュウが戻るまでの間、アイスの気を紛らわせるべく色々な話をするのであった。

 だがその時間は思いの外長く、リーザを伴ったリュウが部屋に戻って来たのは昼前の事だった。










「遅いよ、リュウ~!」

「すまんすまん。下でリーザさんと会って、話し込んじまったんだ」


 帰りの遅いリュウに口数が減っていたアイスだったが、リュウの顔を見て安心し、心に余裕が出来たのか不満の声を上げた。

 リュウは謝りながら身振りでリーザに椅子を勧めると、ベッドにどかっと腰掛ける。

 そうしてリーザが着席してアイス達に挨拶し終えると、リュウは早速話し始める。


「まず、アイスの体が白くまだらになっちまった事だが――」

「リュウ様っ! い、今ここでお話しされるおつもりなんですの!?」


 リュウが話し始めると、慌ててリーザが非難めいた口を挟んだ。

 その様子にミルク達が緊張し、アイスは不安でリズの手をぎゅっと握った。


「心配しても仕方ないですよ、リーザさん。ずっと黙ってるって訳にもいかないし、アイスも聞かないよりは聞いた方が、余計な不安を抱えずに済みますよ……」

「でも、あまりに急では……」

「なーに、アイスは泣き虫だけど、結構強い子ですよ。な? アイス?」


 だがリュウは話すなら早い方が良い、と話す事への意義を説く。

 それでも不安そうなリーザにリュウは明るい声でアイスの事を評し、アイス自身にも振ってみる。


「な、泣き虫じゃないもん! さっきはちょっと泣いちゃっただけだもん!」

「そうだよな~! さすがはチビドラだ!」

「へ、変な名前で呼ばないで! もう……」

「んじゃ話すけど、泣くなら泣いていいぞ。ただし、今日だけな? 明日以降に泣いたら、ご飯抜きだからな~!」

「な、泣かないもん!」


 話を振られたアイスは泣き虫と言われたのが恥ずかしかったのか、憤慨した口調で強がって見せ、リュウはそんなアイスにニンマリと微笑む。


「よしよし、んじゃ話すぞ。リーザさんが色々聞いて回ってくれた話によると、魔獣の中にアイスとよく似た症状の個体が、稀に発見されるそうだ」


 リュウが話し始めると、誰もが真剣に耳を傾ける。


「その病気は『白染病』と言って、魔力が暴走を起こした結果とか色々言われているらしいけど、詳しい事は分かっていない。で、その症状なんだが、どんどん体が白くなって衰弱していき、最後には死んでしまうそうだ……」


 そこで一旦、リュウは話を切った。

 既に知っているリーザは俯いているが、他の皆は目を見開いたり、口元に手を当てたり、と驚きを露わにしている。

 そして当事者のアイスは、キュッと口を閉じてリュウを睨んでいた。

 そうしなければ、涙が零れてしまいそうだったから。


「けれどこれは、あくまでも魔獣の話だ。アイスがこの病気と決まった訳じゃない。けど、万が一を思うと不安だろ? だから、この病気にもっと詳しいと思われる所へ行ってみようと思う……」

「あ、あの、行くってまさか……」


 リュウはアイスに優しく言い聞かせる様に話す。

 だがアイスが何か言うより先に、アイスを抱いたリズから呟く様な声が漏れた。

 リズはリュウの言わんとする所に見当が付いたのだ。

 と言うよりは、そこしか考えられなかった、と言うべきか。

 ただ、そこは魔人族の自分ですら気軽に行ける場所では無かった。


「魔都です」


 リュウが短く答えたのは、リズの想像通り、数十万人の魔人族が暮らす魔王直轄の都であった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] より一層面白くなって来ましたね。 ヴォルフ戦から話があった魔都ですか。 アイスが進化? する兆しなのか、或いは本当に病気なのか、この先の展開が楽しみになる終わり方ですね。
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