16 深まる交流
夕食時の食堂は大賑わいとなった。
ヴォルフを一人で撃退したリュウに報酬以外にも何かできないか、と考えていたクロウ町長の下に、星巡竜様と話せる様になったというハンター達の報告が届き、町長が急遽夕食会を企画したのだ。
とは言え、食堂のテーブルには限りがあり、大半の者が周りで立食となったが。
アイスを抱いたリズの横の席にリュウが着くと、テーブルの上にプレゼントされたばかりのワンピース姿でミルクが自分達用のテーブルセットを作り出すが、ココアの姿が無い。
「ミルク様、今夜はまた一段と可憐なお姿ですなぁ。ですが、ココア様はいらっしゃらないのですか?」
「い、いえ……居るんですが……」
顔を綻ばせてミルクを褒めるクロウ町長が姿の見えないココアの事を尋ねると、ミルクは照れながら言い難そうに主人を見る。
「ほれ、ココア出てこいって……」
「どうして、こんな時に限って人が大勢居るんですかぁぁぁ!」
ミルクの視線に苦笑いしながらココアを呼ぶリュウだが、ココアは拗ねた声がするのみでやはり姿が見えない。
「ちょっと待ってくださいね……じっとしろって! いてて、引っ掻くな!」
リュウが心配そうな表情の魔人族の面々に断りながら、ベストの内側に手を入れる。
そうして抜き出した手には、指で首をつままれてぶら下がる、シュンとした様子の小さなヴォルフが。
「ほれ、お座り!」
リュウがそう言ってヴォルフをテーブルに下ろすと、小さなヴォルフは項垂れたまま、ちょこんとお座りした。
その隣では「はう……やっぱり可愛い……」とミルクがプルプルしている。
「こ、これは……ヴォルフ……ですか?」
あまりに小さいヴォルフに、困惑する町長。
困惑しているのは後ろ足の形状のおかしさかも知れないが。
横に座る副町長や支部長、周りのハンター達も驚いた様にヴォルフを見ている。
魔人族に着ぐるみなどという物は無いのだ。
「これはヴォルフ撃退記念特別バージョンの……」
言いながらリュウはヴォルフの頭を指でつまみ、カパリと口を大きく開く。
「ココアですぅぅぅ……」
開かれた口から覗くのは、ぷくっと頬を膨らませるココアの顔。
「ココア様ぁ!? なんと……」
「おお……なんと可愛いお姿か……」
「わあ! ココアがヴォルフになってるぅ!」
ココアが拗ねているにも関わらずコレット副町長が嬉しそうな声を上げ、クロウ町長とアイスがそれに続く。
周りの皆もその姿を見て、一様に笑顔を見せる。
『うう……酷いですぅ……こんなのココアじゃないですぅ……』
『ほら、拗ねるな。ちゃんとしないとプレゼント無しだぞ?』
『あうう……分かりましたよぉ……』
一人ブーたれるココアだが、主人の殺し文句に渋々ながら従う事にした様だ。
そうする内にしばらくざわついていた空気も収まり、町長の乾杯の音頭で夕食会が幕を開ける。
『ご主人様ぁ……』
『なんだ? また文句かぁ?』
喉を潤しながら、さて何から食べるか、と思っていたリュウにココアの悲しそうな脳内会話が届き、リュウはやれやれと思いながらも応答する。
『コップが……持てません……』
「げほっ……ミ、ミルク、ココアにストロー用意してやってくれ……」
「は、はい、ご主人様! ごめんねココア、気付かなくて……」
カツカツとコップをヴォルフの爪で引っ掻くココアに、思わずお茶にむせるリュウが慌ててミルクにストローを用意させる。
さすがにリュウも落ち込むココアが気の毒になり、ココアの前に右手の平を置いて周りに見えない様にモニターを起動する。
「ご主人様、モニターまで使えるんですか!?」
「ヴィジュアルプログラム触ってたら慣れた。こっちの方が楽だぞ?」
ミルクが驚くが、リュウの言葉になるほど、と納得する。
手の平に映し出されるのは、つるっとした顔の無いマネキンだ。
『ココア、これ着てみたい?』
そう言ってリュウがマネキンに衣装のデータを重ねると、マネキンは大胆なカットのボディスーツに、太ももまでのブーツ、二の腕まであるグローブ、背中には蝙蝠の羽という小悪魔チックな衣装を纏っていた。
『き、着たいですっ!』
リュウの思惑通り、ココアは衣装に食いついた。
『そかそか。んじゃ、必ず用意してやっから、今はヴォルフ頑張れよ?』
『はい! ココア、ヴォルフ頑張ります!』
『反省はどこ行っちゃったんでしょう?』
『う……』
ココアのテンションを急上昇させる事に成功し、やれやれと胸を撫で下ろすリュウであったが、ミルクに本来の趣旨を問われると言葉に詰まった。
だがミルクがクスクスと笑うのを見て、まぁいいか、とリュウはそのまま流す事にするのだった。
「ほう……そんな事が有ったのですか……」
「なのにリュウは死にそうになっても全然諦めないんです!」
町長達にアイスはリュウとのこれまでの事を話していた。
町長達はその話を真剣に、時には驚きながら聞いていたが、隣に居るリュウは赤い顔で非常に居心地が悪そうにしている。
「どうやらリュウ殿は私が思う以上に凄い方の様だ……」
「いえいえいえ! おい、アイス! 恥ずかしいからもうよせって……」
「だって、ほんとの事だもん……」
クロウ町長を筆頭に皆から感嘆の眼差しを向けられて、リュウがわたわたと両手を振ってアイスを止めようとするが、アイスは何がダメなの? と言いたげな顔だ。
「それを言うなら、ミルクとココアを褒めてやれよ。俺だって二人が居たから頑張れたんだからさ……」
「いえ! それならば、アイス様が居なければミルクは存在してませんから!」
「ココアが存在できるのも、ご主人様のお蔭です!」
なのでリュウは、矛先を変えようとミルクとココアを引き合いに出すが、ミルクとココアも主人に似て、さっと矛先を変えてしまう。
「はっはっは。皆さん素晴らしい仲なんですなぁ。そんな方達と知り合えて、我々は実に幸運ですな!」
「いや、本当に。連れて来てくれたリズに感謝だな!」
「いえ、私もリュウ様に救われた身ですから……」
コレット副町長が仲良く言い合うリュウ達に微笑みながら場を纏めようとするが、続くガット支部長の言葉で今度はリズが赤面する羽目になった。
だが、アイスの言葉がリズに集まる視線を自身に向けさせる。
「ア、アイスは魔人族の皆さんにも感謝です! えっと、リュウを助けてくれて、優しくしてくれて、えっと、住む所を与えてくれて、それから、えっと、ア、アイスは大人になったら、ご恩を返したいと思います!」
アイスは大勢の視線が集まる緊張の中、一生懸命言葉を紡いだ。
アイスが力強く言葉を紡ぎ終えるとその場がしんと静まり、次いで割れんばかりの拍手がアイスに注がれた。
「ありがとうございます、アイス様。そのお言葉だけで十分です。私達は見返りを求めてあなた方を迎え入れたのではありません。なのに、私達は既に危機を救って頂きました。ですから恩返しなどお考えにならず、どうぞご両親と再会できる事をお考え下さい」
クロウ町長はそう言ってアイスに頭を下げると、穏やかな表情で皆に聞こえる様に話す。
その言葉に、周りの皆も笑顔でうんうん、と頷いている。
「少々湿っぽくなってしまいましたな、さぁ、楽しくやりましょう! 料理と酒を追加で頼むぞ!」
周りから歓声が上がり、夕食会は宴会の様相を呈していく。
リュウも断り切れず酒を飲み始め、ミルクが周囲に対応しながらせっせとアルコールを分解している。
ココアはヴォルフの口を閉じ、角の間に「チチチ」と電子ライターの様なスパークを飛ばしたり、後ろ足で首を掻いたり、とヴォルフに成り切って周囲の喝采を浴びている。
そんな中、アイスはリズの膝の上で果物を幸せそうにつまんでいたが、ふと果物に伸ばす自身の腕に目がいった。
それは昼間発見した白いシミだが、それが大きくなっているのに気が付いたのだ。
少し気にしていたアイスだったが、やがて周りの者と話すうちにその存在を忘れてしまうのだった。
「ふい~、今回は酔っぱらわなかったぞ……ひっく……」
「ミルクがずっと分解してるんですよ? でもあんなに飲まれたら、分解が追い付きませんよぉ!」
宴が終わり、部屋に戻って来たリュウは、ベッドにごろんと横になって深く息を吐いた。
酔ってないと言っているだけで、しっかり酔っている。
そして今も尚、せっせとリュウの摂取したアルコールを分解させているミルクは、口調の割にその表情はニマニマしていた。
何故ならリュウの腹の上で、もふもふのココアに抱きついているからだ。
「でも、ほんとによく出来てるねぇ! ココア、お手!」
リュウの脇に居るアイスがヴォルフの着ぐるみをまじまじと見つめ、その出来栄えを褒めつつ手を差し出すと、ヴォルフはシュタッとお手をする。
ココアは完全にヴォルフに成り切っている様だ。
「わぁ……ココア、ミルクにもお手して! お手!」
その様子にミルクも目をキラキラさせて手を差し出すが、ヴォルフは首だけミルクに向けると、後ろ足で首をわしゃわしゃと掻きだした。
「むぅ……ココアの意地悪ぅ……」
「うはは、すげえなココア! よく足が首に届くな、完全にヴォルフだな!」
お手をしてくれないココアにミルクがぷくっと頬を膨らませるが、リュウはココアの体の柔らかさと、その成り切りっぷりに大満足の様子だ。
主人の反応に、ヴォルフは尻尾をぶんぶんと左右に振っている。
尻尾も人工細胞で操っている芸の細かいココアである。
主人の反応に気を良くしたココアは、ふんふんと何かの匂いを嗅ぐ仕草をしながら女の子座りするミルクに近付くと、その鼻先をミルクの膝に擦り付ける。
「可愛いすぎるぅ……ッ! きゃー! ココアー! こらー!」
近寄ったヴォルフの頭をニマニマと撫でるミルクだったが、突然鼻先をスカートの中にねじ込まれ、慌てて鼻先をスカートの上から押さえ後ずさる。
「ぐるるる~」
パッとミルクから離れ、攻撃態勢をとるヴォルフ。
「ココアのエッチ!」
ミルクは顔を真っ赤にしながらヴォルフに飛びつこうとするが、寸前でヴォルフはさっと二本足で立ち上がり、後方に回避した。
「きゃあ!」
そのせいでミルクはバランスを崩して転んでしまい、その短いピンクのスカートが盛大にめくれてしまった。
「ッ!」
咄嗟にスカートを戻すミルクが、真後ろの主人へと音を立てる勢いで振り返る。
そこにはニンマリと口元を歪めるリュウ。
「み、見ましたかっ!? 見えてないですよねっ!?」
火が出る程の赤い顔で、詰問口調になるミルク。
対するリュウは、のんびりした声で答える。
「見てないぞ……やけに小さい白いパンツなんか……」
「うわああああああん! 嘘ですぅ! 嘘だと言って下さいぃぃぃ!」
突っ伏して叫ぶミルク。
ミルクの羞恥心がメーターを振り切ってしまったのだ。
「んじゃ、嘘だ。俺は見た! ミルクの勝負パンツをなー!」
「違っ! そうじゃなくてっ! う……コ、ココアのせいでぇぇぇ!」
なのでリュウが素直に嘘だと認めて嬉しそうに白状すると、ミルクはぶんぶんと首を振って真っ赤な顔をココアに向けた。
対するココアはやれやれというポーズを取った後、自分でカパッとヴォルフの口を開き、困った顔を覗かせる。
「姉さまが、自分で転んだんじゃないですかぁ……」
「ココアが避けるからでしょ!」
「飛び掛かられたら、そりゃ避けますよぉ! 危ないじゃないですかぁ!」
「仕掛けて来たのはココアでしょ!」
姉妹喧嘩になりそうな勢いの言い合いは、しかし突如終わりを迎える事となる。
「そんなに俺に見られるの嫌だったのかぁ……」
団子にしていた枕に頭を乗せ、お腹の上のミルク達を見ていたリュウが枕を直すと頭を下げ、天井を見つめてしょんぼりした声で呟いたからだ。
「えっ……あの、ご主人様……」
その呟きで振り向くミルクの真っ赤な顔は、主人の落胆する様子に急速に色褪せていく。
優秀な頭脳が、主人のテンションを下げた原因が自分の態度にある、と即座に判断したからだ。
「ミルクぅ……お尻見られるの嫌なの?」
「え!? あ……う……そ、それ……は……」
そこへ横からアイスに素朴な疑問をぶつけられ、ミルクの頭脳はフル回転した。
嫌だと答えれば、この場の空気が壊滅してしまうのは明白。
だが嫌じゃないと答えると、見られる事を容認してしまうのではないか、ましてやまだ子供のアイスに嫌じゃないと言ってしまってもいいものか……とミルクは言葉に窮してしまったのだ。
「リュウは……お尻が好きなのに……」
「は、恥ずかしかっただけなんですっ! ぜ、全然嫌じゃないんですっ!」
だがアイスの悲しそうな呟きを聞いてしまえば、答えを選んでいる場合じゃない! とミルクは慌てて即答する。
主人を落ち込ませ、創造主とも言えるアイスまで悲しませるなど、ミルクには耐えられなかったのだ。
その時リュウは、アイスの発言に「何言い出すんだこいつ!?」と、首をもたげてその様子を見始めた。
「姉さま、『嫌じゃない』だなんて言い方はダメだと思いますぅ……」
「え!? じゃ、じゃあ、何て言えば……」
ココアのダメ出しに、おろおろと尋ねるミルク。
「恥ずかしいけど、見られるのは全然オッケーです! とか、むしろ見て欲しいです! くらい言わないと……」
「そっ、そこまでは幾ら何でも……」
ココアの発言にそれは自分の願望でしょ! と言いたいミルクであるが、アイスの手前、対応は控え目だ。
「ココアやリズは見て欲しそうだよぉ? ミルクは違うの?」
「そ、それはちょっと……はしたない……かな? な~んて……」
そして子供であるが故に慎重を期さねばならない創造主様の純粋な疑問に、顔色を伺いながら恐る恐る自身の意見を可愛らしく言ってみるミルク。
「ふーん……」
アイスの短い返答に、今のはどういう意味なんでしょう!? 分かって頂けたんでしょうか!? と、おろおろするミルクだが、ココアはストレートに尋ねる。
「アイス様はどう思われますかぁ?」
「んーとね、リュウが喜んでくれるのがいい!」
「ですよねー!」
アイスの屈託のない声に、満面の笑みで同意するココア。
ミルクの頬は盛大に引き攣った。
「姉さま、一発でご主人様のご機嫌を直す方法を教えてあげます!」
「あ……う……」
胸を張るココアに言い寄られ、言葉に詰まるミルク。
話の流れを考えれば素直に受け入れられる訳がないのだ。
「もう! あーも、うーも無し! 恥ずかしがるのも禁止!」
「む、無茶言わないで……」
そんなミルクを叱咤するココアだが、ミルクは何をさせられるのか、と気が気ではない。
なのでココアは、奥の手を使う。
「姉さま……『ミルクの大好き』ファイルの中身の方がよっぽど――」
「ッ! お、教えてココア!」
さすが奥の手、効果は抜群である。
「教えて下さいでしょ? 姉さま……」
「はうっ……お、教えて下さい……お、お願いします……」
さすが奥の手、ミルクの姉としての威厳は再び失われた。
「よろしい! では行きますよ、姉さま。まずは――」
そうして始まったのは、さりげなくスカートを捲る訓練だった。
アホくさいと言うなかれ。
真っ赤な顔でミルクは真剣に頑張っているのだ。
ファイルの中身を漏らされない為に。
「姉さま、もっとさりげなく……チラッと見せるの!」
「で、でも、さっきは丸見えに……」
「さっきはさっきなの! 同じ下着でも、ダサい下着でも、見せ方次第なの!」
「こ、こう?」
根が真面目なミルクはスカートを捲る事に於いても、あれこれ質問しては自身を納得させていく。
今のミルクには羞恥心を感じる暇など無いのだ。
「チラッと見せるのって難しいね!」
「そうですよ、アイス様。でも姉さまも段々様になってきましたね……」
「うん、とっても可愛いよ!」
「そ、そうですか? あう……が、頑張りますぅ……」
アイスが興味津々に見つめる中、ミルクの特訓は続くと思われたが、一連の出来事を黙って見ていたリュウは限界を迎えていた。
「ぶふっ、くっ、くははははは! もう無理っす~!」
ゲラゲラと響く笑い声に一斉に驚いた顔を向ける、アイス、ミルク、ココア。
激しく揺れる主人の腹の上で、ミルクとココアは地震に対応する様に四つん這いになる。
「リュウ~! 機嫌直ったんだ!」
「人が悪いですよぅ、ご主人様ぁ……」
「だってさ、一生懸命お前達がひそひそやってるから、声掛けるタイミングが取れなかったんだよ……あー腹痛ぇ……」
アイスが嬉しそうに声を上げ、ココアがジト目で黙っていたリュウを非難する。
ひとしきり笑ったリュウは、言い訳しつつ枕を再び団子にして頭を乗せ直した。
「ず、ずっと見られてたなんて……ミルクの馬鹿ぁぁぁ……」
ヴォルフのココアに隠れる様にしがみついて、涙目のミルクが呟く。
「いや、ミルクは頑張ってたぞ? 可愛いパンチラだった!」
「み、見ないで下さいぃぃぃ……」
笑い混じりの主人の言葉に、ミルクは小さくなって主人の視線から逃れる。
「ミルクぅ、大丈夫だよぉ! リュウが可愛いって!」
「あう……」
そんなミルクにアイスの陽気な声が掛かり、ミルクは仕方なくココアの陰から赤い顔を覗かせた。
「うん、茹で上がったタコみたいで可愛いぞ……くっくっく……」
「タ、タコって何ですかぁ! 酷いですぅ……はうっ……」
リュウがミルクを見て、敢えて酷い喩えで笑う。
当然憤慨するミルクだが、伸びて来た主人の指に頭を撫でられて、借りて来た猫の様に大人しくなった。
「あー笑った……ふあぁ~、よし、そろそろ寝るか……さすがに眠いわ……」
大きなあくびが出て、リュウは枕を直して頭を下げると、ミルクとココアをふわっと掴んで胸元に下ろしてやる。
「うん!」
アイスは元気よく返事をすると、リュウの左脇にコロンと転がってベストの胸元をキュッと掴んだ。
そうしてリュウ達はおやすみを言い合って瞳を閉じる。
やがてアイスがスヤスヤと寝息を立てて、ミルクとココアもスリープモードに移行すると、リュウは顎を引いて薄く目を開ける。
腕の中で安心して眠るアイスと、ベストの内側でくっついて眠るミルクとココアを見て、リュウはクスッと笑うと再び目を閉じ、深い眠りに落ちていくのだった。




