表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートショート集

桜の歌。

作者: 神無月


「ふ~ん、ふふふ~ん~」


私は歌う。

一人、歩きながら口ずさむ。

桜がひらひらと舞っている。


「ららら~らら~ら~」


皆は「歌」のことをどう思っているだろうか。

私は、歌には力があると思う。

魔法ともいえる力が。

人を元気にする力が。


「あ~、ふ~んふ~ん、ららら~」


まぁ、このことを教えてくれた人がいるのだが。

その人は、とても音楽を愛していた。

優しい同い年の男の子でした。


「ら~~、ふふふ~」


その人がある日、一緒に帰っているときに言ったのだ。


『音楽には力があるんだよ。人を元気にして、前を向かせる力がね。』


きらきらと輝いているように私には見えた。

彼はすごい。

今歌っているのも、彼が作った世界に一つだけの歌なんだよ?


「ら~、ら~、らら~~」


ちょっと話は変わるけど、皆はどんなときに歌を歌うだろうか。

嬉しいとき?

怒っているとき?

機嫌がいいとき?

それともなんとなく?

どれも、いいと思う。

でも、私はちょっと違う。


「あ~~、ららら~、るらら~」


彼は言ったのだ。


『音楽には人を元気にする力がある。だから、悲しくなったときは歌を歌えばいいよ。きっと幸せになれるから。』


だから、私は悲しくなったときに歌を歌う。

そうすると、彼の言う通り元気になる。

ほんとにすごい。


「るるる~、ららら~」


今は帰り道。

桜の並ぶ道を歩く。

彼もここが大好きで、よく一緒に歌った。


「ららら~、る~ららら~」


さっきまで、彼のお葬式に行っていた。

彼は逝ってしまった

病気であっけなく。

最後は見届けられた。

気持ちも伝えられた。

最後に彼は微笑んでこの曲をくれた。

私を想って書いてくれた歌だった。

後悔は、ない。


「あ~~~、るらるりら~~、ら~」


私は歌う。

元気になるために。


「ららら~」


眼から(なみだ)が零れ落ちる。

一人、少女は桜並木を泣きながら歩いていた。


感想、評価よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] タイトルにもある「桜」のはかなさとストーリーの方向性がきちんと繋がっているところが良かったです。 [一言] ありがとうございます。
[良い点] 情景が浮かんできました [気になる点] さっきまで、彼のお葬式に行ってきた。 →さっきまで、彼のお葬式に行っていた。 皆はどんな時に →皆はどんなときに  細かい所ですが
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ