プロローグ
頭空っぽにして、軽い気持ちで読んでやって下さい。
後、誤字脱字の報告や感想を頂けると幸いです。
それではよろしくお願いします。
『YESロリータ、NOタッチ!』
誰が初めて言った言葉だっただろうか?
確か有名な偉人が言った言葉ではなかっただろうか?
織田信長だったか?いや、前田利家だっただろうか?
いや、前田家は中々にロリコンだったらしいから違うか?アイツらは『YESロリータ、GOタッチ!』だったしな。
まぁ、問題は誰が言ったかではないので、議論は省かせてもらおう。
邪な心を持った奴は、幼女には触れてはならない。
幼女は触れるものではなく、愛でるものだ。
『YESロリータ、NOタッチ!』
この言葉は世界でも実に真理に近いものであり、これは一つの理の証明かもしれない。
幼女というモノは、我々の様な俗世に穢れた者が触れば、汚染されてしまう様な無垢な存在だ。
例えるなら、足跡の無い新雪の様な、穢れ無き真白な布の様な、とても儚くも希有な存在だ。
YESロリータ、NOタッチの精神を大切にしなければなるまい。
触れる?それはもう贅沢だ。
贅沢はダメだ。見て愛でる。それだけで十分ではないか。
他に何が必要だと言うのだろうか?
我々の様な大人として成熟してしまった、穢れきった者には、その言動や仕草はとても可愛らしく、あまりにも眩しく、あまりにも尊く感じてしまう。
忘れてしまった純粋な気持ち、手に入れられなかった無垢な心。
きっと、我々にも彼女たちの様な時期があったのだろう。
そんな幼女が溢れかえった世界を、見てみたいと思ってしまうのは私だけなのかな?
……いや、冷静になってよく考えるとそんな世界は怖いな。
右を見ても左を見ても幼女しかいないなんて怖すぎる。むしろ、戦慄を覚える。
流石にそこまでいくと笑えないか。
何事も程々が一番だな。
うん、程々が。
おっと、失礼。大分話が逸れてしまったようだ。
では、幼女談義はこのくらいにして本題に入ろうか。
さて、君は……君達は『神』を信じるだろうか?
「神なんて信じていない」
「信じている者の前にしか現れない」
「神はいない。神は死んだ」
「神はいつもすぐ傍で見守ってくださる」
「神様?ああ、俺のベッドでぐっすり寝てるよ」
などなど……
きっとこんな感じで、賛否両論な意見があると思う。
今から語る物語は、皆が考えるより、神様がより身近な世界の物語だ。
地球とは異なる『理』を持った世界、ここでは『異世界』と言った方が分かりやすいのだろうか?
まぁこの異世界では、神と言っても、それ程珍しいものでも無かったりもするのだが。
この異世界――つまり、この『アヴァン』という名の世界では『神』の定義が、少し緩いのかもしれない。
例えば……
人が様々な偉業を残しこの世を去ると『英霊』や『勇者』という名の神になる。
長き時を生き、人の世の理を外れた者は『仙人』や『真人』という名の神になる。
人を殺しつくし、人に恐れられた者は『殺人鬼』や『悪鬼』という名の神になる。
妖精や人ではないものが長き時を経て、その存在を昇華させ『精霊』や『地霊』という名の神になる。
人の道を踏み外し、数多の悪行を重ねた者は『悪魔』や『魔王』という名の神になる。
人に説明が出来ない現象や噂話が具現化する事によって『妖怪』や『物の怪』という名の神になる。
獣が知恵をつけ進化した存在は『魔獣』や『聖獣』という名の神になる。
長きに渡り大切に扱われた物に心が宿り『付喪神』という名の神になる。
とまぁ、他にもたくさんの例があるが、この様に様々な神がいる。
日本人なら『八百万の神々』という言葉を知っているだろう?
詳しくは私にも分からないが、きっと概念的にはソレに近いモノだろう。
そして、皆は『神宝』を知っているだろうか?
古の遺跡、迷路の様な洞窟、帰らずの森、死の大地などの『ダンジョン』と呼ばれる場所で発見された『神々の宝』と呼ぶに相応しい存在を。
また、神々の死後、その存在を閉じ込めた『聖遺物』ともいえる、高性能な神の装備や道具の存在を。
例を挙げればキリが無いのだが、そうだな……
賢者の石、魔神の欠片、怪盗の仮面、妖精の雫、獣王の牙、天使の羽根、聖人の杯、聖騎士の大盾、巫女の勾玉、武神の宝剣、栄華の花、悪魔の義眼、真偽の果実、戦鬼の禍角、魔猿の右手、吸血鬼の血珠、合成獣の魔核、刎頸の魔剣、盗賊の宝鍵、叡智の泉、撃滅の大砲、精霊の秘薬、世界樹の聖弓、などなど。
これらの名前に一つでも聞き覚えはないだろうか?
色々な名前、様々な形や色の物はあるが、これら『伝説の宝』全てをまとめて『神宝』と呼ばれている。
名は違えど、これら全てに共通している事は、唯ひとつ。
――それは手にした者は『絶大なる力』を手に入る――
曰く、どんな病も治す事が出来る。死んだ人間が蘇る。不老不死になる。
巨万の富を手に入れる。膨大な知識を得る。何事にも揺るがない精神力が手に入る。
鋼をも砕く筋力を得る。一国の王を超える権力を手に入る。人々を魅了する容姿を手に入れる。
万物を見通す目を手に入れる。魔法を極める事が出来る。
その話の虚実は定かではないが、今の『アヴァン』と呼ばれるこの世界では、現実不可能とされる様々な能力や技術といった『力』を得ると言い伝えられている。
そして、その『神宝』を手に入れ、本当の力を得た者は、どんな形であっても歴史に名を残すとも云われている。
英雄として、勇者として、大商人として、賢者として、聖人として、導師として、王として、殺人鬼として、悪魔として、魔王として、または……神として。
さて、皆ならこれで大体の事は分かって頂けるだろう。
私がこんなに長々と『神』や『神宝』について語ったのかと言うと、これから語る物語は、その『神』や『神宝』に纏わる話だからだ。
――神宝を手にし “神々の代行者”と呼ばれた者の物語――
なに。そう畏まった話ではないので、どうか楽な格好をして聞いてもらいたい。
コーヒーや紅茶、煙草やお菓子でも片手に、最後までお付き合い願えると幸いだ。
では、はじめるとしよう。