No.003 変容
xxxx年 7月 17日
(――極寒の気候、打ち寄せる熔岩。背後には砂漠。目の前には澱んだ膿が見える。)
(――ヒトデが知能を獲得)
(――惑星pyonkitiが惑星coronaに衝突し、大地が餅になる。)
男はどうして自分がそこにいるのか分からなかった。
ただ、忽然と姿を現したようにも思える。昔のことは何も思い出せない。
極寒の気候、打ち寄せる熔岩。背後には砂漠。目の前には澱んだ膿が見える。
ここは島だろうか。
ふいに身体から力が抜けて、男は後ろから倒れた。
浜辺のヒトデが男の身体に突き刺さる。太陽はまだ高い。
そのとき初めて、男は飢えていることを感覚した。
ふと手元に違和感を覚える。
男ははじめ、それが何なのか知覚出来なかった。
とにかく飢えていて、なにかを口にしなければという本能的な強迫感が男を追いたてた。形さえ分からないそれに、しゃにむに食らいつこうとした所で男は手を止めた。
唸り声が聞こえたからだった。
「ノヴォォォ……OOOOHHHHHHHHHHRRRRRRRRR……」
溶岩の中から姿を現したのは、直立したヒトデだった。子供くらいの背丈で、貝のような装飾品を身につけ、身体中に奇妙な模様を描いている。ぶよぶよしていて不気味だ。ヒトデに目は無いが、どうにも視線を感じる。
空腹で朦朧としている間に、いくらか居るヒトデのうち二体がこちらへ近づいてきた。
全体的に青い装飾を付けた個体と、どこかトゲトゲしい装飾を付けた個体。
ヒトデが手を伸ばしてくる。「AAHッ!!」熱い! 熱い! 溶岩の熱だ! まだ出てきたばかりのヒトデは火傷しそうなほど煮えていた。反射的にヒトデを払いのける。しかし抵抗をものともしないでヒトデが再び手を伸ばす。嫌だ! 恐ろしい! 恐怖のあまり全身を使って暴れる。
その時、物質を掴んでいたほうの手が閃光を放つ。男は確信した。この軌道なら狙える。男はCスティックを素早く倒す。発生53フレームで閃光を纏った拳を突き出し、飛び出してきた青い個体へ一撃を食らわせる。まさにハヤブサの如き拳。激しいエフェクトと共に、ヒトデはそのまま場外まで飛ばされストックをひとつ失った。
臓腑が熱い。この瞬間、男は空腹も忘れ、身体中に湧きあがる熱を感覚していた。
「ヴォォ……OOOOHHHHHHHHHRRR…………ノヴオォォォ……OOOOHHHHHHHHRRRRRRRRRRR……」
ヒトデの集団から明確な敵意を感じた。幸い、ヒトデ達の動きは鈍い。しかし囲まれてしまっては厄介だ。何をされるか分からない。ここに居ては危険だろう。男は本能のままに砂漠の方へと逃げる。
―――――
かつて惑星pyonkitiには生物種のカーストが存在した。白くふわふわとした生物と、それを虐げる者だ。
虐げる者は白い生物を串刺したり、熱したり、落としたり、耳に塩酸を流し込んだり、あらゆる手段をもって虐待に励んでいた。虐げる者という生物種にとっては何よりも優先される本能であった。
月日は経ち、次第に虐げる手段は過激さを極めていった。そして極限の虐待手段として、惑星にぶつけるという方法が生み出される。虐げる者は全ての技術を用いて自分達もろとも惑星pyonkitiを惑星coronaに衝突させた。その衝撃で虐げる者は滅び、白い生物は糊状の餅となった。
惑星pyonkitiは生物種の餅に包まれ、白く染まった。この星はのちの観測者によって、ウサギが餅つきをしているようだと形容されるようになる。
―――――
男ははっきりと自覚をしていないものの、相手を打ち負かす喜びを知った。
しかし空腹は満たされていない。日も暮れ、空には惑星pyonkitiのなれの果てが姿を見せていた。
気温がさらに落ち込み、過酷な環境は男を少しずつ蝕んでいる。
飢餓の影はすぐそこまで迫っていた。
男
名前:(名前の概念を習得していない)
状態:興奮、空腹
知性:皆無
思考:野生
Kill/Death ratio : 1/1 (1.00)
所持:超物質
from chronoLab's sys.
聞こえていますか研究員、コンソールの前にいるあなたのことです。
惑星chronoへ刺激/影響/変化を与えて下さい。
私たちは「感想欄/一言」から物資/事象/知恵を参照し、発展を支援します。
これはMonte Carlo methodによる強化学習実験の一部です。
これは高度な文明を再現することが期待されます。
その価値が重み付けから評価/選択されることに注意して下さい。
研究員:「惑星荒らし」微酔 マご[2,1,0,0,1]
■評価+2
変容+1
文明
協調
独自+1
研究員:「軟体のスター」光煌ひかル[1,0,1,0,0]
■評価+1
変容
文明+1
協調
独自
end of message.