No.002 静寂
xxxx年 7月 16日
(――リアクターマイト)
男ははじめ、それが何なのか知覚出来なかった。
とにかく飢えていて、なにかを口にしなければという本能的な強迫感が男を追いたてた。形さえ分からないそれに、しゃにむに食らいついた。
瞬間、男は吠える。
「アア……アアアァァ……AAAAAAAAAAHHHGAGAGAGAGAGAGAHHHHHHHHHHHHHH……ッ!!!」
男の身体は急加速し、高速回転しながら空間を縦横無尽に走り回った。「GYAGYAGYAGYAGYAAAAAHHHH!!!」叫び声を上げながら虚空を斬り裂き、全身から閃光を放つ。
もはや男に上下左右の感覚など無いが、どこからか幻聴が聞こえる。
「キミの心に、ブーストファイアアアァァ……AAAAAAHHHHHHHHHHHHH!!!!!!!!」
そのまま男はビッグバンを起こし、世界の中心で爆死した。
死は静寂だ。最後には静寂だけが男の魂を慈しんだ。
from chronoLab's sys.
聞こえていますか研究員、コンソールの前にいるあなたのことです。
惑星chronoへ刺激/影響/変化を与えて下さい。
私たちは「感想欄/一言」から物資/事象/知恵を参照し、発展を支援します。
これはMonte Carlo methodによる強化学習実験の一部です。
これは高度な文明を再現することが期待されます。
その価値が重み付けから評価/選択されることに注意して下さい。
研究員:「不正隠蔽者」光煌ひかル
不正な情報の隠蔽が確認されました。懲罰による評定変動はありません。
繰り返される場合は降格の対象となることを警告します。
end of message.