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「天眼 風をみる」   作者: 魔法使い
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第二章 「胎動」 第三十八話 「蒼玉の結末」



「天眼 風をみる」


 第二章 胎動


 第三十八話  「蒼玉の結末」





  お鈴は駆ける、町を駆け、山あいの道を抜け、枝を蹴り


谷を越える。 途中で、お鈴の風を感じた小鉄が、


お鈴と共に並走する


  お鈴は、小鉄に半兵衛の居所を探す「命」を出し、


  今度は小鉄が先導する。


  お鈴の耳には、自分が風になっている音だけが、聞こえている。


  もう何里、駆けたであろうか、でも疲れは無い。  


  自分が見つけた「石」が、長政を助ける事になるかも知れない。


  ただ、待っているだけの、もどかしさでは無い、少しでも長政を


  助ける事が出来るのだ。


  そう考えると駆けずにはいられなかった。



   小鉄がお鈴に合図をした。半兵衛が近くに居る合図である。


   お鈴の風は、半兵衛にも伝わってきた。 すでに「忍びの走り」


   とは言えぬ、お鈴の無防備な走りに、多少の危機感を感じながら、


   半兵衛が身構える、



半兵衛「お鈴殿、いかがいたした。」


お鈴「半兵衛、頼みがある」



    その一言の後、お鈴は、怒涛のごとく、「石」の顛末を


    半兵衛に話した。


半兵衛「分かり申した、では、「忍びの里」に伝令いたします。」



     半兵衛が、さらさらと忍者文字で、文を書くと、


    それを小鉄の首にある竹筒に入れ、小鉄に合図を送る。 


    その命を受け、小鉄は、新しい忍びの里にお鈴の想いも


    乗せて駆けた。


    小鉄も、 お鈴の気持ちが伝わったのか、どこか嬉しそうである。



    その後、お鈴は、半兵衛に洞窟の場所を案内した。 


    事は、トントンと進み、道願の指導の下、忍びの者達によって


    採掘が進む事となる。


    洞窟の前には、小屋が建てられ、元の「草忍」達などが、


    夜は交代で見張りに立ち、「蒼玉」を運び出す「道」も整備された。 


    「草忍」は、採掘する者、運搬する者、研磨する者と、それぞれに別れ、


    「組」を作り、無駄の無いように作業にあたった。


    全ての忍び達は、「長政様の為」と言う、共通の信念があり、


    「和」を乱すような輩は、一人も居なかった。



    道願は、昔の伝手つてに渡りをつけ、蒼玉を売る、段取りをする。


    国内では、京の公家達に、あたりをつけ、売りさばき、


    国外には、長崎から更に「絹の道」を通して、


    世界へと売り渡る「道順」を造った。



     「絹の道」の行く先の国では、「東の最果ての国の蒼玉」と


     触れ込み、その価値は通常の倍以上の値がついた。  


     これも道願の策である。

   

    そして、道願の人脈の成せる技でもあった・・・。


    かくして、お鈴が、偶然に見つけた「蒼玉」が、これから先、


    長政の「資金面」を大きく確保する事となり、この先、影で


    長政の「理想」を随分と助ける事になるのである。



    さらには、「仕事」の無かった「忍びの者」に仕事を与え、


    それらの生活をも保障出来るようにもなった。 



     人々の懐が豊かになれば、町も豊かになる。


    豊かな町には、人が集まるようになり、その集まった人を目掛け、


    更に人が集まり、町は大きくなっていった。


    人が金を生み、金が人を集めるのだ。


    ただ、様々な人が集まってくると、中には、「無頼漢」な


    輩も多くなる・・・。


 

    ある時、お鈴が町を歩いていると、盗賊の一味を「感じた」


    後をつけると、寂れた寺に十名程が、集まって居た。 


    近くの庄屋を襲う算段のようだ・・・。


    お鈴は、 犬笛で合図をし、小鉄を呼び寄せ。 


    半兵衛に渡りをつける。


     半兵衛は、手だれを数名引き連れて、やって来た。 


    寂れた寺を包囲すると、一斉に踏み込み、あっと言う間に


    片付けてしまった。



     この事件を機会にお鈴は、考えた・・・、



お鈴(せっかく、町が大きくなり、活気が出てきたのに、


    危ない人達も沢山入ってきたのでは、安心して、


    皆が生活出来ないわ・・・、 何とかならないかしら・・・。


    今回のように、私が「感じて」事件を未然に防げるといいけど・・、


    そう言えば、長政様が、いつか、言っていた、


    私や「心の村」(お鈴と同じように、人の考えが判ってしまう


    人達の事、その者達が住む村の意)の人達に、町に入って来る


    人を「風読み」して欲しいと言っていたっけ・・・、


    それって、今回のような事件を未然に防ぐ事でもあるのだわ・・・、) 



  

    今更ではあるが、長政の考えに、お鈴は、ようやく追いついてきた・・・。



お鈴「うん、心の村の人達に話してみよう」



    その後、町の入り口に奇妙な小屋が立ち始めた、


    中には、「心の村」の住人が、交代で


     住み着き、町に入って来る一人・一人を「みる」のである。



    後の始末は、秘密裏に半兵衛達の「仕事」となった・・・。 




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