第一章 「旅立ち」 第八話 「長棟とお松」
天眼 風をみる
第一章 旅立ち
第八話 「長棟とお松」
長棟は、はやる心を抑え、屋敷へと馬を走らせていた
屋敷に着くと 馬小屋の前に馬を放り投げた
馬は、勝手に水桶の水を飲んでいる
長棟「お松~~、お松はおるか~~」
初めにびっくりして出てきたのは、給仕を任されているおばば、
お梅であった。
お梅「だ・旦那さま どうなされました」
長棟「お梅、お松はおるか!」
お梅「今は、裏庭に居ると思いますが」
長棟「裏庭じゃな、よし、」
長棟「お松、ここか!」
お松「どうなされました 大きな声を出して」
長棟「長利から聞いたのじゃ こ、子が出来たのか?」
お松「え? 長利様が? 」(私は 何も言っていないはずなのに・・)
え・・、ええ、実は、ここしばらく「月のもの」が無く、
つわりも御座いましたので、間違いはないと思っていたのですが、
長高様の事でお忙しいみたいなので、落ち着いてからお話しようと
思っていた所でございます」
長棟「間違いはないのじゃな」
お松「おそらく、で、ございますが・・、」
長棟「そうか、でかしたぞ!」
お松「でも、わたくしは、長利様には、お話しておりませんが・・、」
長棟「そんな事は、どうでもよい! 子が出来た事が間違いなければ
それでよい そうか・・、出来たか・・、 う~ん、めでたい!
よし、酒じゃ~ 今宵は呑むぞ~ お梅 酒をだせ、宴じゃ~~」
その後、お松は、長男 「長時」を産み、その後も四人の子を産み、
五人の子宝に恵まれるのである