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「天眼 風をみる」   作者: 魔法使い
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第一章 「旅立ち」 第七話 「長利の決意」


「天眼 風をみる」


 第一章 「旅立ち」


  第七話 長利の決意


吾平が茶を出し終わると、「まずは、頂いてもよろしいですかな」と


言いながら茶をすすった。


長利「うむ、落ち着きますな~」と、二人を諭した 


長利は、落ち着いていたが、二人の高ぶった感情をその「言葉」と


「しぐさ」で落ち着かせたのである


長利「まず、お父上のお気持ちはとてもありがたい事だと、


お礼を申しあげます、ですが、早まってはいけません。


   仮にわたくしが、長棟殿の養子になったといたしましょう 


   その後で長棟殿とお松さんの間に子が出来たら


   いかがいたします。 やはり、自分達の血の繋がった子に


   次の家督を継がせたいと思うのが、普通でございましょう。


   そうなれば、長高殿と同じく、骨肉の争いとなるやもしれませんぞ。  


   親子や兄弟で争う事ほど醜い事はござらん、他人であれば、


   諦めることもできましょうが、なまじ血縁であるから許せない、


   となるのが世の常でございます 


   それに、お松さんも まだまだ若いではありませんか、


   慌てる事はありませんよ」


貞朝「しかし、お松が嫁に来て、もう、五年もたつのじゃぞ、長棟がどれだけ


   がんばっているかは知らんが」


長棟「ご、ゴホン! お父上!」と、長棟が咳払いをする


貞朝「いや、これは、失礼いたした・・・。」


長利「実は、ここに来る途中で長棟殿の屋敷に寄りましてな、お松さんと


   話をしたのじゃが、なにやら長棟殿に言いたそうな


   ご様子でございました」


長棟「お松がわしに何を言うというのじゃ」


長利「何でも、次の「戌の日」は何時だったでしょうか? とか、


   何とか言っておったような気がいたしましたが」


長棟「何! 戌の日とな!! それは、まことか! 」


長利「わしの聞き違いかも知ぬが・・・、」


長棟「父上、 この話は暫し待ってくだされ、急用を思い出したので、


  これにて失礼いたす、御免」


   そう言うと、長棟は、慌てて、屋敷を出て行ってしまった


貞朝「な、なんじゃ、いきなり、あの慌てようわ!長利、


   戌の日とは何の事じゃ!」


長利「ははは、いや、これは、失礼、 慌てて落馬せねばよいが、ははは、


   父上、昔から戌の日に腹帯を巻き神社で御祓いして頂く習慣があるの


  ですよ ま、安産祈願ですな」


貞朝「なんと! それでは、お松に子が出来たと申すか!」


長利「いずれ、長棟殿から お話がありましょう。それと 先程の話は


   聞かなかった事にいたしますゆえ、それで よろしいですかな」


貞朝「うむ、かたじけない・・・。」


長利「それよりも、父上、折り入って話がございます」


貞朝「な、なんじゃ 改まって」


長利「長棟殿に子が出来たなら、父上も安心して家督を継がせる


   事ができましょう」


貞朝「うむ、そうじゃな・・、」


長利「そうなりますと わたくしは  いずれ この家を出て、


   新たな姓を名乗る事となります。その前に 考えがありましてな」


貞朝「ふむ、 どんな 考えじゃ」


長利「はい、しばらく 旅に出とうございます」


貞朝「何! 旅じゃと!」


長利「はい、まずは旅に出て 自分独りの力を試したいと思います 


   今回の長高殿の件にしても 結果としては、謀反を未然に


    防ぐ事が出来ました


    しかし、 もっといい方法があったのでは無いかと後悔しております。


    それは、わたくしが まだまだ未熟者の証であります。


     旅に出て、一人で生きていくことで 人としての器を大きく、


     深くしたいのでございます。 そうなれば、


     無意味な争いも無くなるやも知れません」

   

貞朝「ふむ・・・・」


長利「それと、世の中の事を広く知る事で 知識も深まり 


   自分がやりたい事の糸口が見えてくるかも知れません」


貞朝「そなたのやりたい事とは、なんじゃ」


長利「はい、まずは この地に流れる 信濃の川でございます、


   事あるごとに氾濫してその度に尊い命が犠牲になっております


   これは、この地方の事だけではございません。  


   全国で同じような事がおきております ひょっとすると 


   何かいい手立てが


   あるやも知れません それを学んでみとうございます」


貞朝「ふむ・・・」


長利「それから、この村にもある「はぐれ村」の事で ございます」


貞朝「あの、不治の病の村か!」


長利「いかにも、一度、入ったら最後 骸になっても出られぬ病


   でございます この者達を救う薬が無いか、それを 


   探してみたいのでございます」


貞朝「そんな薬があるのか?」


長利「わかりません、 この国になければ、唐の国にあるかも知れません 


   また 別の国にあるかも知れません この事も 全国に


   同じような「村」が存在いたしておりまする。皆、同じ悩みを


   抱えているのでございます。


   もし、仮にその薬を見つけ出す事が出来たなら、それが 


   「武器」となるとは思われませんか?」


貞朝「武器とな?」


長利「はい、薬が武器になり、諸国が我が領土を攻めることが


    なくなります 


   先程の「川の氾濫」にいたしても、 同じ事がいえます 


    氾濫を未然に防ぐやり方、方法が技として残れば、


    その技も武器になります。 自分の子や孫娘を「人質」


    として相手に送り込み、無理に「血縁」をつくるよりも 


    新しい技術や知識を「武器」として諸国に買って


    もらうのです さすれば、 それらを必要とする


   他の諸国は我が国を攻める事が出来なくなります  


   また、それ以外にも 私の知らない事が沢山御座いましょう


  それと 色んな人に会ってみとうございます、


   会って話をしその者の本質を見てみたいのです」

 

貞朝「ふむ・・、わしには そなたの考えが ようわからんが・・、


   そなたがそこまで考えているのであれば、 わしは、反対はせぬ 


   好きなようにやってみるがよい」


長利「は、お父上 ありがとうございます お父上の許しが出ましたので、


   早速 準備にとりかかります、二、三日中に、また改めて


    お話いたしますゆえ 今日はこれにて失礼いたします」


貞朝「うむ・・、相わかった・・・」


長利は、軽く一礼すると、馬小屋の方に向かった


貞朝(あやつは 不思議な子よな・・・ 普通 あれだけの武があれば 


   それを武器にと考えるのが普通じゃのに、 薬や技を武器とするとは・・、


    うむ、逆に恐ろしく感じるわい・・・。)






本当に書きたい事は 長利が旅から帰ってくる 第二章からです


そう考えると第一章は、総て「前振り」と考えてもいいかもです


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