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「天眼 風をみる」   作者: 魔法使い
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第一章 「旅立ち」 第十九話 「宴の準備」



「天眼 風をみる」


 第一章 旅立ち


  第十九話 「宴の準備」




   長利とお菊が屋敷に着こうとする頃、龍気の屋敷に小鉄が戻って来た。 


 「ワン」と一声吠え、帰りを知らせると、龍気の前に座り、舌を出し、


  尻尾で地面を掃きながら、「待ち」の姿勢でいる。



 「お~、小鉄か、ん! どれどれ、」と言いながら、まず、小鉄に


  餌をやり、頭をなで、首輪の竹筒の蓋を開ける。


   中には、長利からの文が入っている。


  

  その文字は、戸隠の忍者が使う「忍者文字」で書かれており、


  普通の人が見ても、解読出来ない文字で書かれている


  「何々、(今宵 五ッ(午後8時頃)に正覚寺に来られたし 長利) 


   ふむ、お館様からじゃの、小鉄を使いての報せであるか・・、


  火急の用かの・・、にしては、五ッまでには、まだ刻があるの・・、


   おそらく、手が離せぬから小鉄を使ったのじゃな」



 さすがは、龍気である、少ない情報で、長利の今の状況を概、判断してしまった。


 龍気は、小鉄に「散れ」と命令すると、小鉄は、すぐさま、何処かに走り出した。  


 「さて、正覚寺か、玄海の居る寺じゃな・・、ならば、酒でも用意しておくか、


それから、何か肴でもないかの」



  そう言うと、龍気は少し嬉しそうに、酒と肴を用意しだした。


 「お館様、(長利の意)は、旅立つ前にわしらと、色々話がしたいのであろう、


これからの事をどうするか、 これは、一晩かけても刻が足りぬかもしれんの・・・」



  そういいながらも、やっぱり、龍気は嬉しそうな顔をしている・・・。


 「長利の屋敷・・」


  長利とお菊は、屋敷に着いた。 


長利「そうじゃ、お菊、」


お菊「はい、何でございましょう」


長利「今日の夕げは、他所で食べるので、用意せぬともよいが、その代わり、


   酒と何か肴がないかの」


お菊「そうでございますね、 御酒は、ご用意出来ますが、肴は、


    切らしておりますので、後で御用聞きの「はちべぇ」に


    持って来てもらいましょう」


長利「そうじゃな~暮れ六つまでに用意出来れば、間に合うであろうが」


お菊「それなら、十分でございます、さっそく準備にとりかかります」


長利「うむ、わしは 書斎にて、書き物をするゆえ、用意が出来たら呼んでくれぬか」


お菊「はい、かしこまりました」


   「正覚寺の玄海和尚」


  「くっっさめ!! えぇ~い、くそったれ~、だれぞ、噂しとるな~  


    ん? そうか、今日あたり、あやつらが来そうじゃの~  


    そうとなれば、酒と肴が必要じゃの  酒はあるが、つまみがない・・、


    川にでも行って獲ってくるか、面倒じゃから、投網でいいな、今なら鮎かの・・、」




   各々が、今宵の宴の為、準備をしだした・・。 


   今日の宴は、長い 長い夜となりそうだ・・・。


   暮れ六つ前に、お菊が長利を呼びに来た。


お菊「長利様、準備が整いましたが」


長利「おう、もうそんな時刻か、もう少しで、書きあがるので、玄関の所に置いといておくれ」


お菊「はい、わかりました」



  暫くして、長利が書斎から、出てくると、お菊が玄関で待っていた、


お菊「長利様、私もお供しては、いけませんか?」 


   その目は、真剣であり、心からの懇願であった。


  長利としては、三人で呑むつもりであったので、困惑したが、


   考えてみると、そう問題もなさそうだ。


長利「よし、では、一緒に参ろうか」


お菊「はい! ありがとうございます」


長利「まだ、明るいが、正覚寺まで行くので、途中で暗くなる、


   わしは、夜目が利くが、お菊は無理であろう、


   少し、急いで歩くが、付いて来れるか?」


お菊「大丈夫です。このように、提灯も用意しておりますので」


長利「何とも、用意のいいことじゃの、ははは、では、参るか」


    二人は、歩いて正覚寺に向かった。



  




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