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「天眼 風をみる」   作者: 魔法使い
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第一章 「旅立ち」 第一話 「河原にて」

時代は「川中島の戦い」の前となります。 年代は、もっと明確に出来ますが、「史実」の段階でも、曖昧な所があり、その辺は、「演出」でぼかしておりますww



「天眼 風をみる」


  第一章 「旅立ち」


   第一話  川原にて

   

 

長利は悩んでいた。 そんな時、長利はよく夜中に


出歩く癖があった。場所はいつもの川原、


屋敷の近くにある、川原である。  


おぼろ月と、わらじの裏の感触を頼りに、「戸隠流」の歩みで


暗闇の中、夜目を利かせて訳も無く歩を進める。


「ふむ、どうしたものか・・・、」 ポツリと独り言を言うと、


足の裏で、「ポキリ」と音がした。 


「ん、・・骨か・・、」  


この信濃川も他の河と同様に、幾度も氾濫を繰り返していた。


その度に、幾人の人が、水に流された事か、また、


「戦」の度に何百、何千という死人が出る時代である。


「知らぬ事とは云え、申し訳ない事をした、


勘弁してくれ・・・。」


 

長利は、その骨をそっと信濃の川に流した。


  

浮きかけた骨は、少しずつ川底に沈んで流されていく、


水面に薄っすらと反射しているおぼろ月が


その様子を照らしている、長利は、両の手を合わせ、


「願わくば、成仏してくれ・・。」と祈った・・。




「長利」「この信濃の河もなんとかせねばいかんしな・・、 


じゃが、お天道様が相手では、敵わぬこともある・・・。


     それよりも戦じゃ、ふむ、こまった・・。」


  

この時、「小笠原家」は、分裂していた。  


長利の父の名は、「貞朝」(さだとも)と言った。


その貞朝には、 長利を含め四人の子が居た。  


長男の長高ながたか、次男の長棟ながむね


三男の宗政むねまさそして四男の長利ながとしである。


  

父である、貞朝は、長男の長高よりも、


次男の長棟の方を、かわいがり、


家督を次男の長棟に継がせようとしていた。 


事実、長男の長高は、わがままで、


我が強く、とても、小笠原家の上に立ち、人心をまとめる


事など出来きそうに無い人物である。


   

その点、次男の長棟は、 知力もあり、行動力もある。  


父の貞朝が次男をかわいがるのは、当然の結果である。 


また、家臣の信頼も次男の長棟に集まっていた。



  

面白くないのは、長男の長高である、


「家督を継ぐのは、我の他にはない!」と言い切り、


敵対している同族の「小笠原 長基」と密通して、


父、貞朝の命を狙っているのである。



「長利」「このままでは、戦になるな・・、やはり、我が動くか・・・。」


また、独り言をポツリと言うと、「ふ~っ」 と、


ため息をつき、空を見上げ、薄い雲に覆われた


「おぼろ月」をみた。その目は、「決意の目」であった。


 

長利は、不思議な力を持っていた。 いや、正確には


誰もが持っている力であるが、


飛びぬけてその感覚が強いというだけのことである。


それは、初めて会った人でも、その人が何を考え、


どんな生き方をしているかが、「わかる」のである。


特に、「悪意」「殺意」などの感情は、どんなに


隠そうとしても、わかってしまう。


幼少の頃は、この感覚に振り回され、言わなくても


いい事を口に出し、よく、亡き母を困らせたものである。 


母が亡くなる時、病床での最後の言葉が、


「災いは口からいずるものぞえ、用心いたせ」であった。  


子を想う、優しさゆえ、あえて、気丈に振る舞う母をみて、


その後、長利は、その「言葉」を忠実に守っていた。


     

    

長兄の長高は、表向きは、「平静」を保っていた。


しかし、 父、貞朝を密かに暗殺しようとしているのである。


今は、機会を狙っている所で、 父、暗殺と同時に密通


している「小笠原 長基」と結託し、謀反を企てる


算段となっていた。


この事は、「まだ誰にも知られていない」 長高は、


そう思っていた。 


しかし、長利には、総てが、「わかって」いた。


長高の「本気」もその後ろに控えている 長基の事も・・・。


     


「長利」 「今回だけは、母も許してくれるで、あろうか・・・。」


      そう思いながら、屋敷に向かった。     



    



   

    



ご来店、ありがとうございます(笑) なかなか、話が先に進みませんが、じっくりとお付き合い頂ければ、幸いです。


感想もお気軽にコメントして頂けると、嬉しいですね、ブックマーク・評価もよろしくお願いします。



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