未定
いつも見ていた。
周りが喜怒哀楽を露にするのをいつも見ていた。
真っ暗で何も見えない世界から、解放されたときからずっと、見続けていた。
最初は2人だったが、3人、4人と段々と増えていき、最終的には4人と2匹にまで増えていた。
さらに賑やかになった光景を見続けていった。
時が過ぎ、2人が成長した頃、ついにそれがやって来てしまった。
長い間使われ続けたために、白みを帯び、たびたび眉を潜められるようになったのだ。
暫くの間、代替品の選定をしているのを眺めていたが、遂にやってきた。
周りは、新しいそれを歓迎し、馴染んでいった。
その様は、初めて見た光景と良く似ていた。
そして、次第に見向きもされなくなっていった。
それが続いた後、世界が一変した。移動していたのだ。
初めて見る風景に多少の興奮を覚えるも、到着したのは、同類が多く存在した淋しい場所だった。
今の場所に居着いてすぐの頃は、過去へと思いを馳せていたが、すでに届かぬことを悟り諦めていた。
そうして今眺めている風景になれた頃、周りに拾い上げらる者が現れた。もしやという希望を抱いた。
しかし、長い間置き去りにされたそれは、傷つき修復できないために、誰も拾い上げることはなかった。
拾い上げられぬまま時が経ち、待ち望んでいた瞬間が訪れた。拾い上げらたのだ。
拾い上げられ移動していく中、賑やかなあの光景を再び眺めたいという妄執の念を抱きつつ、潰されていった。