終幕.廻る
力は廻る――
大地を満たし、地下水へと染み出し、生物へ流るる。
屍は大地に横たわり、力は源へ還る。
目を閉じれば、その力をわずかに感じることができる。
その流れを感じながら、季和は小さく笑む。
ほんの、2,3年前、彼女が守護者を継いだ時とは比べようもないほどに、龍脈の流れが落ち着いてきた。
幼なじみであり守人の明良は、誰に教わったのか支線の掃除をせっせと行っている。
それのおかげか、霊の目撃証言や噂話をめっきりと聞かなくなった。
少なくとも、2,3年前以前の龍脈の流れを取り戻しつつあることは間違いない。
各務の町ができる以前から"ある"龍脈の流れは、これからもここにあり続けるだろう。
各務の町は龍脈とともに生きる。
それは、各務ができたときから変わらないし、これからも変化しない。
季和もまた、龍脈の守護者として任務を全うする予定だ。
龍脈の守護者の役割は大変だけれど、それを嫌と思ったことはない。
そして、その任務を次代へと引き継いでいく。
「行ってきます――」
花壇のコスモスが風に揺れていた。
とりあえずこれで完結です。
番外編や続編とか、思いつけば書くかもしれません。