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龍の哭くとき  作者: 風吹流霞
第壱章
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14.天照

突然現れた、予想外の人物の予想外な行動に驚き、思わぬ狼狽を晒してしまったが、元来、季和は冷静な性質である。加えて色んな意味で聡い。

明良が戦闘に突入する直前には、冷静さを取り戻していた。


高井の目的がわからないのだ。


最初から龍脈が目当てであれば、こんな風に二人の前に現れなくても奪うことは可能なのだ。

今感じられる彼の能力からして、それは簡単ではないだろうか。

それは明良も気づいている。だからこそこうやって警戒しているのだ。


先手必勝とばかりに、明良が木刀を薙ぎる。

「おおっ」と高井がその攻撃を回避する。「ちっ、避けたか」と明良が舌打ちする。

間髪入れず、突きの二打目を繰り出す。

きんっとその攻撃が弾かれ、明良の足がたたらを踏む。

見ると、高井が短刀を構えている。それによって弾いたと推測できた。

その短刀を見て、季和ははっと気づいた。その短刀に刻まれたモノを見て――。


やはり、彼は私達を試していた―――


そう、その紋章は


「土御門神道本庁――」


ぽつりとつぶやいた彼女の声は案外響いたのか、二人の動きが止まる。


平安時代、陰陽師として栄えていた賀茂氏と安倍氏の分流、幸徳井かでい家が江戸時代、幕府の命を受けて在野の陰陽師たちをまとめるために成立した施設が土御門神道本庁である。

明治が始まると同時に解体されたが、戦後、能力のある者たちが集まり、現在の土御門神道本庁ができあがった。

やっと気づいたかとばかりに高井がにやりと口の端をあげる。


「最初からさりげなくヒントをだしていたんだけどね」

「それで、俺たちに対しての結果はどうだ?」


明良が木刀を肩に載せて肩をすくめる。

土御門神道本庁の言葉が出た時点で、戦意は失せている。

土御門神道本庁のことは彼とて聞き知っている。


「及第点ってところかな」


高井は肩をすくめつつ、短刀と符をしまった。

「うへぇ」と明良はげんなりする。


草花の朝露が朝日に当たり、きらきらと輝く。

いつのまにか降っていた雨は上がり、東の空から朝日があがりはじめていた。


7年以上あけて申し訳ない。

少しずつまったりと更新して行こうかと思います。

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