【個性会社】
「えぇ~皆の諸君。」…という社長の言葉で会議室はピタリと静まった。
「実は今日、会議室に集まってもらったのには理由がある」…みんなは黙って社長の話に耳を向けている。
「実は先日、この中に個性のない者がいるということが分かった。非常に残念なことだ」
…会議室は一瞬ざわ付いたが、すぐに元通りになった。
「わたしは社長として、もちろん会社の方針に従いクビにする…。無論この様なことが表沙汰になった場合い我が社は莫大な損害、そしてイメージダウンを受ける事になるだろう…」
みんなはその話を聞いて虚ろな表情を浮かべた。
社長はそんな周りの様子を見ながら軽い溜め息を吐き続けて言った。
「知っての通りうちは個性の会社だ。みんなにもそこのところを、もう少し理解してもらいたい」
それを聞いた木下はスーツを脱ぎ、山口は無表情で変な踊りを踊りだし、坂田部長は「オギャーオギャー」と泣き出し、ぼくはゆっくりとお茶をこぼした。
「ココで名指しはしないので心当たりのある者は後で直接わたしのところに来てほしい。」…と言って社長は席を立ち、ゾウさんの真似をしながら会議室を後にした。