最初の友達②
覇王10傑の1人「聖姫」瀬戸にエインの奥底に眠るものが見透かされる。しかし瀬戸の思いを素直に受け取らないエイン、そして陰ながら戦いを見ている正体とは……?
ここ永幸学園には10名の王が存在している。
〜覇王10傑〜
各学年各科全てにおいて秀でている者たちが毎年選ばれ学園の頂点に君臨することが許される10名である。
そのうちの1人「聖姫」瀬戸奏。
前年度の王達に認められた3人の1人で、
現学園最高の刀の使い手でもある。
「私は本気で行くから……すぐ倒れないでね?」
エインの目の前に投げられる木剣。
頑丈そうな木剣を拾い、瀬戸に言う。
「先輩…多分すぐ終わりますよ…」
「?…もしかして私、舐められちゃってる?」
瀬戸は真剣な眼差しで構えを取る。
「ルールは簡単だ!先に一本取るか降参するか、
武器が壊れるかだ!」
周りが厳粛な雰囲気に包まれる……
「それでは両者………始め!」
…勝負は一瞬だった。
周りは何が起こったか理解できず呆然と立ち尽くしている。
エインと瀬戸は合図のあと一気に近づき、木剣を交えた瞬間、木剣が木っ端微塵に消し飛んだのだ。
「……両者の武器が壊れましたので……
こ、この勝負は引き分けとなる!!」
「「「ウ、ウォオオオォオ!!!!」」」
「「マジかよ!」「今の目で追えたか!?」「レベル高過ぎるだろ!!」」
しかし、活気づく会場に目もくれず、エインはその場を立ち去ろうとする。
「はっははー!私相手に無傷どころか武器を壊すか!」
笑いながらエインに近づく瀬戸。
「エイン!貴方の本音は届いたわ!」
「…たった一太刀でなにがわかったんですか…」
「たった…ねぇ…一太刀あれば私には十分だわ……貴方が孤独だってこともね…」
「…!あんたに俺の何がわかるって?」
エインは瀬戸の方を振り向き、感情をぶつける。
そんなエインに優しい眼差しを向け瀬戸は答える。
「貴方には本当を話せる仲間が、信頼できる仲間が必要。
それは貴方に必ず力を貸してくれるわ。そして…」
瀬戸は無邪気な笑顔をエインに向ける。
「私はそんな貴方の仲間に立候補します!いいでしょ?エイン!」
「…は!?まって意味がわかん…」
「否定とか要らないから!仲間ってことは友達ってことだしねー!」
かなりグイグイ来る瀬戸にエインは頭を抱えた。
しかしエインの悩みの種はそこではない。
「…結果は引き分けだったが、あれは俺の負けだ。
武器、あんたわざと壊れるようにぶつけたな?あんな芸当俺には出来ない……しかもあの木刀はこんな戦いで壊れるようなもんじゃねえだろ、一体何がしたいんだ」
瀬戸が首を傾げ不思議そうにエインを見る。
「えっとー、一つは序列一位君ってどんな人なんだろって興味とー、あとは君の本気を見たくてね!でも君さーわかってる?私は本気で剣を壊しにいったよ?貴方のだけをね、だけど貴方は吹っ飛ばされることもなくさらに私の剣まで壊したの。つまり貴方は私の攻撃を完璧に返したってこと。」
「…俺はただ一撃を普通に受けただけだ。剣が壊れたのもたまたまだし、ましてあんたの攻撃を完璧に見切ることなんて俺には出来ないよ…買い被りすぎだ」
何か含みのある言葉で話すエイン、そのエインの真意に気づいた瀬戸が尋ねる。
「エイン、何を隠してるの?」
「……あんたには関係ないことだよ…俺は孤独だからな」
「……私は貴方を1人にしない!絶対貴方の友達になるから!意地でもそうするから!」
そして、会場をあとにするエインを瀬戸はただただ見ていることしかできなかった。
「エイン……私は貴方を見捨てないから、
あの時のように……」
模擬戦を会場の隅で見ていた男が面白そうに笑う。
「エインって言ったか、あの小僧おもしれぇ…」
その後も会場は熱気が溢れ、オリエンテーションは滞りなく終わりを迎えた。
こんばんは。はじめましての方、はじめまして。
次回から結構キャラが増えると思います。
エインの過去と瀬戸の力についても少しづつ
明らかにしていきますので、
これからもよろしくお願いします。




